ユングは
知っていた
コンノケンイチ・著 徳間書店 
第3章 宇宙シンクロニシティの警鐘

 聖書は単なる教典ではない!

 世界民族の大部分は何らかのかたちで聖書の影響を受けているが、その影響をほとんど受けなかった民族が、私たち日本人である。そのためか聖書にたいする誤解も多い。
 聖書というと、すぐに日本人はキリスト教と結びつけるが、実は聖書はキリスト教の独占物ではない。キリスト教の聖書は旧約と新約によってできているが、旧約聖書の大部分はキリスト教発生より以前から存在している。
 この旧約聖書から生まれた宗教がユダヤ教、キリスト教、イスラム教である。すなわち旧約にタルムードをプラスしたのがユダヤ教。旧約プラス新約がキリスト教。旧約プラスコーランがイスラム教と考えてよい。
 日本人の多くは聖書に書かれているほとんどが神話か伝承で、たとえ史実によるものとしても粉飾されていると考える人が多い。しかし、学者が真実性を疑っていたバベルの塔やイェリコの町、人類の祖とされるアブラハムの出生地ウルの存在などの事実が、考古学者たちによって次々に発掘・証明されている。
 また、聖書が書かれた時代には誰も分からなかったこと、たとえば地球が球体であるということや、水の循環系統(雨が降って川になり海に注ぎ、蒸発して雲になりまた雨となって降ること)などが明確に記述されている。

地の円の上に住む主は地の上に住む者をイナゴのように見られる」(イザヤ書・40章22節)

 ここで「円」と訳されているヘブライ語「フーグ」は「球体」という意味で、ドゥエー訳の聖書では「地の球」、モフアット訳は「丸い地」とされている。

すべての川は海に注ぐが、いまだに海は満ちない。水は川が始まったところに戻り、それをくりかえす」(伝道の書・1章7節)

 ご存知のように、これらの科学概念が普及したのはルネッサンス以降のことである。著名な 物理学者ロバート・ジャストロウは、
「科学者たちは奇妙なほど動揺した。彼らはいらだち、そのような矛盾など存在しないかのようにふるまい、あるいは無意味な言い回しで隠そうとしていた」と述べている。
 この章では三千年前に書かれた聖書予言が次々と現実になり、いま私たちが置かれている状況と密接な関係にあることを述べていく。それは宇宙規模でのシンクロニシティであり、また「神」という存在の謎を解くカギでもある。
 聖書は多くの箇所で「人類の終末」を予言しており、聖書全体のテーマは「来たるべき終末への心構え」を説いていると言っても過言ではない。しかし本書では、「人類の終末」を「人類の滅亡」とはとらえず、より深い意味を有するものとして展開していく。もつれた毛糸玉が一本のまっすぐな糸になっていく過程として、この章は実に重大な意味を帯びてくるのである。
 
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