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予言のゆくえ
北山耕平(作家・翻訳家) サンマーク出版
 

 世界のすべてが 新しくなる
 新しい国が やってくる

 新しい国が やってくる
 鷲が 一族のもとに 知らせを 運んできた
 地球のすべてが 新しくなる
 バッファローが 帰ってくる
 バッファローが 帰ってくる
 鴉が 一族のもとに 知らせを 運んできた
 神が そのように いわれている
 神が そのように いわれている


 ―― スー族に伝わるゴースト・ダンスの歌(19世紀末)

  彼は山に登り、グレイトスピリットと出会い、そこでさまざまなヴィジョンを見せられたようだ。のちにこの砂漠で任務についた第九歩兵隊の参謀であるJ.M.リーという大佐が、友人に宛てた手紙の中でこの聖者について書いている。
  「最も影響力のあるメディスンマンがひとりで山に登り、そこでグレイトスピリットとあったそうです。彼は戻ってきて、やがて大きな地殻変動、または地震が起こり、白人もインディアンもみんな地面にのみ込まれてしまうが、しばらくしてインディアンの肉体はよみがえり、永遠の生命を得て鳥や動物や魚や松の実のあふれるまっさらな地球を享受することになるというのです」

 私はアメリカ・インディアンの教えに触れて日本列島に戻ってきて以来、このゴーストダンスの教えが日本でどのように可能なのかをずうっと夢に見続けている。日本列島はなぜこんなに汚れたのか? 我々はいつどのような歴史を経て大地に対する尊敬を失ったのか? 誰が自然の保護の仕方を知っているのか? 日本人はなぜ白人のように振る舞おうとするのか? 
 アジア大陸の東端に連なる弧状列島の上に敷かれた「日本」という絨毯が、その上に乗った巨大ダムや原子力発電所や河口ぜきや工業団地やゴミ処理場といった悪趣味な巨大建造物など醜悪なもの共々、くるくると巻き上げられて、その下からまっさらな地球が現れる。そして、断ち切られて久しい大地のスピリットが戻ることで、今は絶滅させられてしまった鳥やオオカミなどが帰ってくるところを、私は夢見続ける。
 
 
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