「白人スタンダード」という
新たなる侵略
清水馨八郎・著 祥伝社 

 林秀彦氏か投げかける重大な提言

 西洋文明、その中心であるアングロサクソンの正体を知るうえで、林秀彦氏の書いた『日本を捨てて、日本を知った』(草思社刊)という本は大変考えさせてくれる貴重な本である。林氏は、テレビ、映画の著名なシナリオライターである。彼は戦後の日本に絶望して遠く南のオーストラリアに移住して十数年、実際白人社会に暮らして人間としての彼らの本性や裏面を知り、逆に日本国と日本文明の素晴らしさに感動して、日本人のためのメッセージを次々と日本に送り、現代の日本人を啓蒙している。私たちのように、本を通してのみ白人の実体に迫るのと違って、彼は白人の中に身を置いて日常的な行動の観察から達観したもので、その白人論は目からウロコが落ちる指摘の連続である。
 その中の一節に、「アングロサクソンの辞書には『謝罪』の文字はない」というのがある。国家が他国に謝罪するという概念がないのである。なるほど白人は近世、世界中を侵略し、植民地化したが、解放後、旧宗主国が旧植民地の民族に国家として謝罪したというは聞いたことがない。戦後日本国だけが、独り中国や韓国に謝罪を続けているのは、歴
史的にも異常な現象なのである。それは日本のみが国際常識に反して、周辺国にまんまと騙されているからである。
 英国が香港を返還した時でも、最後の英総督は、「中国よ、返してもらってありかたく思え」と逆に英国に感謝せよという恩着せがましい態度をとっていた。オランダが300年もインドネシアを植民地化して栄えたのに、返還時に国王が代表して謝罪したなど聞いたことがない。英国のインドに対しても同じである。
 アジアでは日本のみが韓国に植民地の謝罪を続けている珍しい異常な国である。それは中韓がずる賢いだけでなく、能天気な日本政府が謝罪を続けるから、中韓はこれ幸いと賠償金や援助をむしり取るための外交カードの切り札にしているのだ。こちらが下手に出て謝罪する限り、今後永遠に日本は中韓に利用されるのである。
 林氏は怨念、復讐、闘争心の渦まく白人社会の中に身を置いて、初めて遠い祖国が豊穣な神々の国であることを知って感動しているのである。
 日本人の元旦の初日の出を尊ぶ気持ちは、他のいかなる民族よりも強い。この地球上、日本列島ほど太陽の恩恵を受けている地域はないからだ。豊穣にして美しい四季、地味豊かな土壌とそこに育つ森と稲は神の配剤だ。日本の自然は宗教も科学も政治も超えた真実なのである。自然の中に神を見て、日本を神の国と讃えるのはきわめて自然なのである。万葉の時代から、われわれの誇りは太陽を基としたこの美しい自然と、それによって育まれた海の幸、山の幸、そして人情だった。国旗はそれらを象徴している。「日の丸」は世界でもっとも美しいシンプルな国旗である。
 林氏はアングロサクソンについて、豪州の先住民のアポロジニーの抹殺の仕方や、アジア人を差別した白豪主義などから、彼らは血も涙もない好戦的な野蛮人であると決めつけている。われわれの「白人を見たら泥棒と思え」の認識は正しいのだ。とりわけアングロサクソンを見たら人殺しと思ってよいと。これを日本語に示せば、腹黒い民族なので「暗黒搾存(あんぐろさくそん)」と当てるのが言いえて妙である。
 
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