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 ソウル・シフト
池田真知子・著 アルト出版企画
 
 
 物質の本質を捉えていくと宇宙が見えてきた

 私たちの文明は、デカルトやニュートン以来の近代物理学を中心に、目に見える物質だけを追求して発展してきました。
昔はそうではなかったのに、私たちもいつの頃からか、目に見える形ある物が全てだと思うようになってしまったのです。
ところが、現在の物理学の最先端で物質の究極の姿を求める素粒子の研究から、おもしろいことがわかり始めたのです。
何もないと思っていた真空の中は、実は、様々な素粒子で満ち溢れている空間だということが分かってきたのです。
その「無」と思われていた真空の中で、素粒子が生まれたり消えたりしているのです。
「無」から「有」が生まれ、「有」から「無」へ還っていく、「色即是空、空即是色」のお釈迦様の教えのような世界が、この現代物理学の最先端の量子力学の世界から見えてきたのです。
「石も、私もすべては同じ」、という禅問答のように、宇宙に帰ればみんな同じ波動のエネルギーなのです。
波動エネルギーとは、言い替えれば宇宙のエネルギーです。
宇宙全体は、このエネルギーで充たされている生命の海のようなものなのです。
すべては、この宇宙に遍満する宇宙のエネルギーから創られているのです。
この私たちの物質の世界と、私たちの目には見えない世界をも含んで存在している世界が宇宙なのです。
そして、私たちは生命を生み出す大海のような宇宙の中で、生かされ、生きている生命なのです。
 物理学の最先端で世界的に活躍している物理学者の多くの方が、究極のところは、宇宙の意識(神)が全てに介在していることを感じずにはいられない、と語っています。
新しい科学は、物質を物だけの存在として捉えていこうとするのではなく、全生態系が絡み合うようにして成り立っているのだということに、今、気づき始めているのです。
今まで物質だけを追求してきた科学が、精神を取り込んで宇宙を成り立たせている真理を追求していくことによって、仏教の僧侶やキリスト教の牧師さんよりも、もしかしたら宇宙真理を追求している科学者の方が、将来、真実を語れる日が来るかもしれないなどと、想ってみたりするのです。
 こうして、二十一世紀は、宗教と科学の領域の垣根が無くなって、宗教と科学が一つになった、精神科学の時代が始まるのです。
そして、今まで迷信とか非科学的といわれ、目に見えないということで否定されていた仏教の教えや気、風水、易経といった東洋が伝えてきたものも、これからの科学は、きっと私たちに解き明かしていってくれることでしょう。
科学が目に見えない世界に目を向けていくことによって、東洋と西洋とが一つになって、これから新たな文明が始まるのです。
二十一世紀の文明は、今までのような物質中心ではなく、見えないけれど存在しているものに私たちが気づいて、今よりも精神的にもっと豊かな時代が広がっていくのです。

 
全ての存在には、意識があります

 デカルトは、「我、思う故に我あり」と、言いました。
確かに私たち人間は、自分が存在していることを認識する、意識を持っています。
そして、その意識を持っているのは、自分たちだけだと思ってきました。
世界をその意識によって変えることができるのも、自分たちだけだと思ってきたのです。
本当に意識を持っているのは、私たち人間だけなのでしょうか。
そんな風に世界を考えるのは、人間の傲慢さなのではないかと思うのです。
地球も、山も、草も、木も、そして私たちの肉体も、全ては、宇宙の「ちり」から創られたのです。
そのことを想うとき、私たちに意識があるということは、同じ宇宙に存在している物質で創られている全ての物質に、意識があるのではないのかと思えてくるのです。
岩でも木でも、存在する全てには意識があると思う方が、自然なことのように感じられるのです。
 石の彫刻をする人は、石に意識があるのを感じとります。
木の彫刻をする人は、木に意識があるのを感じます。
その意識と、彫り手の意識がともに同化し合い共鳴したときに、その石や本が別の形に姿を変えて、新たな生命を持った作品が生まれるのだと思うのです。
そうやって創られた作品が、見る人を感動させることができるのです。

 山を愛する人は、山の意識が分かるでしょう。
花を愛する人は、花の意識が分かるでしょう。

 動くことのできない山や、岩や、木や、草花は、ただ、じぃーっとそこに、存在しています。
彼らが、ただ、そこに存在しているというだけで、私たちは癒されているのです。
癒されているとは、愛されていることなのです。
今までのように自然を征服しようとするのではなく、自然と共に生きようと心を開いたき、自然の中で生かされ愛されて生きている自分というものを、実感として感じられるようになるのだと思うのです。
大地も水も空気も植物も動物も、そして、私たちもみんな生きています。
みんな、意識があるのです。
私たちが愛の意識で自然に心を向けたとき、きっと彼らは答えてくれることでしょう。
 
 
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