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 人生の意味
キャロル・アドリエンヌ 著 住友進・訳
主婦の友
 
 
 マーガレット・J・ホイートリーの『リーダーシップとニューサイエンス』を初めとする書物は、物理的現実のもとには目に見えない力が存在していることを私たちに教えてくれます。
 「いたるところに存在している空間には、(物と物とを反応させて新たな組織を生成する)媒介作用に似た働きがある。すなわち、空間にはいくつかの物質に影響を及ぼし、その物質を具体的な形につくり上げていく多大な力があるのだ」
 ホイートリーが説明する考えは「場の理論」と呼ばれています。この理論では、人類のなかの一定数の人間がある知識を獲得すると、その知識が一般にも広まっていく場ができあがると想定しています。
 すなわち、新しい行動や技術などのパターンを一定数の人間が習得すれば、この新しいパターンが組織化された場として成立するというのです。そして、いったんこの場が形成されると、新しいパターンは一般の人々にも容易に浸透していくようになります。

 人生に起こる出来事はすべて、人生の目的を実現するために必要だから生じているのです。この考えを受け入れられるようになれば、いままで見過ごしてきた出来事にも注意を払えるようになります。そして、いまの人生がどうであろうとも、自分に与えられた状況を足場に、学習し、成長していくことで、次のより高いステップを選択できるようになるのです。
 一瞬一瞬が、人生の目的を発見するための大切な足場であり、次の段階に進んでいくための創造的チャンスなのです。自分の視点を外から内側に向けて、あらゆる出来事が起きた意味を見つけだす努力をしてください。そうすれば、あなたのエネルギーの場(訳注:私たちの体はエネルギーが駆けめぐっている場所であるという考え。このエネルギーは普通眼には見えないが、体の周囲を取り囲んでいる光の場、すなわちオーラというかたちで見ることができる)に著しい変化が起きてくるでしょう。

 1962年以降、「現状をつくっているのは自分自身である」という新しいスローガンが精神世界の領域を席巻しました。これにより、外に向いていた人々の目は、自分の内面へと向かうようになったのです。
 このスローガンの意味するところは、その人の見方によって世の中がどう見えてくるか決まるということなのです。すなわち、私たちの心のなかに抱いていることが、物質世界(現在の状況)に反映されているという意味なのです。
 あなた自身の知覚、態度、信念がつくりだしているのが現状なのですから、それに不満を抱いているなら、物の見方をなんとしても変えていかなくてはなりません。

 人生における基本的な真実のひとつは、人生のなかで決められている出来事は何ひとつないが、人生で起こる出来事には必ずその人物にとってなんらかの意味を持っているということです。
 ふたつ目は、人間には個人的欲望がある。しかし、その欲望は執着心を捨てたときに初めてかなうということです。個人的欲望を捨て、神や宇宙にみずからをゆだねた瞬間に願望が実現されるのです。

 この世の中に、何の目的もなく生まれてくる人間などひとりもいません。ある人が、どこで耳にしたのか、「この世に生まれてくるチャンスをつかもうと何万もの魂が競い合っている」と言ってました。これが真実だとするなら、あなたは熾烈な競争に勝ち残り、エリートとしてこの世に送り込まれてきた存在なのです。
 あなたの魂は、すでにさまざまな前世を生き、多くの人間模様を眺めてきたかもしれません。しかし、この世の中に再び生まれてきたのは、果たさなくてはいけないひとつの目的があるからなのです。地図も羅針盤もなく、この世に放り出されたわけではけっしてありません。

 人間は人生の「目的」を自分の外に設定し、やがてそれを達成不可能なものに祭り上げていきます。何か驚くべき幸運にでも恵まれないかぎりは、自分の人生はこれ以上うまくはいかないと、自分を激しく責めてしまうのです。
 しかし、人生の目的とは所有物、地位、職業、肩書きとはまるで関係がありません。才能でさえないと言い切ってもかまわないでしょう。大切なのはどんな職業に就いているかではなく、どんな生き方をするかなのです。そして、本来あるべき自分の姿に戻ろうと決意すれば、一瞬一瞬に自分の本当の目的が見つかるようになるはずです。
 
 
なわ・ふみひとのコメント ★
 
  この本でとくにお勧めしたい内容は、ここに抜粋したなかの最後の部分です。
  新約聖書のなかには、イエスが弟子たちに「富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」(マタイによる福音書)と言った話が載っています。イエスはさらに、「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう」とまで言っているのです。
  神の国の到来が間近になってきたこの終末の時代においては、経済的に富んでいると物やお金に対する執着心から心が解放されにくいため、魂の浄化ができないということでしょう。今、株などでお金儲けのために時間と心の浪費を続けている人、物質的な豊かさを手に入れ、成功物語の主人公になれたかのように満足感に浸っている人、あるいはそのような人になりたいと憧れている人は、ぜひともこのイエスの言葉を胸に刻んでいただきたいと思います。  
 
 
 
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