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 自分を磨く方法
 アレクサンダー・ロックハート著 弓場隆・訳
ディスカヴァー・トゥエンティワン 
 
 
 逆境に立ち向かう

 「雨風は樹木を強くする」という格言がある。人間も同様だ。逆境にさらされると、人間は強くなる。逆境は永遠には続かない。だが、逆境に屈してしまうと、逆境はいつまでも続く。
 自己啓発の大家ナポレオン・ヒルは「すべての逆境には、それと同等かそれ以上に大きな恩恵の種子が含まれている」と言っている。恩恵の種子を見つけるのは難しいかもしれないが、すべての試練には必ず解決策が隠されており、多くの場合、その解決策を実行すれば大きな恩恵を受けることができる。
 逆境は日常的なできごとであり、あなたの実力の試金石である。あなたの心の持ち方しだいで、それは障害物にもなれば跳躍台にもなる。こすらなければ宝石を磨くことができないのと同じように、逆境がなければ人格を磨くことはできない。
 逆境とは、未解決のチャンスのことだ。すべての問題には解決策があり、いったん解決すれば、それはもはや問題ではない。小さな挫折は、あなたが遭遇する次の試練にうまく対処する能力を高めてくれる。逆境に遭遇したからといって、「これでもう終わりだ」と考えてはいけない。逆境とは、「いったん立ち止まって解決策を考えろ」という意味なのだ。

 
苦闘を大切にする

 ある日、少年が外で遊んでいると、木の葉にまゆが付いているのが見えた。少年はそのまゆを部屋に持ち婦った。数日後、チョウがまゆを破って外に出ようと苦闘し始めた。長くて巌しい戦いだった。少年にはチョウがまゆの中に閉じ込められているように見えた。チョウの動きが止まったことを心配した少年は、ハサミでまゆを切ってチョウを助け出した。
 しかし、そのチョウは翼を広げて飛ぶことができず、ただ這い回るだけだった。本来なら、まゆの小さい穴から苦闘しながら出ることによって体液が翼にまで行きわたり、チョウは飛べるようになるはずだったのだ。
 この教訓は私たち人間にもあてはまる。人生は苦闘の連続だが、もし苦闘しなければ、私たちは本来の強さを発揮することができなくなる。苦しい思いをするのは誰でも嫌だが、苦闘は成長の機会でもある。自分の人生を切り開く人は、逆境が人格を鍛えることを理解し、苦闘を歓迎する。
 ほんの少しの努力で成し遂げられることばかりしてきたなら、あなたは今以上に成長することはないだろう。チョウの苦闘が翼に強さを与えるのと同じように、あなたの苦闘も強さを獲得するうえで必要なのだ。
 成否の分かれ目は、ピンチの瞬間に来る。困難に直面したとき、あなたは前進し続けなければならない。そうすることによって初めて、挫折を乗り越えて飛躍する能力が発揮できるのだ。
 
 
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