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 「国家破産」以後の世界
藤井厳喜・著  光文社
 
 
 対米従属より怖い対中従属

  日本人はチャイニーズという人々、中国という文明国をまったく理解していない。少なくとも2000年くらいはつき合ってきたというのに、これは恐るべき無知である。
  実際、日本と中国はまったく違った文明圏を構成している。漢字を使っているとか、外見が黄色人種で同じ、というのはまったく表面上のことで、むしろそれらは内面的な“真の違い”を隠してしまう危険な外面と言える。
  徹底した唯物主義こそチャイニーズを際だたせるいちばんの特徴である。これは筆者のオリジナルな見解ではない。中華文明をもっとも敬愛した1人である文学者、故・古川幸次郎京大教授の説である。
  対中従属国家になったら、結果は悲惨なことになる。中国は表面上、自由に見えても、実際は共産党独裁の国家である。したがって対中従属国家になれば、経済的のみならず、政治的にも完全に中国の植民地になる。つまり、言論の自由や報道の自由は完全に失われる。共産党が反対者にどんな対応をするかは、天安門事件を思い出せばよい。自由は銃で弾圧されるのだ。
  対中従属植民地になったときに、日本人はどんな扱いを受けるのか――それを知るには毛沢東による政権成立後、漢民族がチペットになにをしたかを見ればよくわかる。独立国チペットは共産党政権の侵略で独立と自由を奪われ、120万人が虐殺された。チベット仏教はチペット人の魂だが、唯物論を原理とする中国共産党は、これを徹底的に弾圧した。ダライ・ラマ法王がインドに政治亡命者への保護を求めているのは、ご存知の通りである。チペット人を襲った悲劇が日本人を襲うやもしれないのだ。
  だが、筆者の憂慮にもかかわらず、多くの政治家や財界人が親中派であり、チャイナ幻想に酔っているのも現実である。案外、日本の右も左も、反米主義を触媒として融合現象を起こし日本の対中植民地化の尖兵となるのかもしれない。

 
中国企業による日本企業買収

  中国企業による日本企業の買収は、すでに始まっている。数年前までは三洋電機がハイアールと提携したように、買収にまではいたらなかったが、最近ではそうではない。中国企業も「低コスト・低価格」を重視する従来の立場から、「創意工夫・高品質」を重視するようになってきたからだ。
  この「技術力」と「アイデア」をもっているのは日本企業である。ここに、「中国企業による日本企業の買収」が一気に加速した理由がある。
  ビジネス誌『WEDGE』は、この問題についても詳しいレポートを発表している(「時価総額の猛威! 中国・韓国資本が日本企業をのみ込む」2004年7月号)。その要旨は以下のようなものである。

 
2004年1月、中国の広東美的集団は前記した三洋電機から、電子レンジの基幹部品であるマイクロ波発信器の製造技術 と生産設備を買収し、全部中国に持っていった。そして、ときを同じくして、中国の繊維大手、上海嘉楽集団も、兼松からグループ会社を買収している。
  こうした中国企業による日本企業買収の先駆けになったのが、2001年3月に旧アキヤマ印刷機製造(東京葛飾区、アキヤマインターナショナル)が中国の電機メーカー、上海電機集団に買収されたことだった。このアキヤマ印刷機製造というのは、高速度印刷やハイテク印刷技術における先端的な技術を持っていた。
  また、2003年には、中国の製薬会社の大手、三九企業集団が、富山県に本拠を置く漢方メーカー、東亜製薬を買収している。そして、これは買収ではないが、中国最大の民間自動車部品会社、万向集団(浙江省)は、2004年度内に日本に全額出資の会社を設立すると発表した。おそらくは、ここを基盤にして他の部品会社などを買収していくのだろう。
  じつは、こうした動きをサポートしているのが、日本側の投資コンサルタント会社である。たとえば、中国国営の大手証券会社・天同証券のM&A仲介子会社は、日本のM&A仲介会社と提携して、資金繰りに苦しい日本の中小企業に資金提供する一方、買収できる企業の調査に乗り出している。さらに、不動産流動化事業のアセット・マネジャーズも、中国で投資銀行業務を手がけるVCCEFキャピタルとM&A仲介業務で提携し、今後日本企業を買収する仕組みをつくった。
  日本の銀行で中国にもっとも入れ込んでいるのは、なんとあのUFJ銀行である。上海の工業対外交流センターは、UFJ銀行など外国企業4社と組んで、行政が日本企業などの買収を支援することを決めた。これは、上海の国有企業や民間企業に、日本の企業を買収したかったら斡旋するということである。


  つまり、こうした事業に日本資本も参加しているわけで、こうして、日本の対中従属化は進んでゆくのである。

★なわ・ふみひとのコメント★(2011年)
 
民主党の政策が「国家破産」を前提に進められていたのは、国債の発行額が増大していくことを全く意に介さない対応からもよくわかります。また、鳩山前首相が沖縄の普天間基地問題や戦後密約問題等を通じて巧妙に日米離間策をとったのは、中国を盟主にしてアジアを統一するという世界支配層の構想に基づくものです。日本は営々と磨き上げてきた企業の「技術力」を吸収され尽くしたあと、いずれは中国の属国としてチベットのように蹂躙される可能性が大きくなりました。
  今回の東日本を襲った巨大地震(おそらく人工地震)によって、国家財政の破綻は避けることができなくなり、日本経済は完全に息の根を止められることになるでしょう。もはや私たち日本人の手でこの流れを変えることはできませんが、世界支配層にコントロールされている民主党が促進する「アメリカ離れ(日米離間策)」と「中国従属」の動きは一気に加速していくと思われます。 “終末”の足音が大きく響いてくるようになりました。

★なわ・ふみひとのコメント★(2012年)
 
「対中従属化」の前に日本の完全破壊を実行に移そうとしているのが消費税増税とTPP参加問題です。(消費税の増税ができなければ、日本の国債の暴落という手が仕掛けられています)
  本来なら日本がアメリカを軸としたTPPに参加することには中国は反対するはずでが、まったく何の反応も示しません。なぜなら、これは世界支配層が描いた既定路線だからです。とりあえずアメリカの手によって日本経済をズタズタに壊し、国民の貯蓄(簡保や年金基金)を収奪したあとで、「後は同じアジア民族の中国がテキトーにいたぶってやってくれ」ということでしょう。
  あたかも反米の立場で日本の国益を守るかのように装っている小沢一郎氏や鳩山由紀夫氏ですが、結局は菅直人氏や野田佳彦現首相と同じ「売国派(反日勢力)」であることに変わりはありません。ところが、マスコミの誘導によって、かなりの識者でも小沢一郎氏はかつての田中角栄と同じように国益派だと勘違いさせられているのです。
  真実は、小沢一郎氏こそ、金丸信氏(故人)を使って国益派と言える旧田中派の実力者たちをつぶしてきた張本人なのです。彼以外の旧田中派の実力者はすべて若くして命を絶たれています。たとえば先輩格の竹下登元首相を筆頭に、小沢氏と同年代の橋本龍太郎元首相や小渕恵三元首相、あるいは自民党を割って出た小沢氏が画策する「小選挙区制導入」に反対していた梶山静六氏などです。
  ちなみに、今日の日本の国政選挙の結果がマスコミの論調によって簡単に操作されるようになってしまった原因は、中選挙区制を小選挙区制に変えたことによるものです。そうなることがわかっていたので、世界支配層はアメリカを使って日本の選挙制度を強引に変えさせたということです。結果は、彼らの意図したとおり、いまやこの国の政治はマスコミが自由に操ることになってしまいました。
  世界支配層が望む「小選挙区制」導入にもっとも貢献したのが小沢一郎氏です。小沢氏とタッグを組んだ細川護煕元首相は表看板として担ぎ出されたに過ぎません。そこで彼の役割は終わったのでした。
  もはやこの国の政治家の中に、体を張ってでも日本の国益を守ろうとする実力者はいなくなりました。もしそのような人物がいたとしたら、今ではいとも簡単に命を失うことになるでしょう。ということですから、私たちはマスコミに踊らされていたずらに政治や政治家たちに幻想を抱くのはやめて、そのようなこの国の現実を直視し、迫り来る国家破産の日に備えて日々の生き方に磨きをかけることが大切です。


★なわ・ふみひとのコメント★(2013年)

 前回の私のコメントの通り、消費税の導入は民主党の野田政権のもとであっさりと決定しました。もう一つのTPPへの参加問題も、復活した自民党の安倍政権のもとで参加が表明されようとしています。国民がいかに反対しようとも、マスコミを使って巧妙に誘導されるため、全体としては特段の反発も起こらないまま(起こってもマスコミがそのことを報道しないので大きな動きにはならずに)進められてしまいます。そのマスコミを金の力で牛耳っている勢力が世界支配層です。しかしながら、直接手を下すのは、同じく彼らのコントロール下にある隣国の人間たちです。そして、実際に国内で影響力を行使しているのは日本人の仮面をかぶった人間たちなのです。この本は、そのような国内の不穏な動きを紹介しつつ、日本がいよいよ国家破産に向けて突き進んでいることを前提に書かれています。
  国家破産は国債(国の借金)の暴落によって引き起こされることになります。そのためには、国債の9割を買っている国民がその国債を手放さないといけない状況を作り出す必要があるのです。安倍政権誕生後の突然の円安と株高は、そのことを促す仕掛けと言ってよいでしょう。今回もマスコミを巧妙に操作しつつ第二のバブルが作られつつあります。多くの国民はその裏にある意図に気づかないまま、お金を国債から株へとシフトさせられ、やがてバブルの崩壊によって元も子も失うことになるでしょう。一部の識者がそのことに警鐘を鳴らしていますが、私も、それがこの国を国家破産へと追い込むシナリオだとにらんでいます。そういう意味では、今後のバブルの過熱化には特段に注目しておく必要があると思います。
 
 
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