毎日が“ご馳走”だらけの日本人
日本人は長い間、穀類やいも類を主食に、野菜、海草、豆類、魚介類などを食べてきました。
しかし、昭和30年代から40年代にかけて食生活は大きく変化します。いちばんはっきりとした変化は、ご飯の消費量が急激に減少したことでした。終戦後まもない1950年(昭和25)ですら、茶碗にして1日に1人平均6〜7杯は食べていたのが、88年には3〜4杯になってしまったのです。
代わって増えたのがパンやスパゲティ、ラーメンなどの輸入小麦粉製品や、砂糖をはじめさまざまな甘味料、バター・マーガリン・植物油などの油脂類、牛乳・乳製品、肉・食肉加工品などです。かつてほとんど口にすることなどなかった食品が、日常のものになったのです。
短期間にこれだけ食生活が急変した国は、世界中を探してもないといわれています。少し前までは、こうした変化を肯定的にとらえ、「食生活が豊かになった」「日本は世界一の長寿国になった」「子どもたちの体格が立派になった」などといってきましたが、さすがに最近はこのような言葉を耳にすることが少なくなりました。
食事には楽しみも必要ですから、たまにはご馳走をいただく「クリスマス」もいいかも知れません。しかし毎日がクリスマスではいくらなんでもおかしい、と考える方がようやく増えてきたようです。こういう考え方こそが食生活を改善させるための第一歩でしょう。
「トウモロコシ民族」になった日本人
2000年9月、アメリカの市民団体によって、飼料用には認められているものの食品には未認可の遺伝子組み換えトウモロコシ(スターリンク)が、一部食品に混入していることが発覚しました。また、10月には別ブランドの商品にも混入していることがわかり、重大な食品汚染事故となりました。日本でもどれだけの食品に使用されていたかわからない状況です。のみならず、この騒動は、もっと大きくて根本的な問題をはらんでいます。
1997年、わが国のコメの生産量は約1000万トン。その一方で同年、トウモロコシは1600万トンも輸入されました。もちろん、私たちがそれだけのトウモロコシを食べているわけではありません。牛や豚、鶏の飼料として輸入されているのです。
はたして、自然の豊かな国でコメの生産調整をしながら、危険性の高い輸入トウモロコシで飼育された牛・豚・鶏の肉や牛乳・乳製品を食べ続ける必要があるのでしょうか。遺伝子組み換え食品の安全性を議論することも必要ですが、それだけでは根本的な解決にはつながりません。輸入飼料・輸入食品漬けの食生活で私たちの健康が本当に守っていけるのか、根本から考え直す時期に来ているのです。
現代の食生活は不完全燃焼をおこしている
昭和30〜40年代にかけて、日本人の食生活はあまりにも大きく変わりました。地方色がなくなり、季節感が失われ、料理は添加物どっさりの既製品を買うという食生活です。
そして、食べ物がありあまる飽食の時代であるがゆえの栄養失調――現代型栄養失調になっているのです。この結果、生活習慣病の急増をはじめ、体にさまざまな問題がおきています。
話をわかりやすくするために石炭ストーブにたとえて説明してみましょう。
食糧難時代の栄養失調は、石炭そのもの、つまり燃料自体が不足していたのです。しかし、現在では燃料を入れすぎなくらいたっぷり入れているために、不完全燃焼をおこしています。
では、なぜ不完全燃焼をおこしているのでしょうか?
それには次の5つの問題が考えられます。
@ 燃料の入れ過ぎ
ストーブは燃料を入れすぎると、空気の循環が悪くなり、不完全燃焼をおこしてしまいます。同様に、現代は飽食の時代であり、食べすぎなのです。しかも、体を使わなくなっているのですから、不完全燃焼をおこすのも当たり前です。
A 燃料のまちがい
私たち日本人は、穀類やいも類、野菜、豆類、魚介類を中心にした食生活をするべきなのです。それなのに、肉や食肉加工品、牛乳、乳製品、油脂類など、あまりにも欧米化しすぎた食生活は、石炭ストーブに、無理やり石油を入れているようなものなのです。
B 空気(酸素)の不足
いくら石炭を入れても、空気が不足し、酸素がなかったら燃焼しません。同様に、私たちの体にも、微量栄養素であるビタミン、ミネラルが必要なのです。しかし、現代の食生活は、白米、精製小麦粉、白砂糖、精製塩など精製食品だらけになり、未精製食品に含まれるビタミン、ミネラルなどが不足しているのです。
C エントツが詰まっている
当然のことながら、エントツが詰まっていては燃えません。現代人の多くも、食物繊維の極端な不足から、便秘かそれに近い状態になっています。これも食生活の欧米化と精製食品の増加などのためといえます。
D 不純物を入れている
多量の化学物質(農薬・食品添加物)などが体に入っています。これも完全燃焼をさまたげるもとになっているのです。
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