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 ミカドの国を愛した
[超スパイ]ベラスコ
高橋五郎・著  徳間書店
 
 
 山本五十六は「世界の陰の組織」の最高位の人物だった

 山本五十六は「世界の陰の組織」の最高位の人物だった、とズバリ断定した医師が東京近郊にいた。歴史教科書や権威を額面どおりに信じてきたすべての人びとを仰天させるのは、ベラスコ、マリンズ、それにコールマン博士らばかりではなかった。
 その日本人医師の説はベラスコが語る世界とほぼ符合していた。その医師、故川尻徹博士は精神科医。博士はノストラダムス予言詩の解読に優れた人物だといわれている。博士は、山本五十六が陰の組織に仕えた人物だと断定していた。山本は真珠湾攻撃を企てることで、太平洋戦争の終結を早めて戦争を終え、日本を決定的破滅から守ろうとした人物だと博士はいう。
 さらに、山本のソロモン諸島での死は山本が所属した国際組織(フリーメーソン)の工作による偽装死であり、山本はそこでは死んでいない。だが、その真実を大本営は知らないまま現場報告どおりに山本死亡を発表しているという。
 山本がロンドン軍縮会議出席のさい、ナチス外交部長のリッペントロップ(のちの外相)らや重要人物らと密会したのは知られている。そのさいに国際組織(メーソン)に人会したのだろうと博士はいう。組織内での山本の地位はヒトラー以上だったといい、天皇、米内光政、井上成美などの「条約派」は山本が入会した事実を知っているはずだと断定する。
 当時の陸海軍両軍部の戦争政策観の違いや内部の亀裂などが、山本の行動を決めていたのだという。やはり、国際派でキリスト教典に親しむ海軍軍人のいわゆる条約派の一人である山本が「神様」として枢軸国、つまりヒトラーを取り巻く国際組織と交わった可能性はあるのだろうか。
 メーソン結社が果たして「日本国益」のために働くメンバーを加入させるだろうか。メーソンにかかわる人びとには二種類のタイプがあるといわれる。
 マリンズの視点でいえば、その一つは、国際人を自負し、祖国(皇室を含む)の将来を憂う「ユダヤ人知らず」の善良な人びとであり、結果的にメーソンの利益に協力させられている人びと。もう一つは、メーソンの威光を借りて自己の栄達と蓄財にのみ励む、いわば確信犯的金満紳士タイプ。 前者の人びとは、世界のなかの日本がいかに弱いものかを痛感して、強い者の側に「寄生」したのだろうか。そして後者のタイプは、前者のように組織の威光を借りて、金儲けのみを目指す人びとなのか。
 この両タイプとも外国語が堪能で世界の動向に明るく、キリスト教典に造詣が深く、自由・平等・博愛をうたって閥歩するようだ。なによりも一般社会人としての信用度を疑われない人物であることが、メーソン側の「審査基準」のようだから、彼らの行ないは庶民の耳目には届かないという利点もある。
 山本五十六はどちらのタイプにも属さなかったのだろうか。
 新宿の宿で足の裏を指圧しながらたずねた私の質問に狸寝入りで答えたベラスコは、かつてこんなメモを残していた。
 1941年12月10日、ロンドンのスペイン大使館執務室でベラスコがワインを楽しんでいたその場に一本の電報が飛びこんできた。内容は、マレー半島沖のクワンタンで英国東洋艦隊の旗艦プリンス・オブ・ウェールズ号とレパルス号が、日本海軍航空隊の攻撃で壊滅させられたという至急電だった。
 電文を読んだベラスコの頭を瞬間よぎったその印象を残したメモには、「あれはまさに栄光に包まれた山本の三菱に対する労作であり、恩顧に報いるもの以外の何ものでもなかった」とある。ある訳者は「労作」を「工作」と訳した。
 山本五十六の遺体については、戦後の現在でもさまざまな謎が残されている。細工が施された公式遺体検安書、陸軍のさしがね説、山本替え玉説(生存説)などがそれらである。
 今年(1994年6月)、私はソロモン諸島ガダルカナルで、深夜土砂降りの雨をついて一人の地元民と出会った。男は山本機が撃墜されたブーゲンビル島ブインの密林の地主の後継者で41歳。ブイン周辺は独立戦争(パプア・ニューギニア政府と、ブーゲンビル島の分離独立を求めるブーゲンビル革命軍の戦い)の真っ只中にあった(1994年9月3日に和平交渉が成立した)。男の兄弟3人は最近、革命軍兵士に射殺され、彼は木舟を漕いで対岸のソロモン領ショートランド島に逃げのびてガダルカナルにいるブイン出身の友人宅に身を隠していた。
 「祖父と父から固く口止めされていた。撃墜機の山本は生きていた。祖父が彼を助けだした」
 男は私にそう語った。

★なわ・ふみひとのコメント★
 
戦死したことにすれば、真珠湾攻撃を強引に実行に移した山本五十六の罪を問う必要がなくなります。それを見越して、ミッドウエー海戦で日本海軍の主戦力を壊滅させた山本五十六を、ブーゲンビル上空で戦死したことにしたのです。2000人を超える死者を出した真珠湾攻撃の首謀者・山本は、アメリカからすれば最も厳しくその罪を問いたい人物のはずですが、何のお咎めもないのです。今日、日本のマスコミが山本を英雄視さえしていることの不自然さは何度もご紹介してきた通りです。陸軍の首脳部は絞首刑、開戦を担った海軍は誰も罪を問われることがない理由が、本日ご紹介した内容からおわかりになると思います。
 私の手元にある『山本五十六の最期』(蜷川親正・著/光人社NF文庫)には、その山本五十六の遺体を発見した捜索隊に属していた浜砂少尉の目撃談話が紹介されています。それは山本五十六の死が紛れもなく偽装死であることを証明する内容です。この一点を見ましても、海軍の中枢がフリーメーソンによって完全にコントロールされていたことがわかります。ミッドウェー海戦で主力艦隊を計画的に壊滅させ、日本の敗戦を確定させたあと、山本五十六を戦死したことにして、終戦後に予定している東京裁判で戦犯として処刑することを避けるために、海軍ぐるみで偽装死工作をした(させられた)経過が読み取れます。そこには大変大きな力が働いていることがわかります。

 
 
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