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 心の品格
 ジェームズ・アレン・著 葉月イオ・訳
ゴマブックス株式会社
 
 
 「心の癖」が生き方を決める

 いまのあなたをかたちづくっている性格や気質は、これまでの人生で、繰り返しを重ねて創られた「心の習慣」です。
 快活さ、落ち込みやすさ、怒りっぽさ、穏やかさ、貪欲さ、寛大さなど、その人の心の特徴を表すものはさまざまです。こうした心の状態は、何度も繰り返すうちに、自分の性格の一部になっているものです。
 日々の生活の中で、繰り返す考え――心の動きが習慣づいて「心の癖」になり、その癖とともに、人は自分の生き方を創っています。
 私たちは、経験を知識にして心に刻んでいきます。たとえば、くよくよと悩んだり、こだわり続けてしまう心の癖は、自分にとってとてもやっかいなもののはずです。何かあるたびに、くよくよと悩み、こだわる以外の手段を学べなければ、こうした心の癖は手放すことができません。
 子供が、何か新しいことを覚えていくときの様子を思い浮かべてみてください。はじめのうちは、道具をうまく使いこなせないどころか、正しい使い方さえわからないはずです。でも、使い方を練習しながら繰り返していくうちに、らくらくとうまく使いこなせるようになっていきます。
 「心の癖」も同じです。はじめは、おそらく自分で認識することすら難しいでしょう。しかし、根気強く心の扱い方を実践すれば、そのうち「無意識の新しい心の癖」ができあがり、自分の自然な性格にしていくことができます。

 
悪い「心の癖」は努力と実行でなおす

 身についてしまった習慣を変えていくことは、簡単ではないかもしれませんが、努力と実行は、確実に新しいあなたを生み出します。
 文字の書き方を習っていない子供は、おかしなペンの持ち方で、間違った文字を平気で書きます。正しいペンの持ち方も、正しい文字の書き方も知らないからです。
 正しく書けるようになるには、正しいペンの持ち方を覚えて、書く練習をしなければなりません。そして、練習を続ける努力と忍耐も必要です。
 でも、きちんと書けるようになってしまえば、今度は、おかしなペンの持ち方で間違った文字を書くことは不自然です。わざわざそんなことをする必要もないでしょう。
 心と人生にも、まったく同じことが言えます。
 正しく現実をとらえて生きていくには、正しく生きていこうとする努力と実行が必要なのです。
 そしてそれが身についてしまったら、正しい考えで行動することのほうが自然で、過ちを犯すことのほうが難しくなってしまいます。
 職人が修業を重ねて、熟練の技を身につけていくように、自分にとってプラスにならない習慣や考え方、心の癖をなおしていくには、意識して新しい習慣を取り入れて実行しなければなりません。
 それを繰り返していくうちに、好ましくない考え方ややり方を、望ましい方向へと変えていくことができます。
 分別のない考えや行動に馴染んでいるかぎり、間違いを犯すことは簡単です。欲が深く意地汚い考えで生きていれば、盗みや強盗に手を染めるきっかけは、簡単に見つかるでしょう。
 しかし、善良な心を育てていたら、そのような悪事には手を出すことは考えつかないはずです。


 ★なわ・ふみひとのコメント★
 「好ましくない心の癖を修正すること」が、大本神諭や日月神示で述べられている「身魂磨き」ということです。「身魂」とは「身(言葉、行動)」と「魂(心の使い方)」ということです。口癖も「心の癖」から来ます。ついつい他人の悪口が口をついて出てくるのは、心の中でその人を悪く思っているからです。「心の癖」は、私たちの他の癖と同じように、意図して修正の努力をしないと改めることはできません。善くない心の癖が善くないカルマを作り出していることを自覚し、今すぐに修正の努力を始めることが求められています。「善いと思ったことをすぐに実行に移すのが身魂磨きだ」と日月神示にも述べられています。
 
 
 
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