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日本に仕掛けられた
最後のバブル
ベンジャミン・フルフォード著 青春出版社
 
“アメリカ並”に広がりつつある日本の格差

 ‥‥(中略)‥‥
 そしてこれと同じ現象が今、日本でも起きている。バブル崩壊を経てから日本の社会はどんどんおかしくなっている。私が上智大学で学んでいた80年代にはまだまだ残っていた中流意識は徐々に薄れ、非正規雇用という形態で働く人々は年々増加している。
 戦後の焼け野原から奇跡の復興を果たしたアジアの理想郷は、今やアメリカに次いで格差の激しい国になってしまった。
 中間層の給料が増えないなかで、食費、光熱・水道費、交通費、通信費が上昇。生活必需品の値段が上がることで、肌感覚の生活の厳しさは増していく。加えて、15歳から24歳という若い世代の失業率は10%に達し、フリーターの数も80万人を突破。学校を卒業しても正規雇用の職に就けず、非正規雇用のまま年齢を重ねていく若い世代も増えている。
 アメリカに比べればはるかに低い失業率ではあるが、将来的に豊かな富を持つ親の世代が去っていた時、どうなるのだろうか。

 失業と低収入に苦しめられる若者

 注目されたのは、OECDの審査項目のひとつである「相対的貧困率」。だ、これは各国生産人口(18歳から65歳まで)の可処分所得に着目したもの。ちなみに、可処分所得とは、所得のうち税金や社会保障負担などを差し引いた実所得のことだ。
 日本は「相対的貧困率」で調査対象17カ国中、アメリカの13.7に次いで13.5とワースト2位にランクされた、
 私はこう考えている。現時点で日本は間違いなく、アメリカ式の生きづらい国に向かって進んでいる。この流れは止めなければならない。
 少子高齢化が進み、働く若い世代は大きな負担に脅えている。インターネットで簡単にアクセスできる厚生労働省の勤労統計をチェックしてみてほしい。
 国内の「パートタイム労働者」は2000年を100とする指数で、2005年の調査では124.6へと大幅に上昇。逆に、正規雇用の動向を示す「一般労働者」は、93.6に低下しているのだ。
 ドル石油体制の代理人たちが仕掛けたグローバル・スタンダードを押し付けられ、日本の企業はかつてのアメリカを追うかのように生産拠点を海外に移している。その結果、日本各地でさまざまな優遇処置を講じて誘致した企業が短期間で撤退を決め、自治体の財政、地域の雇用が失われるケースが後を絶たない。

「下」しか見られなくなっている日本人

 たとえば、千葉県では固定資産税の減額などでなんとか誘致した液晶ディスプレイ工場が、操業開始からわずか6年で撤退。数年前、華々しくスタートした大阪府堺市のシャープの工場も同様だ。
 工場の撤退は地元の人にとっては働く場を失うことになり、ホテルやマンション、アパート、飲食店にとってはお金を落としてくれる利用者の激減を意味する。大企業に依存している街ほどその打撃は大きく、地域そのものが破壊される。国内での雇用にこだわり続け、国内工場でのハイブリッドカーの生産を続けていたトヨタですら、生産の場を国外に移そうとしているのだ。
 こうして、ただでさえ少ない働き先が減ったうえ、彼らへの税金や社会保障の負担は増えている。収入の中から出ていく金が増えているのに、安定した雇用が保証される正社員の数は減り続け、低賃金の非正規雇用で働く人々が年々増加すれば、その結果はどうなるか……。日本が生きづらい国になるのは当然のことだ。
 もはやブームも過ぎ、日常と化した格差や貧困の報道は、現状を伝える意味で必要なことだが、もう一歩踏み込んだ追及が足りない。貧しい暮らしをせざるえなくなってしまった人々の日々を見聞きし、同情するだけでは問題は解決しない。
 なぜ日本がこうなってしまったのか。小泉元首相、竹中大臣の時代を含め、ドル石油体制を維持する闇の権力者たちによって打ち込まれた「アメリカ式の改革」の悪影響を追及せずして、格差を語ることはできない。
 この流れに反抗しようとした政治家は失脚させられ、時には先ほど紹介した人々と同じく不可解な最期を迎えている。古くは田中角栄がロッキード事件で、金丸信が金屏風事件で、竹下登はリクルート事件で実行力を奪われた。いずれの事件でも必ずヤクザが絡み、警察と検察が動く。背後には闇の権力者たちの存在があり、彼らの代理人が手を下す。
 その後も橋本龍太郎や小渕恵三が消され、中川昭一が不可解な飲酒会見で政治生命を絶たれただけでなく、命まで奪われた。闇の権力者たちの狙いは、手なずけやすい富裕層に有利な改革を進め、格差を広げていくことにある。なぜなら、人々は暮らしを圧迫されると、生活することで精いっぱいになり、余裕がなくなる。
 身の回りのことが最優先になり、政治や経済、選挙への関心は下がっていく。するとどうなるか。支配層にとっては非常に管理しやすい人々が増え、より物事が進めやすい状況ができあがっていくというわけだ。

★なわ・ふみひとのコメント★
 世界支配層によってアメリカの後追いをさせられている日本社会は、今後ますます貧富の差が広がり(二極分化し)、日々の暮らしをどうするかと頭を痛める人たちが大多数を占める国になっていくことでしょう。そのような人たちは、政治やマスコミの問題点について考える余裕はなく、ただ毎日の生活に追われるだけということになります。つまり、支配層にとっては大変管理しやすい集団となっていくのです。
 一方、株などの金融資産によって経済的な豊かさを享受している一部の富裕層は、そのような暮らしを手放したくないと考えますから、社会の問題に目を向けることはしなくなります。この本の著者が鋭く分析しているように、国民の間に所得の格差が広がれば、支配層にとっては非常に管理しやすい人々が増えていくということです。いま復活した自民党の安倍政権のもとで生まれつつある日本経済の第二のバブルには、人々の所得格差を広げるための悪質で巧妙な爆弾が仕掛けてあると見ておくべきです。前回のバブルとそのバブルが崩壊したあとの悲惨な社会の状況を実体験した層が少なくなっていますので、多くの人がこの時限爆弾の犠牲になるのは避けられないと思います。


 
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