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 人生の意味
キャロル・アドリエンヌ=著  住友進=訳
主婦の友社
 
 
 いかに生きるべきか?

 心のなかのいちばん奥で、私たちはいつも「自分はこの世の中で何をすべきか?」という疑問を抱いています。自分が何かをやらなくてはならないことはわかっているのです。でも、それはいったい何なんでしょう? どうすればその義務を成し遂げることができるのでしょう? 今の世の中は、物事を善か悪か、明か暗かに区別して考える傾向があります。すべてのことに白黒をつける習慣が自然にできあがってしまっているのです。
 ところが、興味深いことには、人生における真実の多くは、白か黒かではなく、白と黒という矛盾する両方の要素から成り立っているものなのです。人生の目的を見つけ出すためには、この真実を素直に受け入れる柔軟な姿勢が何よりも必要です。
 このような人生における基本的な真実のひとつは、人生のなかで決められている出来事は何ひとつないが、「人生で起こる出来事は必ずその人にとってなんらかの意味を持っている」ということです。二つ目は、「人間には個人的欲望がある。しかし、その欲望は執着心を捨てたときに初めてかなう」ということです。個人的欲望を捨て、神や宇宙にみずからをゆだねた瞬間に願望が実現されるのです。

 宇宙のエネルギーの場のなかに
 自分の居場所を見つける


 私たちは、エネルギーが充満している広大な場(宇宙)の内側にいるちっぽけな存在にすぎません。しかし、人間は自分の意思や欲望を使って、この広大な宇宙のエネルギーの場に影響を及ぼしていくこともできるのです。人間の抱く意思はすべて、宇宙というエネルギーの場に届けられているのです。
 研究から、「光は分子(全体のなかの個)であると同時に波動(全体)である」ことが証明されています。同様に、「個人は人類の一部であると同時に人類全体でもある」と想定できます。システム思考の観点から見ると、地上に住んでいるすべての人間は、時間と空間によっては分離されず、互いに影響を及ぼし合いながら、永遠のきずなで結ばれているのです。
 こう考えると、自分のためにだけやっているように思えることが、実際には人類全体にも影響を及ぼしていることにもなります。サンフランシスコにあるセイブルック研究所の心理学教授ジーン・アーチャーバーグは、その論文で次のように述べています。
 「人類は生化学・神経生理学的に見ると、互いに共鳴し合っている量子のスープのなかで生きている。これが真実だとすれば、私たちが心のなかで考えていることは、とてつもなく大きな問題ということになる。なぜなら、精神的に進化した個人は、自分をはるかに超える地点にまでその影響を及ぼすようになるからだ。愛と情熱、憎悪と貪欲、富とあこがれなど、人間が心のなかに抱く感情はすべて、個人的感情だとばかりは言えなくなるだろう

 人間はジレンマにも陥ります。果たすべき義務があるのに、それが何であるかを理解できないためです。人間はこの世の中に目的を持って生まれてきたことに気づいています。ところが、合理的な考えでは説明のつかない神秘的なものが存在しているのに気づかなかったり、世の中は弱肉強食の世界だと吹き込まれて育ってきたとしたら、人生の目的はこの世の中のシステムで勝ち抜くことだけのように思えてきます。
 このような考えにがんじがらめにされていると、毎朝4時に目を覚まし、まだ自分が手にしていない物質、評価、成功、家族や友人からの敬意などについてあれこれ考え、頭を抱え込むことになってしまうでしょう。しかし、このような呪縛からのがれることで、知識、人への奉仕、自分の居場所の発見に対する意欲も生まれ、愛、美、音楽、自然の静寂に対するあこがれも芽生えてくるのです。
 
 
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