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 人生の価値
 飯田史彦・著  PHP研究所
 
 「ブレイクスルー思考」の基本は、「私たちは決して挫折することはなく、不運に見舞われることもない。一見、挫折のように見えることも、不運のように感じられることも、実はすべて順調そのものだ」という大前提です。
 このように考えるためには、これまでのような、「目の前の壁(一見無価値のように思える問題や障害物)をプラス思考で乗り超える」という物の言い方の根拠となっている枠組みそのものを変えてしまわなければなりません。つまり、次のように「壁そのものに価値があるのだ」と考えればよいのです。

@「マイナス」「プラス」という見方をしないで、「すべての物事はプラスであり、本質的にマイナスなものは存在しない」と考える。

A「目の前の壁」(無価値な問題)を解決することが、乗り越えることになる」と考えるではなく、「目の前の壁そのものに価値があり、価値のない問題など存在しないのだから、その試練(価値ある問題)に挑戦するだけで、もう乗り越えたのと同じくらいの価値がある」と考える。

 一般的に「合格はプラス、不合格はマイナス」、「生存はプラス、死はマイナス」、「健康はプラス、病気はマイナス」、「お金がたくさんあることはプラス、お金がないことはマイナス」、「地位が高いことはプラス、地位が低いことはマイナス」、「安楽はプラス、苦労はマイナス」などの価値基準がたくさんあります。
 しかし、何とかして現状からブレイクスルーを果たしたいと願う人にとっては、そのような「これまでの価値基準」とは違う、何か別の基準を参考にすることが大いに刺激になります。そのような、私たちの価値基準に刺激を与えてくれるもののひとつ(これがすべてではありません)として、いわゆる「スピリチュアルな観点」があります。

 「スピリチュアルな観点」とは、物質的な豊かさを追求する観点とは全く違う価値基準です。
 物質主義的な観点のみで生きてしまうと、物質的成功こそが順調な人生として意味や価値をもたらすため、物質的成功を追い求めることばかりに必死になり、物質的に成功していない人は、「無価値な人生を送っているかわいそうな人」となります。肉体という物質の喪失である「死」は無価値なもの、肉体という物質の機能不全である「病気」は不運なもの、物質的成功をもたらす「地位」から遠ざかってしまう「不合格」は挫折となり、それらに意味や価値を見出すことは困難です。
 しかも、物質主義的な観点だけを活用して生きてしまうと、「人間は、ある親のもとに偶然に生まれ、偶然の積み重ねである人生を生き、ある時に偶然死ぬ」という考え方が大前提となります。
 このような、物質主義の限界を超えるためには、スピリチュアルな観点を応用しながら生きることが有益なのです。
 ただし、スピリチュアルな観点は、これのみに偏りすぎたり、使い方を誤ると、物質主義的観点をまったく無視した、不自然な社会生活にあこがれてしまう危険性があります。私たちが人間として物質世界に生きているかぎり、物質世界で人間として生きるにあたって必要な社会的役割を果たし、社会的な規則に従わなければなりません。この物質世界では、仕事をしてお金を稼ぎ、人間関係のしがらみに縛られながら、社会生活を通じて学ぶことにこそ、大きな意義があるからです。
 
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