一本の誘惑 
 
 禁煙にチャレンジした人が、最も挫折するのが1週間目、1カ月目と言われています。中には1年以上も禁煙した後で逆戻りしている人も結構たくさんいます。失敗の原因となるのは「1本ぐらい飲んでも大丈夫だろう」という油断の気持ちです。
 禁煙中にふと浮かんでくる誘惑の気持ちを「1本の誘惑」と命名しました。この「1本」を我慢するか、大丈夫と思う油断の気持ちからその誘惑に負けるかで、その後の運命が決まります。
 1本を口につけたからすぐに喫煙癖が復活するわけではありません。それから1カ月くらいは再び禁煙状態を続けることができるでしょう。しかしながら「1本の誘惑」に負けた人には、やがて必ず2回目の「1本の誘惑」があるのです。
 2回目は、1回目の誘惑の後も禁煙が続けられたという油断の気持ちが強くなっています。
 このようにして、「1本の誘惑」が繰り返されることになり、せっかく1年以上も禁煙していた人が、いつしか再びおいしそうにタバコを吹かすようになってしまうのです。
 「1本だけ」「今回だけ」という小さ誘惑を軽視する気持ちが、ついには大きな過ちを犯す元になるということです。
 たとえば政治家や役人と言われる人たちが贈収賄の罪に問われるようになるときも、最初は「この程度なら誰でもやっている」「今回だけだから」と自分を許していくなかで、ついにはその感覚が麻痺してしまい、大きな事件を起こすことになるのです。
 スタートは小さなことからです。その小さなことで神様が人間を試していると見ることもできます。小さなことを軽んじる人は、結局はそのテーマでしくじることになります。肝に銘じておきたいものです。
 
[TOP]