ペットが死ぬとき
誰も教えなかった別れの意味
シルビア・バーバネル 著 近藤千雄 訳・編
ハート出版
 

 おしまいに

 フローレンス・キングストーン女史は、霊媒の中でもとくに動物との縁の深い方で、その交霊会にはよく動物が出現します。物質化する場合もあれば、霊視してその様子を語って聞かせることによって、多くの動物愛好家に慰めと喜びを与えている人です。
 そのキングストーン女史が幽体離脱で動物界を見物して、その様子を次のように述べています。

 人間と同じく動物も、死の直後は睡眠状態にあり、その中で早く目覚めるものと、長時間にわたって眠り続けるものとがいますが、置かれている環境は柔らかい淡い黄金色に輝き、動物たちは生前そのままの姿で快適に遊び暮らすようになります。
 その中にあって可哀そうなのが、大量に「と畜」されたり薬殺されたりした動物たちで、とくに「と畜」されたものは恐怖におののき、本能的に復讐心に駆られて暴れまわっているといいます。
 が、霊界にはそうした動物たちの看護に当たる専門家がいて、それなりの手段を講じているので、そのうち興奮もおさまって、それぞれの種属の界へと連れて行かれます。その中でもとくに人間との愛情関係が強かったものが人間界に留まり、かつての飼い主が気づいてくれなくても、いっしょの生活を営んでいるというのです。
 ですから、愛する動物たちの死を必要以上に悲しむのはよくありません。戻ってきた動物たちの方がむしろ戸惑います。動物は人間の子供と同じで、単純で素直ですから、言葉を発しなくても、手で撫でてやらなくても、心に愛情を抱いているだけで、それを感じ取ってくれるのです。
 悲しみの念を抱き続けていると、動物たちの方はなぜ悲しんでいるのか、なぜ涙を流しているのかが理解できないのです。
 あなたには霊視能力はないかも知れません。可愛がっていた動物たちがすぐそばに来てくれていても、それが見えません。毛なみのいい猫のあの毛ざわりは、もう感じ取ることはできないかも知れません。明るくさえずってくれた小鳥の歌声は、もう聞かれないかも知れません。
 しかし、一度あなたが愛情をそそいだ動物たちは、必ずあなたのそばに帰ってきております。そして、生前と同じ愛の波動を感じ取っているのです。あなたが地上の務めを終えて霊界入りした時、きっとその動物たちが迎えに来てくれるはずです。
 そこで、最後に私からのお願いがあります。人情の機微を知らない安直なアドバイスとの批判を浴びそうですが、本書で紹介した霊的知識の上に立って申し上げることですので、ともかくも耳を傾けてみてください。
 愛する動物を失ったら、なるべく早い機会に新しい動物を求められることです。前のと似ていなくてもいいし、まったく別の種類でもいいでしょう。それが前の動物の代わりをしてくれるわけではありませんが、少なくとも気を紛らし、悲しみを和らげてくれるでしょうから、あなたの精神衛生上からいっても良いだけでなく、霊界の動物たちにとっても、良い波動を受けるようになって喜ばれるはずです。
 それが理由の一つです。もう一つ理由があります。人間の愛を必要としている動物たち――捨てネコ、野良犬など――があまりに多い今の時代では、一匹でも人間が面倒を見てやるべきではないでしょうか。
 そういう気持になってくれる方が一人でも多くなってくだされば、本書を上梓した私の労が報われることになるのです。
 
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