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 脳と波動の法則
 宇宙との共鳴が意識を創る
濱野惠一・著  PHP
 
 
 私たちにも見られる不思議な心の働き

 当時イギリスの大学生であったジョン・ゴッドレイは、1946年の朝起床すると、2頭の馬の名前が自分の頭の中で、駆け回っているのに気づいた。よく考えると、昨晩、夢の中で読んだ新聞の競馬の欄で、この2頭の馬の名前を見た記憶を思い出した。彼は競馬好きの友人に、今日これらの馬の出走する競馬があるかどうかを尋ねた。確かにその2頭の馬は存在した。そこでゴッドレイは、偶然に見た夢を信じて、別々のレースに出走する2頭の馬に賭けることにした。彼にとって競馬は初体験であった。結果は賭け馬のどちらも勝ち馬となり、彼は100ポンドを越える配当を得たのである。これ以後、彼は再々同様な競馬の夢を見るようになり、その度に夢の中に出てきた馬に賭け、競馬に勝ち、やがてイギリスで彼は勝ち馬の「心霊予言者」と評判されるようになった。
 この種の夢を出現させた刺激は一体何であったのであろうか?
 透視診断と治療や予言で有名なエドガー・ケイシーの場合も、自分が超感覚的な知覚能力、つまりESP(Extra-sensory Perception)能力を持っていることに最初に気づいたのは、ある偶然のきっかけからであった。22歳の時、彼は声が出なくなり、セールスマンの職を辞さねばならなくなった。これは当時新婚であった彼にとって、その生活を維持していくための大問題であった。そこでケイシーは催眠療法を受けるため、催眠術師を訪ねた。催眠術師はケイシーを催眠状態にし、自分の健康状態について彼自身に語らせた。その時ケイシーは自分の諸症状を指摘し、さらにその治療法までも、専門的な医学用語を用いて説明したのである。催眠状態から覚めて、催眠術師の治療記録を読まされ、催眠中のことを知って、彼は当惑した。催眠中に彼が使用した医学用語のほとんどは、彼がそれまでに聞いたことのないものであったからである。
 この偶然による出来事をきっかけとして、ケイシーは自分が持っているこの特異な能力に気づき、その後この能力を積極的に利用して透視診断・治療や予言活動をし、世界的に有名になったことは周知のことである。
 この例もゴッドレイの場合と同様、それまで自分でも知らなかった医学知識が、突如ケイシーの脳に浮かんだのはなぜであろうかという疑問にぶつかってしまう。
 このような少数の特異な能力を発揮した人物例でなくとも、通常、よく学者や芸術家に見られる「閃き」も、これと全く同じであるといえる。創造的な発見をした学者や芸術家たちの「閃き」へのアクセス過程は、まずある創造的な問題に心を奪われることから始まる。
 そしてその問題を解明するために、四六時中彼らはそのことを考え続けるようになる。やがて一定の期間、この問題に没頭していると、もう思考がそれ以上発展せずに堂々巡りになり、停滞状態に陥る。問題解明の目処が立たず、一種のフラストレーション状態になり、問題を投げ出しそうになる。苛立つが生産的な思考は浮かばない。
 しかしながら、実はこの段階は、これまでの考えでは思いもしなかった、天啓ともいえる解明への「閃き」が、暗闇の中を稲妻のように走るのを待っている時にあたるのである。次の段階でこの天啓の「閃き」が、到来するのだ。
 これまでに創造的な仕事を成した人たちは、新しい発見の基となったこの「閃き」を、異口同音に「これは私が考えてもみなかったことであり、何か私たちよりも高度な知を持った存在から、私に啓示されたものだ」と述懐している。これは個人内の既知の知識の再構成で、「閃き」を説明することが不可能なことを示している。
 また特定の刺激があっても、還元論者の考えているような脳機能としての反応が生じない場合もある。思想研究室ローレンス・ブレアの著書“Rhythms of Vision”(『超自然学』平河出版社、1993年)に、その典型が掲載されている。
 それは1520年、世界周航を目指すマゼランとその一行が、南米最南端のフェゴ島に達した時のことである。マゼラン一行は上陸して水や新鮮な野菜を補給するために、自分たちの大型帆船4隻を島の湾内に一時停泊させた。何世紀もカヌーだけで生活してきた島民たちは、上陸してきた彼らを驚きの目で見た。しかし島民たちには、彼らが何で来たのか分からなかった。フェゴ島の人々の目には、湾に錨を下ろしている大型のスペイン帆船の船団が映らなかったのである。島民の脳内では、大型船団に視界をさえぎられることなく、いつものように湾の向こうに伸びる水平線が見えていたのである。この事実はその後、何度目かのフェゴ島再訪の際、島民たちが語ったことから判明した。
 進化論の提唱者チャールズ・ダーウィンも、これと全く同一の体験を、自著“The Voyage of the Beagle. New York : Doubleday, 1962”で記述している。

 ★なわ・ふみひとのコメント★
 
この本では「脳と心の関係」が科学的に説明されていて、大変説得力があります。結論は「心の働きは私たちの脳機能が作り出す現象ではなく、脳は私たちと宇宙を繋ぐための心の変圧器として機能している」ということです。変圧器としての脳の機能が向上すれば、私たちが感知できる世界は変化するということです。それが“超能力”と呼ばれている現象なのです。
  そして、現在は全機能の数パーセントしか働いていないと言われている私たちの脳が、終末のカタストロフィーを経験することによって突然フル稼働するようになると見られています。現在でも“火事場の馬鹿力”といった形で、危機に直面した人が自分でも驚くような肉体能力を発揮した事例がいろいろ報告されていますが、終末の大峠では、そのようなことが人類全体に一度に起こるということです。脳機能の縛りが取れたとき、私たちに感知される宇宙は現在の宇宙とは全く異なっていることでしょう。
 
 
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