あなたの細胞の神秘な力
ロバート・B・ストーン・著  奈良毅・訳
祥伝社 
 
  
 疑いのこころは、実験結果も左右する

 科学の世界では、関係者が疑いを抱いていると、それだけで実験が失敗することがある。
 たとえば「心」に関する研究では、実験関係者が期待にワクワクと胸をふくらませていたり、内容を信じたりしていると、それが成功のきっかけになる。疑いは禁物だ。
 ロシアで行なわれた念力の実験を例に挙げてみよう。物に触れずに念力で物を動かすという実験だ。
 念力の持ち主は、ふだん研究室では、同僚の前で難なくワザをこなしていた。しかし、念力を信じない科学者が視察のためにやってくると、一回ではうまくいかず、二回は挑戦しなければならなかった。物を動かすためには、普通、慣性の法則と戦い、それを破ることが必要だが、この場合、疑い深い客が来たことによって生じる敵対心が邪魔になるからである。

 希望は細胞を勇気づける

 「希望」とは思考の一形態だ。それもあなたの細胞に影響を与えるような思考である。
 なぜなら細胞には希望がわかるからだ。たとえばあなたがヌード雑誌を眺めたとする。すると、あなたの口腔細胞が、からだから離れたところに置かれていたとしても、肺の細胞がガン細胞と戦っていたとしても、彼らにはあなたのワクワクした気分がわかって勇気づけられるのだ。
 シーゲル博士は、患者の健康にとって、ポジティブ・シンキング(積極的思考)が最も優先するべきことだと考えている。もし不幸に遭っても、そこに幸せも見出すこと。この意識の変化が細胞に伝わると、悪かった体調もよくなるというのだ。 

 人間の細胞は独自の意識を持っている

 考え方の変化、意識の変化が地球レベルで進んでいる。私たちは一つにつながっているのだろうか。意識が宇宙の果てまでにも浸透しているのだろうか。そして、植物、動物、人間すべての生き物の細胞は、意識を共有しているのだろうか。

 遺伝子に組み込まれたメッセージ

1.シンクロニシティー(同時性) なんらかの関係のある出来事が、同時に起こること。

 そこには偶然の一致とは決めつけられない何かがある。

2.チャネリング(霊界交信) 瞑想状態で霊感を高め、未知の世界へ入っていくこと。

 霊界にいる高い知性からの叡知を人々に伝え、自分は単にそれを伝える通信路にすぎないと考える。

 「サイコトロニクス」という革命

 この「サイコトロニクス」という名称は、東西のあらゆる分野の科学者によって、次のように定義づけられた。
 「人間と環境、内面と外面の相互関係を、エネルギーのプロセスも含めて研究する科学分野。物質、エネルギー、意識は相互に関係している。これを研究することによって、人間のからだ、生体プロセス、物質への新たな理解を深める」
 すでに、物質とエネルギーの間に相互関係があることはわかっている。だが、意識とエネルギーの相互関係は、新しい医療実践者や総合医学研究者にとっても急進的な考え方である。

 すべての生物の背後にあるたった一つの世界

 「人生の目標は意識を進化させ、それを創った光と一体になることだ。目に見えない意識の光を見るということは、人間の脳細胞という小宇宙の中に、太陽や月の輝きを見出すことである」
 (中略)
 リチャード・ガーバー医学博士は、『振動医学』という著書の中で、「人間の意識は、学習し、成長し、進化しつつある。この激しい変化の過程を、人々がもっとはっきり精神的に認識するようになれば、波紋が広がるように人間全体のエネルギー力学も変化を遂げていくことであろう」と書いている。ちょっと気をつけてみてほしい。さざ波のような変化は、すでに始まっている。新しい考え方の宗教が広まり、人間は宇宙に瀰漫(びまん)する知性の一部分なのだという考えを説いている。企業は競争の原理より協調の原理を優先しはじめ、哲学者や科学者は宇宙は「無」ではなく知性を有する「何か」が存在すると仮定している。

 心から笑えば、細胞も喜ぶ

ス ト ー ン  いま、「笑い」が病気の治療に効果があることがわかってきた。これも細胞コミュニケーションの一つだろうか。
バクスター  本当に笑えばね。無理して笑ったんじゃダメだ。本当のコミュニケーションにだけ心は反応する。心から笑えば、細胞とも喜びを分かち合える。君が細胞の立場なら、そのほうがいいだろ。

 細胞コミュニケーションが導く未来

 細胞は人間のからだの閉ざされた枠の中で、ただ無意識に動いているわけではない。細胞の動きは、人間自身がコントロールの鍵を握っている。
 ちょうど環境を管理するのと同じように、あなたの態度いかんで細胞の環境はよくも悪くもなる。細胞自身は窓の外の雨を眺めているわけではないけれど、あなたが「雨で憂鬱だ」と思えば、すぐにその消極的な気持ちが伝わる。そうすると、細胞はエネルギーを奪われる。逆に積極的な気持ちもすぐに伝わる。

 細胞は、私たちの考えていること、感じていること、そして生き方を知っている。人間の精神や活動が病気や健康の要因になる。人間は自分で自分を病気にすることもできるし、健康にすることもできるのである。
 万物に共通する知性と接触し、智恵を分かち合う日はくるだろうか。
 人類は、いまやニュートン物理学の狭い枠から飛び出し、自分たちが何者なのかを認識しようとしている。時代は確実に変わりつつある。

 
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