人生の意味
THE PURPOSE OF YOUR LIFE
キャロル・アドリエンヌ・著 住友進・訳
主婦の友社  2005年刊
 
 
 この本のタイトルにあるとおり、多くの人が「人生にはどんな意味があるのか」ということを一度は考えたことがあるはずです。英文のタイトルは「人生の目的」となっています。つまり、この本は、「私たちはこの人生にどんな目的を持って生まれてきたのか」を考えるヒントを与えてくれているのです。
  著者は「人の数だけ人生の目的がある」と述べていますが、確かに人生の目的は人それぞれに違っているでしょう。しかし、はっきりいえることは、「人生の目的は
所有物、地位、職業、肩書きとはまるで関係がない。才能でさえないと言える」ということです。
  末尾に「人生の目的」について考えるヒントを11項目に整理してあります。本文を読み始める前に目を通していただくと、著者の言いたい内容の全体像がつかめると思います。もちろん、そのあとで本文をじっくり読んでいただくことをお勧めします。     (なわ・ふみひと)
 

  本書のテーマは、日常の生活のなかでシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)が起こる回数を増やしていくことだ。この目的を達成するには直感力を養う必要がある。そのためには、直感を得られやすくする状況を整えておくことが先決だ。
  自分の才能を疑ったり、人に対して復讐心を抱いたりというマイナスのイメージを持っていては、いくら有効なテクニックを身につけたところで、心の奥に直感が浮かび上がってくることはない。
  人間は直感という素晴らしい能力を持っている。この能力は私たちに、何をし、どこに行くべきか、また新しい情報はどこで手に入るか、‥‥を絶えず知らせてくれる。そして、素直にこの直感に従うとき、シンクロニシティが次々に発生して、進むべき人生の目的へと私たちを導き、さらに高い次元へと前進させてくれるのだ。
  知らず知らずのうちに植えつけられた先入観を取り除きさえすれば、本当の自分の姿が見えてきて、どんな人にも備わっている天賦の才が顔を覗かせるようになる。この事実を理解すれば、私たちの身の回りに起こる出来事のすべてが、いま自分の置かれている状況を正しく理解するための一助となる。

 あなたはすでに人生の目的に向かって歩んでいる

意識的に自分を成長させる
  家の中をあちこち歩き回って、ある部屋に入った瞬間、自分が何をしようとしていたのかを忘れてしまったことはないでしょうか。実は、生まれる瞬間、これと同じことが人間には起こっています。すなわち、生まれ落ちる瞬間、私たちはこの世で果たすべき目的を記憶の中から失ってしまうのです。でも、これは人間にとって必要なことなのです。それはなぜでしょうか?
  どんな人間にもたくさんの前世があるとするなら、そのひとつひとつの前世にはそれぞれの目的があります。そして、その目的を実現するために数多くの経験を積み重ねるのです。中には志半ばで果たせなかった目的もあるはずです。東洋では、この未完成の目的をカルマと呼んでいます。
  たとえば、あなたがある前世で、酔ったあげく一人の女性をめぐって人と決闘して、若くして命を落とした音楽家だったとしましょう。その人生で、あなたは自分の音楽の才能を磨くチャンスをふいにしたことになります。死んでいくとき、あなたはきっと激しい怒りを覚えたに違いありません。しかし、その未完成のエネルギー(カルマ)は、肉体が滅びたあとも消えずに残ります。
  つぎに生まれる前、あなたの魂は人生の目的を選択しようとします。そのとき、このカルマに次の人生でしっかり決着をつけるかどうかを決めようとします。しかし、人間は前世の無数の記憶や感情をすべて記憶したままで、新たな人生を始めることはできないのです。
  あなたは、前世の怒りをすべてため込んだままで新たな人生を始めたいと思うでしょうか。もちろん答えはノーでしょう。しかし、前世で因縁のあった魂とは、再び新たな人生でめぐり合うことになっています。その魂は、今度はあなたの恋人になるかもしれませんし、敵になるかもしれません。あなたの親ということだってあるのです。

  いままで説明した視点から人生を眺めるとき、とくに大切なことは「色眼鏡をかけて人を 見てはならない」ということです。なぜなら、世の中の常識と外見だけで人を判断することは不可能だからです。ホームレスとして暮らした体験を楽しんだ魂もあれば、ホームレスに手を差し伸べることで人生の目的を果たした魂もあるでしょう。
  自分勝手な判断を下さずに、物を見る目を養わなければ、意識的に成長していくことはできません。学歴やお金の余裕のある人間のほうが、悲惨な境遇に置かれている人間より偉いと決めつけることはできないのです。どんな人もその人なりの大切な人生を送っています。人の人生に優劣などないのです。

 シンクロニシティ

  長い間、当たり前だと思われてきた理論が、物理学、生物学、化学、生理学、遺伝子学、行動科学など、科学の領域全般で急速に揺らぎ始めています。マーガレット・J・ホイートリーの『リーダーシップとニューサイエンス』をはじめとする書物は、物質的現実のもとには目に見えない力が存在していることを私たちに教えてくれます。
  ホイートリーが説明する考えは、「場の理論」と呼ばれています。この理論では、「人類のなかの一定数の人間がある知識を獲得すると、その知識が一般にも広まっていく場が出来上がる」と想定しています。すなわち、新しい行動や技術などのパターンを一定数の人間が習得すれば、この新しいパターンが組織化された場として成立するというのです。

 魂の目的を発見するために必要なふたつの前提

●自分の身の回りに起こる出来事にはすべて意味がある
  人生に起こる出来事はすべて、人生の目的を実現するために必要だから生じているのです。この考えを受け入れるようになれば、いままで見過ごしてきた出来事にも注意を払えるようになります。そして、いまの人生がどうであろうとも、自分に与えられた状況を足場に、学習し、成長していくことで、次のより高いステップを選択できるようになるのです。
  一瞬一瞬が、人生の目的を発見するための大切な足場であり、次の段階に進んでいくための創造的チャンスなのです。自分の視点を外から内側に向けて、あらゆる出来事が起きた意味を見つけ出す努力をしてください。そうすれば、あなたのエネルギーの場(体を取り囲んでいる光の輪、すなわちオーラとして見ることができる)に著しい変化が起きてくるでしょう。心をオープンにしていれば、体内を駆け巡るエネルギーの振動数が増え、シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)が発生する回数も増し、あなたの前に輝かしい未来が開かれていくのです。

 新しい価値観

●自分とは誰か
  最近の研究で、社会学者ポール・H・レイは、「現在アメリカ人の間には、以前とはまったく違う価値観を持った人々が徐々に増えてきた」と話しています。そして、「いずれこの価値観は社会の主流になっていくだろう」とも言っているのです。
  この新しい価値観に賛同している人々は、環境問題ばかりでなく、生態系の維持といったより深い問題にまで関心の領域を広げています。また、自分の能力の開発に強い関心を抱き、新しいアイディアを進んで取り入れ、旅行好きで、海外の文化に敬意を表しています。個人、社会、地球といった区別なく、健康について深い関心を抱き、心理学、精神世界、人権問題にも真剣な目を注いでいます。また、人類全体に突きつけられている問題にも気づき、人間、種、地域社会、国家、大陸、気候のパターンの間に緊密な関連があることも理解しています。
  この価値観に関心を抱いている人のほとんどが中産階級で、彼らは社会の枠にとらわれることなく、ワークショップやセミナーでこの世界観を深めていこうとしています。ライフスタイルの面では、テレビより、本を読んだり、ラジオを聴いたりするのを好んでいます。また、物質的には何不自由のない生活をしていますが、能力開発やボランティアに関心を向けているので、コマーシャリズムに毒されていません。
  あなたは、このような価値観にうなずくことができますか? うなずけるとするなら、あなたもこの新しい価値観を受けている人間のひとりです。世界中のいたるところで、この新しい価値観が表舞台へと姿を現してきています。この流れのなかで、整体治療、鍼療法、睡眠療法、退行催眠療法、直感療法、霊的心理学などに関する関心が高まってきました。科学の分野に目を転ずれば、量子物理学や全体的医療の研究などがその例としてあげられます。
  新たに台頭してきたこのような価値観は、「問題に取り組むには、局所的な治療や応急措置ではなく、全体的な仕組みを体系的にとらえて解決をはからなくてはならない」ことを理解しています。
  このような新しいものの見方では、すべての出来事の背後に隠されているスピリチュアルな意味を探し出すことを重視しています。

●視点の変化
  特に1960年代以降、「自分とは何なのか?」「ひとりの人間がこの世の中でどのような貢献ができるのか?」といったことが問題視されるようになりました。そして、この疑問が新しい時代の幕を開き、「このまま無限の成長と拡大ばかりに目を向けていけばどういう結末が待ち受けているか?」ということを考える糸口をつくってくれたのです。それは同時に、全体の仕組みを体系的にとらえて問題解決をはかろうとするシステム思考の時代の到来を予言するものでもありました。
  システム思考の観点では、システムのひとつの部分がシステム全体に及ぼす影響や、個人が全体に対してできる貢献を検討しなくてはなりません。具体的に言えば、「アイオワ州で使用されている殺虫剤は、ボルネオの気候にどのような影響を及ぼすのか?」「ヒーリングは、肉体、精神、感情にどのような働きをもたらすのか?」といった質問をしなくてはならないのです。
  また、この時代、「現状をつくっているのは自分自身である」という新しいスローガンが精神世界の領域を席巻しました。このスローガンにより、外に向いていた人々の目は、自分の内面へと向かうようになったのです。
  しかし、この考えに慣れるまでには、かなりの時間を要しました。というのは、「現状をつくっているのは自分自身である」という言葉は、人に罪の意識を抱かせるおそれがあると思われていたからです。たとえば、「私が癌になったのは、信仰心が足りなかったせいだ」とか「車にひかれたのは、いつもくよくよ考え込んでいたせいだ」といったたぐいの罪悪感です。この考えを文字通り解釈すると、自分の身に起こる出来事はすべて、自分があらかじめそうなるように仕向けていたかのように見えてきます。
  しかし、このスローガンは罪悪感とは無関係なのです。それが本当に意味するところは、「その人の見方によって世の中がどう見えてくるかが決まる」ということなのです。すなわち、「私たちが心のなかに抱いていることが、物質世界(現在の状況)に反映されている」という意味なのです。人間はその一瞬一瞬に、みずから望んでいる状況に自分の身を置こうとしています。それがいま、あなた自身の知覚、態度、信念がつくりだしている現状なのですから、現状に不満を抱いているなら、物の見方を変えていかなくてはなりません。

●いかに生きるべきか?
  心のなかのいちばん奥で、私たちはいつも「自分はこの世の中で何をすべきか?」という疑問を抱いています。自分が何かをやらなくてはならないことはわかっているのです。でも、それはいったい何なんでしょう? どうすればその義務を成し遂げることができるのでしょう? 今の世の中は、物事を善か悪か、明か暗かに区別して考える傾向があります。すべてのことに白黒をつける習慣が自然にできあがってしまっているのです。
  ところが、興味深いことには、人生における真実の多くは、白か黒かではなく、白と黒という矛盾する両方の要素から成り立っているものなのです。人生の目的を見つけ出すためには、この真実を素直に受け入れる柔軟な姿勢が何よりも必要です。
  このような人生における基本的な真実のひとつは、人生のなかで決められている出来事は何ひとつないが、「人生で起こる出来事は必ずその人にとってなんらかの意味を持っている」ということです。二つ目は、「人間には個人的欲望がある。しかし、その欲望は執着心を捨てたときに初めてかなう」ということです。個人的欲望を捨て、神や宇宙にみずからをゆだねた瞬間に願望が実現されるのです。

●宇宙のエネルギーの場のなかに自分の居場所を見つける
  私たちは、エネルギーが充満している広大な場(宇宙)の内側にいるちっぽけな存在にすぎません。しかし、人間は自分の意思や欲望を使って、この広大な宇宙のエネルギーの場に影響を及ぼしていくこともできるのです。人間の抱く意思はすべて、宇宙というエネルギーの場に届けられているのです。
  研究から、「光は分子(全体のなかの個)であると同時に波動(全体)である」ことが証明されています。同様に、「個人は人類の一部であると同時に人類全体でもある」と想定できます。システム思考の観点から見ると、地上に住んでいるすべての人間は、時間と空間によっては分離されず、互いに影響を及ぼし合いながら、永遠のきずなで結ばれているのです。
  こう考えると、自分のためにだけやっているように思えることが、実際には人類全体にも影響を及ぼしていることにもなります。サンフランシスコにあるセイブルック研究所の心理学教授ジーン・アーチャーバーグは、その論文で次のように述べています。
  「人類は生化学・神経生理学的に見ると、互いに共鳴し合っている量子のスープのなかで生きている。これが真実だとすれば、私たちが心のなかで考えていることは、とてつもなく大きな問題ということになる。なぜなら、精神的に進化した個人は、自分をはるかに超える地点にまでその影響を及ぼすようになるからだ。愛と情熱、憎悪と貪欲、富とあこがれなど、人間が心のなかに抱く感情はすべて、個人的感情だとばかりは言えなくなるだろう」

  人間はジレンマにも陥ります。果たすべき義務があるのに、それが何であるかを理解できないためです。人間はこの世の中に目的を持って生まれてきたことに気づいています。ところが、合理的な考えでは説明のつかない神秘的なものが存在しているのに気づかなかったり、世の中は弱肉強食の世界だと吹き込まれて育ってきたとしたら、人生の目的はこの世の中のシステムで勝ち抜くことだけのように思えてきます。
  このような考えにがんじがらめにされていると、毎朝4時に目を覚まし、まだ自分が手にしていない物質、評価、成功、家族や友人からの敬意などについてあれこれ考え、頭を抱え込むことになってしまうでしょう。しかし、このような呪縛からのがれることで、知識、人への奉仕、自分の居場所の発見に対する意欲も生まれ、愛、美、音楽、自然の静寂に対するあこがれも芽生えてくるのです。

  この世の中に、何の目的もなく生まれてくる人間などひとりもいません。私の知っているある人が「この世に生まれてくるチャンスをつかもうと、何万もの魂が競い合っている」と言ったことがあります。それが真実だとするなら、あなたは熾烈な競争に勝ち残り、エリートとしてこの世に送り込まれてきた存在なのです。
  あなたの魂は、すでにさまざまな前世を生き、多くの人間模様を眺めてきたかもしれません。しかし、この世の中に再び生まれてきたのは、果たさなくてはいけないひとつの目的があるからなのです。地図も羅針盤もなく、この世に放り出されたわけではけっしてありません。
  私たちは「自分はこの人生で何をなすべきなのだろう」と、ふと思うことがあります。そんな疑問が浮かんでくるのは、あなたの天職、才能、個性が、すぐ手の届く場所に隠されているからです。
  しかし私たちは、その場所にたどり着くためには、権力をもつ人物の力が必要だと考えがちです。その人物に目的の場所まで連れて行ってもらえれば、お金で苦労することもなくなり、道を横切る人たちから敬意を払われるようになると信じているからです。勤勉に働き、幸運に恵まれ、名声を獲得しさえすれば、自分のこれまでの苦労は報われるのだと。
  しかし、その願いがかなえられないとなると、自分は価値のない人間だと思い、絶望感に陥ってしまいます。気落ちしてしまうと、「親が自分の才能をきちんと見抜いて育ててくれたなら、芸能界の人気者にも、著名な作家や発明家にもなれたのに」と、愚痴をこぼしはじめるのです。
  人間は人生の「目的」を自分の外に設定し、やがてそれを達成不可能なものに祭り上げていきます。何か驚くべき幸運にでも恵まれないかぎりは、自分の人生はこれ以上うまくはいかないと、自分を責めてしまうのです。
  しかし、人生の目的とは、所有物、地位、職業、肩書きとはまるで関係がありません。才能でさえないと言い切ってもかまわないでしょう。大切なのはどんな職業についているかではなく、どんな生き方をするかなのです。そして、本来のあるべき自分の姿に戻ろうと決意すれば、一瞬一瞬に自分の本当の目的が見つかるようになるはずです。

●人生の目的
  前世の記憶を持っている人の話を聞くと、「世の中に生きている人の数だけ人生の目的がある」ように思えてきます。人助けをして自分の精神を成長させるためこの世に戻ってきたという人もいれば、前世で果たせなかったことを実現するため、あるいは前世で身に染みついてしまった悪癖を直すために戻ってきたという人もいます。また、前世では貧しく、孤独な人生を送っていたので、もっと人と触れ合うためにという人もいます。
  大雑把にいえば、人生の目的を次の要素にまとめることができるでしょう。

(1)人生の目的は、内在するエネルギーを自分にとって重要な方向に導き、人生を形作ってくれるものである。

(2)すべての人間は、誕生した瞬間から、人生の目的を実現してくれる人、場所、出来事を引き寄せる磁石を心の中に所有してる。

(3)人生の目的は少しずつ明らかになっていく。目標を定めたり、特定の日時までに目標を明確にしようといくらがんばっても、人生の目的は見えてこない。

(4)人生の目的は、深く、豊かな、無条件の愛を学ぶことである。

(5)人生の目的は、信念、信頼、勇気、寛容といった特性を磨くことである。

(6)人生の目的は、ほかの人の精神性を高める手助けをすることである。

(7)人生の目的は、未解決の問題をもっている他の魂を助けることである。

(8)人生の目的は、時間を忘れるくらい没頭できる活動のなかに見つけられる。

(9)人生の目的は、心の傷をいやすために引っ越した土地で見つかる可能性がある。

(10)人生の目的は、日常の作業をしているときに見つかることもある。また、森の中で突然霊感を得たり、臨死体験のような超越的な出来事を体験したりすることで、自分より大きな存在との一体感を感じたあとで見つかることもある。

(11)人生の目的とは、今という瞬間を精一杯、誠実に生きることである。
 
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