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 地球村宣言
 高木善之・著 ビジネス社
 
 動く大地

 1800年頃、大地は茶色の巨大な動物たちに埋め尽くされていました。大地が動いていると言われたほどでした。アメリカン・バッファローです。推定で6千万頭がいたと言われています。しかし移住者によって大量に撃ち殺されていきました。
 インディアンはバッファローと共生していました。彼らも殺さなかったわけではありませんが、生きるための最小限、肉は食料に、角はコップに、シッポは蠅たたきに、毛皮は衣料に、胃袋は水筒に、骨は道具にと、みな大切にしていました。
 もともとアメリカ大陸にはインディアンが住んでいたのですが、ヨーロッパから移住してきた白人が、インディアン全滅作戦の一つとしてバッファローの全滅をはかったのです。その大量虐殺はすさまじいものでした。西部劇はそれを白人の側から描いたものです。

 
危機一髪

 1868年、絶滅寸前のバッファローを保護しようと立ち上がった人たちがいました。当時の政策のなかではとても勇気ある行動だったのです。やっと集めたバッファローはたった3頭でした。幸い繁殖力のあるオスとメスが残っていたために、多くの努力によって現在6万頭にまで回復しました。この例は、種の絶滅が救われた明るい話として語り継がれていますが、当初の6千万頭に比べると実に99.9%減ってしまったのです。

 
生物種の大絶滅

 これまでの地球の歴史で、全植物種の大半が絶滅するという大絶滅期が5回ありました。原因は巨大隕石の衝突、地殻変動、異常気象など自然の脅威によるものでした。しかし、いずれの大絶滅も非常にゆっくりと進行し、新たな種が形成されたのです。
 ところが現在は、過去のどの大絶滅をも上回るスピードで生物種が絶滅しているのです。絶滅のスピードを過去と比べてみると、1万年前は百年に1種、千年前は十年に1種、百年前は1年に1種、現在は1日に百種、1年では4万種という信じられないスピードで種が絶滅しているのです。

 
その原因は

 以前の絶滅は乱獲によるものがほとんどでした。「羽が美しい」「肉がおいしい」「毛皮が欲しい」ということで特定の生物をねらったものでした。しかし現在は、そのようなねらい打ちではなく、生態系を根こそぎ破壊することによる無差別の絶滅です。
 農薬や殺虫剤などの化学物質を大量にまいて、土、水、大気を汚染しています。山を崩し、湖や海を埋め立て、川や海岸を護岸工事によって破壊しています。アスファルトやセメントで町中の土を固めてしまっています。ゴルフ場建設や伐採で森林を全滅させてしまいます。

 人間は1本の織り糸に過ぎない

 人間が認識するしないにかかわらず、あらゆる生物はお互いに深く関わり合い、支え合って生きています。これを「生命の織物」と呼びます。人間も例外ではありません。
 次はシアトル酋長がアメリカ大統領に宛てた手紙の有名な一節です。

  我々は知っている……
  生命の織物を織ったのは人間ではない
  人間もその織り糸の1本に過ぎない
  生命の織物にしたことは、
  すべて自分自身に返ってくることを……
 
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