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 浮かれバブル景気から
衰退させられる日本
副島 隆彦 著  徳間書店
 
 軍事衝突が起きて日本経済は破滅へ向かう

 浮かれバブル景気の一方で、急激に安全保障問題(軍事の問題)が出てきている。尖閣諸島問題の領土紛争が緊張を増している。中国の「国家海洋局」の監視船も元気いっぱいそうだから、日本の海上保安庁の巡視船とぶつかり合う可能性が高い。
 安倍・オバマの首脳会談では、尖閣諸島の問題も取り上げられた。安倍首相は、CSISでの講演で次のように話している。

 
「首相、中国けん制…尖閣巡る挑戦容認できず」

 安倍首相は2月22日(日本時間23日)にワシントンで行った政策演説で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を巡る中国との問題に関し、「挑戦を容認することはできない。我が国の決意に関し、どの国も判断ミスをすべきではない」と述べた。
 質疑応答では「私たち自身の力でしっかりと日本の領土を守っていく」と強調し、中国の挑発行為をけん制した。演説は米有力政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」で行われ、リチャード・アーミテージ元国務副長官ら米国の知日派が多数出席した。
 首相は講演で、日米同盟に関し「堅牢ぶりに、誰も疑いを抱くべきではない」と述べた。「日本は二級国家にならない」としたうえで、アジア太平洋地域における法の支配に貢献し、米国や韓国、オーストラリアなど地域の民主主義国家との協力関係を強化する意向を表明した。
 首相は尖閣諸島について、「日本の領土であることは法的にも明らか」と述べた。日本が島を領有した1895年と、中国が領有権を主張しはじめた1971年に言及、「(この間)日本の主権に対する挑戦は誰からもない」として、中国の主張は不当との認識を示した。一方で、首相は「問題をエスカレートさせようとは思っていない」と語った。「私の側のドアは、中国指導者のため常に開いている」として対話を呼びかけるなど、硬軟両様で中国に臨む構えを示した。
 (読売新聞 2013年2月24日)


 ところがオバマ大統領は首脳会談では、安倍に対して言を左右にして、うんともすんとも言っていない。次に載せる記事のとおり、ホワイトハウスのカーニー報道官が、「ヒラリー・クリントン氏はもういません」と言った。米外交政策はヒラリーが去ったことで大きく転換した、ということだ。オバマ大統領は日中の尖閣問題に首をつっこむ気はない。アメリカは参戦しない。

 
「米報道官、尖閣問題で返答に窮し『知らない』」

 沖縄県の尖閣諸島に関する米政府の立場について、カーニー米大統領報道官が、2月22日の記者会見で米記者の質問を理解できず、返答に窮する一幕があった。
 尖閣問題でクリントン前国務長官は、今年1月、「日本の施政を害しようとする(中国の)いかなる一方的行為にも反対する」と、従来より踏み込んだ表現で中国をけん制し、日本政府はこれを歓迎していた。(ところが)同日の日米首脳会談直前の記者会見でクリントン発言に関する質問を受けたカーニー氏は、「クリントン氏はもう長官ではないが……」などと的はずれの回答をしたうえで、「その発言は知らない」と述べた。
 同日の日米外相会談では尖閣諸島への日米安全保障条約適用を再確認した。が、大統領の考えを代弁する立場の報道官の関心は低いことが露呈した形だ。
 (読売新聞、2013年2月23日)


 このカーニー報道官の「クリントン氏はもう辞任しました」という発言は重要である。ヒラリー時代と違って、アメリカ軍は尖閣諸島で日本が中国とぶつかっても出動しない、と言ったに等しい。
 ヒラリーが昨年12月16日にゲロを吐いて倒れて、このあと脳血栓だと分かった。この時にアメリカの外交政策(軍事・安全保障を含む)は大きく変わったのだ。実は安倍晋三を首相に選んだのはヒラリーだった。それまで最有力視されていた石破茂は一気に干された。残念ながら、石破茂はこの次の首相候補者からほぼ外されただろう。石破茂が中国に近過ぎるということが、アメリカに嫌われているからである。
 日中関係の現状を打開する政府間の話し合いはなかなか行われない。それは2月22日のワシントンでの首脳会談の後の安倍の講演発言で、またまた中国側を怒らせたからだ。

 
「中国『わが外交政策を歪曲、ただでは済まさぬ』=安倍首相に反発」

 米紙ワシントン・ポストは2月21日付で、安倍晋三首相が尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡る日中の対立について、「中国の政治構造に根深い問題があると発言した」と報じた。
 安倍首相の発言に対し、中国外交部の洪磊報道官は2月21日、「日本が中国の領土に干渉し、歴史および中国の外交政策を歪曲しようとしていることは座視できない」と述べ、「何らかの対抗手段をせずには済まさない」との考えを明らかにした。中国新聞社が報じた。
 洪磊報道官は、われわれは報道内容に大きな驚きを感じていると述べ、「隣国について公然と歪曲、批判し、国家間の対立を煽る安倍首相の発言が、国際社会の理解を得ることは不可能だ」と反論した。
 洪磊報道官はさらに、「日本が中国の領土に干渉し、歴史および中国の外交政策を歪曲しようとしていることは座視できない。われわれは日本政府に対して発言の真相を説明するよう強く求めた」と述べ、「何らかの対抗手段をせずには済まさない」との考えを明らかにした。
 (サーチナ、2013年2月22日)


 「ただでは済まさぬ」「何らかの対抗手段をせずには済まさない」という表現は恐ろしいコトバだ。このことに気づいている日本人はどれだけいるだろうか。
 この記事にあるとおり、中国は怒っている。ということは中国は必ずある程度の強硬な手段に出てくる。それに対して、なんと安倍首相は、ワシントンで「米国には頼らないで日本は自分でやります」と、言ってしまっている。これは非常に危険である。
 今度の7月の参議院選挙で自民党と維新の党で過半数の122人(定員240人)を占めるならば、憲法改正への道筋ができる。これだけが彼らの悲願になっている。それで、軍隊(国防軍)の出動ができる体制に日本の国家体制は急激になりつつある。軍事費(国防予算)の増強もこの中に入っているということである。まさに戦争経済(ウォー・エコノミー)である。
しかし安倍晋三の命脈は尽きる。その後を麻生太郎が狙っているそうだ。しかし麻生にしても景気回復(デフレ経済からの脱却)が見えて来ないと短命で終わる。その次は、小泉進次郎である。そして橋下徹である。
 この両方を日本の軍事総督Proconsulであるマイケル・グリーン(CSIS上級副所長)が上から操っている。グリーンは総選挙の直前に、「日本の左派に最後のトドメを刺す」と発言している(『東洋経済』誌 2012年12月12日号でのインタビュー)。
 秋までに、あるいは年内におそらく尖閣の海域で、公海(オープン・シー)上であれ、島から22キロ以内の日本政府が主張している領海内であれ、中国の監視船とぶつかり合うだろう。
銃撃戦になるかどうかは分からない。5人ぐらいの日本の海上保安庁の人間が海に落ちたりして死ぬだろう。
 ここではコンフラグレーションconflagrationという言葉が大事である。これは「火花が散る」というような意味で、本当に鉄火器が使われる軍事的な衝突である。もしこの軍事衝突(コンフラグレーション)が起きたら、日本は激しい円安に一気に向かう。株価は下落を始める。なぜなら戦争の当事者になると国内に緊張が一気に高まり、お金が日本から逃げ出すからだ。外国からの資金は戦争を嫌って、円建ての資金を急いで売却して逃げる。日本の軍事力は弱い。中国の軍事力の急速な成長を皆、甘くみている。通貨はその国の力を表すから、日本は弱いと見たら円安に動く。その時には1ドル120円というのが出現するだろう。このように私は予測する。

   ★なわ・ふみひとのコメント★
 
この本の著者が述べているように、アジアの2つの経済大国が尖閣諸島をめぐる軍事的な小競り合いから、双方の国家に深刻なダメージを受ける形になることは避けられないと考えられます。中国は、国民の貧富の差が拡大しているなかで、その不満のはけ口として日本との衝突を回避することはできなくなっています。尖閣諸島での軍事衝突が実際に起こってしまえば、かつての盧溝橋事件が日中戦争の引き金になったのと同じ形で、日中両国は否応なしに戦争への道を歩まざるを得なくなる可能性があります。それをきっかけに、わが国では円や株の大暴落が起こるということです。今後も尖閣諸島問題の推移から目が離せそうにありません。
 
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