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 魂との対話
 ゲーリー・ズーカフ・著 坂本貢一・訳
サンマーク出版
 
 
 ひとつのなかにすべてがある

 私たちの世界は、「来世は存在しない。そして、この人生のなかでパワーの基盤となるのは、物理的に所有できるものだけである」という、私たちの基本的なアイデアが投影されたものである。
 私たちはときおり、来世について話をする。しかし、「自分たちは地球を離れたあとでも、地球上で行なった自分たちの選択の数々に責任をもたなくてはならない」ということをほんとうには信じていない。もし信じていたならば、これまでに私たちが行なってきた選択の内容は大きく異なったものとなっていたはずである。
 私たちの種(しゅ)は、もはや謙虚さを失ってしまっている。生命に対する畏敬の念も所持していない。私たちはいま、傲慢であり、自分たちのテクノロジーで身動きがとれなくなっている。
 私たち人類は、万物を支配しているのは自分たちだという幻を手に、自分たち自身を持続的に誘惑している。そしてその結果、混沌を創造し、万物を支配することなど不可能だという事実に目を向けることを拒絶しつづけている。
 私たちは地球から奪いつづけている。お互いに奪い合ってもいる。私たちは森を、海を、そして大気を破壊しつづけている。私たちはいま、互いに搾取し合い、苦しめ合い、殴り合い、辱め合い、殺し合ってさえいる。
 
 もしあなたが、責任ある選択を通じて意識的に進化することを決断したとしたら、それはあなた自身の進化のみならず、あなたが属している人類という集団の進化にも貢献することになる。あなたの決断によって進化を遂げるのは、あなたばかりではなく人類全体なのである。
 もしあなたが、愛と思いやりに満ちた世界を望んでいるならば、まずあなた自身が愛と思いやりに満ちるべきである。この世界から恐れをなくしたいならば、まずあなた自身が恐れなくなることだ。それは、あなたが世界に与えることのできる価値ある贈り物である。国家間に存在する恐れは、個人と個人のあいだに存在する恐れの集合体である。
 人間はそれぞれ、自分が個人的に体験する人生の質に責任がある。と同時に、その責任は人類全体の体験にまで及んでいるのである。
 たとえば、核戦争による人類の滅亡は、この地球上のマクロ・レベルのアイデアである。そして、そのアイデアが消滅するためには、ミクロ・レベルでの完全な進化が求められる。国家同士の怒りや敵意を癒すことで平和な世界を築こうと奮闘をつづけている人たちがいるが、その目的の達成は、彼らが自分たちの内側に怒りや敵意を抱いているあいだは、夢のまた夢である。
 ひとつのなかにあるものが、全体のなかにある。究極的には、すべての魂がそれぞれに、世界全体に対する責任を負っているのである。
 
 
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