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 死後の世界からの声(メッセージ)
 メアリー・T・ブラウン・著 大野晶子・訳
同朋舎出版
 
 
 進歩の段階

 何年にもわたって、自分はこの世で最後の人生を歩んでいるんだと豪語する人たちに、数多く会ってきた。だが私がつぎのような質問を投げかけると、彼らは大いに腹を立てるのだ。
 すべての言語を話せますか?
 自分の感情を、完全にコントロールできますか?
 自分の意志で、肉体を遊離することができますか?
 どんなときの動機も、完全に無欲なものだと言えますか?
 個人的な富への欲望を克服しましたか?
 完璧な健康体ですか?
 これらは熟達者になる必須条件のほんの一部にすぎない。自分自身を完璧に熟達させれば、もうこの世に戻ってくる必要はなくなる。そのときには、カルマもすっかりバランスがとれ、個人的な富や満足への欲望も、すべての人類への奉仕に対する無欲な動機へと変わっているはずだ。ここでは、この高度に進歩した意識の状態についてあれこれと論じても仕方がないだろう。ただひとつ覚えておいてほしいのは、ほとんどの人間には、まだまだ多くの進歩が待ち受けているということだ。だから、今の人生の教訓に、十分注意を払っておくほうがいい。
 肉体的、感情的成長はすべて、この世で行なわれる。私たちが経験するそれぞれの人生は、魂が学ぶための場なのだ。辛苦一つひとつが、それを乗りこえ、最終的には自己を完成させるために直面する試練なのだ。輪廻転生のおかげで、この教育は人生から人生へとくり返し続けられる。霊魂は、自身をさらに進歩させるため、肉体に宿るのだ。生まれ変わるまでの時間は、人によってさまざまだ。魂の発達が高まれば高まるほど、この世に戻るまでのあいだ、ゆっくりと待つことが許される。
 だが中には例外もある。たとえば、世界を救うために必要な仕事をこなすため、進歩した魂がすぐさまこの世へと戻される場合があるのだ。個人のカルマは、輪廻転生の全段階にかかわってくる。それぞれのカルマは、その魂の前世の経験に見合った、あるいは現世の試練をくぐり抜けるのに必要な、家族、国、性、肉体を選んで魂を送り込む。
 自己の完成に近道などない。悟りの境地に至るのに、簡単な道のりなど存在しないのだ。その過程の大部分は、つらく苦しいものだ。私たちはみな、自分自身の選択によって勝ち得た経験を引きつけることによって、試されているのだ。苦痛は、解決すべき問題が存在していることを教えてくれる。人生とは、魂の改良を模索する研究室のような場所だ。人間は、あらゆる経験を楽しく味わいながら、そこから学び、いまの人生を最高のものにしなければならないのだ。
 
 
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