ユングは
知っていた
コンノケンイチ・著 徳間書店 
第3章 宇宙シンクロニシティの警鐘

 一大スペクタクル「ファティマ大奇跡」

 巨大シンクロニシティが、10万人もの大群衆を前に現実の出来事として発現したのは、私の知る限りでは「ファティマ大奇跡」をおいて他にはない。「神」という正体がどうあれ、その存在の事実を、有無を言わさず人類全体に悟らしめたのが「ファティマ大奇跡」だった。それほど空前絶後の現象だったのである。
 ファティマの奇跡については日本でも多くの本が出版されており、すでに私も『月のUFOとファティマ第3の秘密』でも触れているので、ここでは大筋だけを述べる。
 1917年5月13日、まばゆい光とともに美しい貴婦人(後に聖母マリアと称される)が、ポルトガルの僻村ファティマに住む3人の子供たちの前に現われ、毎月13日、この場所(コバ・ダ・イリヤの丘)に来るように子供たちに命じた。
 約束どおり子供たちは毎月13日、その場所に行って貴婦人とコンタクトした。そのとき多くの超現象(イナズマや強烈な光、ブーンという唸るような音、太陽の輝きが失せる、気温の低下、貴婦人の乗った球体の出現、立ち去るときの大音響など)が多くの群衆に目撃されている。
 後に大きな関心を呼んだ「第三の予言」のバチカンへの伝達は、3回目のコンタクト(7月13日)の際に行なわれた。そのとき貴婦人は最後(6回目)の10月13日、皆の前で大奇跡を行なうことや、自分の正体を明かすことを子供たちに約束した。
 最後の日、ファティマのコバ・ダ・イリヤの丘には、降りしきる雨のなか、10万人もの大群衆がつめがけた。正午、上空をおおっていた黒雲を割って、巨大な円盤状の物体が出現、燃えさかる車輪のように回転しながら四方八方へ無数の色彩の光線を発射した。物体は回転を中止すると水平に移動し、また元の位置に戻ると再び回転を始める。二度の小休止をはさんで再開された三度目の色彩放射は、それまでにない激しいものだった。
 それは目もくらむような急降下で始まった。それを見た大群衆は激しい宗教的な怖れを抱き、いっせいに凄まじい叫び声をあげた。群衆は恐れおののき、ほとんどの人は最後の日が来たと思い込み、自分の犯した罪状を告白し始めたほどだった。
 物体が去ってから群衆は仰天した。雨に打たれてズブ濡れになっていた自分たちの衣服をはじめ、木々や地面が完全に乾燥していることに気づいたからである。この壮大なスペクタクルがくり広げられたのは、時間にして10分あまりのことだった。
 
← [BACK]          [NEXT]→
 [TOP]