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 私の家庭教育再生論
渡部昇一・著  海竜社
 
 男の子は、かわいがられすぎるとスポイルされる

 イギリスに、「スペア・ザ・ロッド・アンド・スポイル・ザ・チャイルド」ということわざがあります。「ムチを倹約すると、子どもはスポイルされる」という意味です。
 子どものなかでも、女の子は、かわいがられて育つことでスポイルされることは少ないようです。「箱入り娘」は、世間知らずのお嬢様という意味では使われますが、だからといって、嫌われるものでもありません。逆に、かわいがられて育った女の子は、とても素直で純粋だったりします。
 ところが、男の子は、かわいがるだけでは、スポイルされる可能性が高い気がします。
 中国では、政策として、日本以上に少子化か進んでいますが、中国の子どもは「小帝王」になっているといわれます。子どもをひたすら大事にかわいがってばかりいると、とてつもなくわがままな帝王のように育ってしまいかねないのです。とくに、「男性は女性をプロテクト(保護)するもの」という話をしましたが、自分が保護されてばかりでは、将来、人を保護することはできません。結局、頼りない男性になり、女性からも尊敬されない男性になってしまいます。
 子どものころ、男の子は女の子よりも甘えっ子であることも多いので、男の子は、とくに母親にとって、格別にかわいいようです。しかし、母親が猫っかわいがりをしていては、自立できない男性になるばかりか、いわゆるマザコン男性になってしまいかねません。
 何でも母親に聞かないと行動できなかったり、デート中でも平気で携帯電話で「ママ」と話すようなマザコン男性は、女性にも嫌われる筆頭です。
 「男は強く、優しく。女は優しく、強く」という言葉を聞いたことがあります。男は鍛えられ、まず強くなってこそ、本来の輝きを放つのです。

 
男の子には「武」の精神を教える

 ある武道家は、教えている子どもの母親たちに、よく感謝の言葉をかけられるそうです。入門した子どもたちが、みんな例外なく、礼儀正しくなり、強い精神力もついたというのです。手のつけようのない乱暴者だった男の子が、武道を習うようになってからは、友だちを殴ったり蹴ったりしなくなった例もあるそうです。
 息子さんが剣道を習っているお母さんからは、こんな話を聞きました。
 「師弟関係がはっきりしているので、上下関係の区別をしっかりつけられるようになった。とくに、目上の人には敬語で話し、先生が話しているときは、背筋を伸ばして静かに聞くことが自然にできるようになった」
 「挨拶をする、てきぱき動く、返事をすることが身に付いた」
 「体育館で稽古するときも、稽古中は武道場なので、神棚はなくとも正面には敬意を払うなど、道場を使うマナーも厳しく教えられた」
 「真夏の暑い日も胴着を着けるし、真冬の寒い日も下着を着ることは許されず、裸足。体も強くなるが、精神的にも我慢強くなった」
 「試合は、皆が注目するなか、一対一の勝負。しかも、勝ち負けがはっきりしているから、『強くなりたければ、悔しさをバネにする』という根性も付いた」
 「基本を大切にする、継続は力なり、という精神を理解したようだ」……
  これだけ、武道には、心身の教育や鍛錬に大切な教えが詰まっているわけです。
 私は、今、忘れられている日本古来のものをもっと見直すべきだと思っています。その一つが、この「武」の精神です。
 戦後、日本人のほとんどが自信をなくしてしまった原因は、占領軍が、日本の「武の原理」を否定したこともあると思います。
 戦争を賛美するわけではありませんが、それ以前の日清戦争・日露戦争のときや、大東亜戦争の大部分の局面での日本の軍人の戦いぶりは、まさに「男とはこうあるべきだ」と思わせるようなものでした。そこには、間違いなく、日本の「武」の精神が生きており、それが日本男児に自信を与えていたと思われます。
 ところが、第二次世界大戦後の教育では、それまでの日本男児の「武」が「悪」として否定され、排除されてしまいました。これでは、日本人、とくに男性は、「男はどうあるべきか」という目標を失ったようなものです。日本の「武」を否定したアメリカも自国では「武」を最も誇りにしています。実際、戦後の大統領になる資格として軍歴が非常に重要なのです。アメリカ占領軍が日本の「武」を否定したのは、日本がこわかったからです。
 「武」のない国は骨抜き国家で、ナメてかかることができます。
 日本の「武」の精神には、義を重んじる、恩を受けた主に命がけで尽くす、滅私奉公などがあります。そして、厳しい道徳観を持ち、道徳に反することには、死をも否みません。現代では切腹はけっして奨励されませんが、その責任を引き受ける潔さや勤勉さは、「武」の精神ならではのものです。企業の不祥事で知らぬふりをしたり、責任を人に押し付けたりする現代人には、学ぶべきところが多いのではないでしょうか。
 とくに男の子には、「武」の精神を伝えてあげてほしいと思います。武道をやるもよし、歴史小説や、新渡戸稲造の『武士道』などの本を読むもよしです。日本人が培ってきた素養である「武」の精神を取り戻すことは、男性の復権に関わることとも言えるでしょう。

 ★なわ・ふみひとのコメント★
 
著者が述べている「武」の精神は、今日でも非常に大切なものであることがわかります。アメリカ(を裏から支配している層)が日本男性の「武」の精神を不気味に思い、戦後教育の中でそれを徹底的に排除すべく策謀したのです。その策謀は見事に成功し、今日の平均的な若者の姿になりました。
 また、今日では家族制度そのものが崩壊しつつあるなかで
、子どもの教育はますます劣化の一途をたどりつつあるといってよいでしょう。子ども時代に自らがきちんとしつけられなかった親たちは、決して子どもをしつけることができないからです。
 迫り来る終末の大峠に備えて身魂磨きをしなくてはならないとわかっても、自分をどのように磨けばよいのかということさえわからず、「愛が大切」とか「心の浄化が大切」などといった抽象的な言葉遊びに惑わされる人が増えているように思われます。これこそ、まさに終末現象というべきでしょう。すべてサタンのシナリオによって本来の日本人の魂が骨抜きにされてしまった結果なのです。

 
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