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 魂をめぐる物語
ゲーリー・ズーカフ・著 坂本貢一・訳
サンマーク出版
 
 
 信頼すること

 「創造主に、自分がほしいと思うものを与えてくれるよう、お願いしなさい……」両親は娘に言いました。「創造主は、必ずそれにこたえてくれるから」
 彼らは、娘がまだ赤ちゃんのころから、そう言いつづけていました。そしていまや、娘は7歳になっていました。
 「私、創造主にお願いしたの」ある朝、娘は言いました。
 「何をお願いしたの?」両親は尋ねました。
 「私の誕生日に、雪を降らせてくださいって」
 そう言って彼女は、クスクスと笑いました。両親は「これは困った」という表情で見つめ合いました。娘の誕生日は7月で、彼らは砂漠に住んでいました。砂漠の7月は、言うまでもなく、寒くはありません。
 2週間後、誕生日に友だちがたくさんやってきて、楽しい時間を過ごし、帰っていきましたが、雪は降りませんでした。しかし、少女はちっとも悲しそうではありませんでした。
 「創造主がこたえてくれなくて、がっかりした?」両親は彼女に、やさしく尋ねました。
 「彼はこたえてくれたわ」彼女は言いました。「彼は言ったの。そんなことはできないって」
 ある人たちは、創造主を宇宙と呼び、それがどのように機能するかを知っている、と考えています。この少女の両親のようにです。そして、2人同様、いつも落胆しています。
 「人生とは、どうしてこうも、うまくいかないものなのだろう?」彼らがとても得意とする自分への問いかけです。
 「宇宙は私に、何でこんなことをしてくるの?」彼らは言います。「こんなの不公平じゃない!」
 そのような人たちと、先ほどの少女の違いは、「信頼」にあります。彼女は、宇宙からのあらゆるこたえに満足しています。でも、彼らは違います。彼らは、宇宙とはかくあるべきだという、勝手な考えをもっています。そして、その考えから外れたことが起こると、心を乱します。

 
宇宙は心強いパートナー

 インドの伝説のなかで、インドラは天を治める神です。ある日、彼は地を訪ねることに決めました。そして彼は地を訪れたのですが、いつになっても天に戻りませんでした。ほかの神々は心配になり、使者たちを地に送り、彼を捜させました。
 やがて、使者の一人が彼を見つけました。インドラは豚になっていました。
 「インドラ!」その使者は叫びました。「戻ってきてください! 天がバラバラになってしまいます!」
 「戻る?」インドラは驚いて言いました。「そんなこと、できるわけないじゃないか! 私には、面倒を見なくちゃならない雌豚と子豚たちがいるんだから」
 インドラは、自分が誰なのかを忘れていました。その使者は、どうにかして、彼にそれを思い出させなくてはなりませんでした。
 あなたにとって、宇宙は心強いパートナーです。それは、あなた自身にとっていちばん大切なことをあなたが思い出すように、親身になって手助けしてくれます。そのことを信じることが「信頼」です。
 あなたは、自分にとって何が最善であるかを知っている、と考えているかもしれません。でも、宇宙は、あなたが知らないことも知っています。インドラは、自分を豚だと言い張りました。あなたは自分を何だと言い張るのでしょうか?
 宇宙は、あなたに、恐れることや怒ること、悲しむことなどを指南したりは決してしません。それは、インドラを捜しにきた天からの使者のように、常にあなたを、可能な最高の生き方ができるように導こうとしています。「信頼」とは、それを知っていることなのです。
 
 
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