7つのチャクラ 
魂を生きる階段 
キャロライン・メイス  川瀬勝一・訳 
 サンマーク文庫
 

 人生をつくる体験が、人の身体をつくる

 生きているものは、すべてエネルギーで脈動している。そして、すべてのエネルギーには、情報が内包されている。代替医療、補完医療を実践する人たちがこの概念を受けいれでいるのは別に驚くことではないが、いまや一部の量子物理学者も、身体の生物的なプロセスによって発生する電磁場の存在を認めている。科学者は、人体が電流を発生させていることを認めているが、これは、生きた細胞組織がエネルギーを発しているからである。
 あなたの肉体のまわりには、腕を完全に伸ばしたところまで、全身を包んでいる「気の場」がある。この気場は、情報センターであり、きわめて高度な知覚システムでもある。このシステムを通し、私たちはまわりにあるすべてのものと、つねに「コミュニケーション」をもっている。このコミュニケーションとは、まわりの人の身体とメッセージのやりとりをする、一種の「意識の電流」だ。この気場から発するメッセージが、直観力をもつ人間が知覚するものなのである。
 気の医療の実践者は、人間の気場は、ひとりひとりの気を内包すると同時にそれを外に映し出すと考えている。私たちの内面の体験は、外界の体験によってつくり出されるプラス・マイナス両方の感情のエネルギーを蓄積し、その気が身体を包み込んでいる。この感情のもつ力が、体内の細胞組織に影響を及ぼすのだ。このようにして、人の履歴――人生を構成する体験が、人の身体そのものとなる。
 気のシステムにおいて感情のエネルギーをもつ体験には、過去、現在の人間関係(個人的、それに仕事上のものを含む)、深遠な体験、あるいは心の傷となっている体験や記憶、信念のパターン、ももの見方(霊的なもの、迷信も含む)などがあげられる。こういった体験からくる感情は、身体の生物学的システムのなかにコード化され、蓄積されて、私たちの細胞組織の成り立ちに影響する。そしてこんどはその細胞組織が、感情を映し出す気の「質」となるのである。このような気の「印象」は気の言語を形づくるため、直観医療者は、そのまま、あるいは象徴的にそれを読みとることができる。
 気場が伝えるメッセージの例をあげてみよう。小学校のときに、算数が苦手だったとする。12が1ダースだという事実を知らなかったとしても、それはふつう細胞組織の健康状態を変えてしまうほどの感情的なエネルギーをもつわけではない。だが、もしあなたが、そのことを先生になじられ、恥ずかしい思いをさせられていたとしたら、その体験は細胞に損傷を与える感情エネルギーをもつ。とくに、大人になってもその記憶をよく思い出していたり、批判や、権威のある人物、教育、あるいは失敗などにどう対処するかを決めるたびに引き合いに出していたら、なおさらである。直観能力者は、あなたと先生のやりとりをそのまま画像として感じとるかもしれないし、その体験と関係のある、ほかの悪い象徴を感じとるかもしれない。
 プラスのイメージや、心地よい体験の気も気場に蓄積されている。仕事でほめられたとき、親切な行いをしたとき、あるいは誰かを助けてあげたときのことを思い出してみよう。体内にある内面の力があふれ出し、プラスのエネルギーを感じるはずだ。よい体験、悪い体験ともに、気場だけでなく、細胞組織にも記憶として記録される。神経生物学者のキャンディス・パート博士が立証しているように、感情が引き金となって生じる化学物質、ニューロペプチドは、思考が物質のかたちをとったものなのである。私たちの感情は、体の内部に物理的に存在し、細胞や体内組織と相互作用しあっているのだ。さらにパート博士は、もはや心と身体を分けて考えることはできないと述べている。脳の内部で感情物質をつくり出し、それを受けとる細胞とまったく同じ細胞が全身に見られるからだ。脳が問題を認識する前に身体が反応し、感情物質をつくり出しているという現象も見られる。たとえば、大きな音に反応するときのことを思ってみよう。考える間もなく、身体が反応しているはずだ。
 パート博士は、ビル・モイヤーズ著の『こころと治癒力』(邦訳、草思社)で述べている。「私たちがまだ理解していない、何か別のかたちのエネルギーが存在しているのは間違いありません。たとえば、身体が死を迎えると、そこから離れていくように思われるエネルギーがあります……。心は細胞すべてにあるのですよ」と。するとモイヤーズがたずねる。「……わたしの感情が身体に蓄積されているとおっしやっているのですか?」「まったくそのとおりです。ご存じなかったのですか?……気という概念でしか説明できない現象がたくさんあるのです」
 
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