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 日本の運命
暗黒の30年がやってくる
浅井隆・著  PHP
 
 
 日本が沈没すると生活はこうなる!

 日本が国家破産した場合には、どんな事態が起こるのか。簡単にまとめておこう。

@ 制御不能の凄まじいインフレ

 ハイパーインフレと国家破産はワンセットと言っていいくらいに、両者は密接に結びついている。途方もない物価の上昇と通貨価値の暴落(円安)が起きるのは間違いない。インフレ率はその国家の経済環境や政策によって変わってくるが、私は日本で将来発生するハイパーインフレはジンバブエほどにはならないだろうと考えている。おそらく、インフレ率100%と予想する。
 インフレ率100%というのは、1年間で物価が2倍になることを意味する。しかしそれでもインフレの期間が長引けば長引くほど、物価は倍々ゲームで上がっていく。5年後には32倍、20年後には、なんと100万倍以上になってしまうのだ。つまり、100万円が1円の価値しか持たなくなってしまうのである。

A 大増税(国民負担の増大)

 国家破産で起こることの2つ目は、大増税である。平時は国民の反発を恐れて実施できずにいるが、国家破産が本格化すれば一気に大鉈(おおなた)が振るえる。消費税の大幅な引き上げ、新税導入、医療費の値上げ、年金保険料の引き上げなど、大規模増税は免れないだろう。増税の本丸は、当然、消費税。私は20%以上と見る。それ以下ではなんの役にも立たないからだ。
 また、直接的な税金だけでなく、例えば年金の支給額を減らすというのも、一種の増税といえる。年金の支給開始時期を現行より遅らせ、受給額を減らし、加入者への徴収額を増額するということも考えられる。

B スタグフレーション

 ハイパーインフレ+大不況=スタグフレーションが進行する。物価、通貨価値、金利、株価など、すべてが激しく変動し安定しない。社会は大混乱の極みとなる。
 銀行の収益も圧迫され、貸し渋りどころか貸しはがしが続発し、企業は次々倒産、ますます財政は悪化……と、地獄のサイクルに突入。出口は見えない、という状況が続く。

C 極度の治安悪化と社会の変動

 社会の大混乱に伴い、治安を含めた社会環境が大きく悪化する。お年寄りは生活の糧を失い、企業経営が悪化し、勤労世帯においても失業する人が続出する。生きるために必死にならざるを得ない人々は、他人のことにかまっていられなくなり、殺伐とした世相が日本を覆う。警察はまともに機能せず、窃盗や詐欺は日常茶飯事となり、殺人も増加する。街を歩くのも命がけとなるだろう。資産家は誘拐の危機にさらされるため、郊外の一戸建てには住めなくなるだろう。
 国民の不満、不安はピークに達し、自殺者も増える。阿鼻叫喚の地獄絵図という表現も大げさではなくなるはずだ。国のあり方そのものに大きな変化が生まれる可能性も高い。

D デノミと預金封鎖

 いわゆる徳政令が実施される。その中身は2つあって、デノミと預金封鎖だ。デノミによって通貨価値が引き下げられる(通貨単位ではない)。また、国内銀行すべての預金と貸金庫の封鎖によって、国民の財産が没収される。徳政令とは、政府が得をし、国民が損をする政策なのだ。これは国家破産の最終段階といっていい。
 しかし、これらの徳政令、特に預金封鎖が日本政府の手によって行なわれる確率は五分五分だと私は考える。なぜなら、預金封鎖は政治家にとって「失脚」を意味する。増税よりはるかに強い意志を要するからだ。国民の顔色を窺ってばかりで、保身しか考えない日本の政治家にそんな決断を下す勇気があるとはとうてい思えない。例えば、30年以上も国家破産状態にあったトルコでも、同じ理由から預金封鎖を行なっていない。
 しかし、政府が預金封鎖を実施しなくても、かわりに第三者がミサイルの発射ボタンを押すという可能性がある。これが想定するなかで、もっともあり得る事態である。その第三者とは、IMF(国際通貨基金)である。
 日本政府が預金封鎖を実施しなかったとしても、社会の混乱やインフレ率の上昇が収まらず、一部の日本国民が危険を察知し、銀行からお金を下ろし始めたタイミングで、米中進駐軍という形でIMFが乗り込んでくる可能性が高いと私は考える。なんといっても日本はアメリカにとって最大の債権国である。もし、アメリカ国債を売られたら、アメリカとしてはひとたまりもない。中国にしてみてもアメリカに破綻されては困る。彼らにとっての最悪の事態を防ぐという思惑で日本へ乗り込んでくるのだ。
 まず、彼らはすべての銀行預金、郵便貯金の口座を封鎖してしまう。それが第一段階。第二段階として、その間に新円切り替えかデノミによる円の紙切れ化、日本国債のデフォルト(債務不履行)を断行する。その結果、日本国民の大切な個人金融資産1450兆円は無に帰す。
 そして、国際社会はこう言うだろう。「すべてはお前たち日本人の責任だ。自己責任においてそのツケを払ってもらう」。ここに「新・日本沈没」のシナリオは完結する。以後、沈没後の悪夢のシナリオが続いていくことになる。

 
「日本破綻はあり得ない」は大ウソ

 「いや、日本はジンバブエとは違う」という意見がある。なるほど、たしかに日本には個人金融資産が結構ある。対外債権、つまり外国にたくさんお金を貸している。国債もその9割以上は国内で消化されている(預貯金などを通して私たち国民がそれを負担している構図だ)。
 「だから日本が破綻するなんて絶対にあり得ない」という意見もある。だが、そういった楽観論はもはや通用しない。人間は自分の身に実際に降りかかるまでは、「まさか自分には」と思うものらしい。まして、これだけ恵まれた生活を送ってきた我々日本人だ。日本が破綻するなんてそうそう信じられることではないだろう。それは無理もない。しかし、これは決して絵空事の憶測ではない。きちんとデータを分析し、理論的に結論を導き出せば、嫌でも答えはそうなる。
 私がまだ新聞社に勤めていた頃、「日本にデフレが来る。銀行も潰れる」と予測した。それは新聞や雑誌、テレビから得られる最新のナマの情報に注目し、それに歴史のパターン性を加味して導き出した予測であった。その当時、同僚の経済部の記者でさえ、私の説を「そんなことあるもんか」と鼻で笑ったものだ。
 しかし、デフレはやはりやってきた。銀行も潰れた。固定観念を捨て、データを揃えて検証すると、未来に起こることはちゃんと予測できるのである。運命もしかり、だ。

 ★なわ・ふみひとのコメント★
 
当サイトでたびたび取り上げているテーマですので、コメントの必要もないかもしれません。今後避けることができないのではないかと思われるのは、「日本が破産する」「IMFが乗り込んでくる」「ハイパーインフレが始まる」「治安が著しく乱れる」の4点です。これらはアメリカをも裏から支配している「陰の超国家権力」が、世界統一政府樹立の一環として画策していることだと思います。しかしながら、別な見方をすれぱ、この国の国民が戦後、GHQ(占領軍)のコントロール下で誘導されて来た「拝金主義」と「個人主義(我善し)」のカルマが一気に吹き出してくるということでもあります。すべて、私が当サイトの中で予測してきた内容です。いまや先進国の中では過去にも例を見ない超赤字国家となってしまったこの国にとって、避けることのできない事態と言えるでしょう。私たち国民としては、今さらじたばたすることなく、これから起こる事態(大混乱)に対する心の備えをしておきたいものです。
 日銀が国債を引き受け始めたため国債の暴落はないと考えている人がいるかもしれませんが、たとえば日本が首都直下地震の直撃を受けることがあれば、通過の「円」が暴落し、日銀そのものが破産する可能性大です。当然、国債は紙くず同然になってしまうでしょう。日銀が純然たる政府機関と考えている人はそこに仕掛けられている罠に気がつかないのです。日銀は政府が半分の出資をしてはいますがれっきとした株式会社です。
 
 
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