宇宙人の存在は地球人の価値観を変えるか
宇宙人のこと、アブダクションのことを考えていたら、ふっと「漂流者」という言葉が浮かんできた。インターネットで「漂流者」を検索してみた。いくつかのページを読んでいて、「ああ、そうか」と思うことがあった。
江戸時代の末期。日本が鎖国状態だったころ、外国の情報を伝えてくれたのは漂流者だった。逆に、外国からすれば、漂流者から日本の情報を得ることができた。
有名なところでいえば、無人島の鳥島に漂着したところをアメリカの捕鯨船に救助されアメリカ本土でしばらく暮らしたジョン万次郎(中濱万次郎)や、船が嵐に巻き込まれてロシアまで流れ着いた大黒屋光太夫がいる。あの当時、船が時化で遭難するということは決して珍しいことではなかっただろう。漂流して、外国船に救われたり、外国へ漂着した人たちは、ほかにもたくさんいたはずだ。小説の『沈黙』(遠藤周作)や『阿片戦争』(陳舜臣)にも、中国本土や香港に流れ着いた名もなき日本人が登場する。名もなき漂流者の中には、異国に連れて行かれて体を調べられたりした者もいるだろう。人体実験で、結果的になぶり殺しのような形になってしまった不幸な人もいただろう。もちろん、文化や技術を日本に持ち帰ったりもした。
今は地球が鎖国をしているような状態かもしれない。制度として門戸を閉ざしているわけではないけれども、宇宙人の存在を認めようとしない地球人の意識が大きな壁になっているのだ。江戸時代の日本人も、欧米のことなど、意識になかっただろうと思う。自分たちからアメリカ大陸やヨーロッパに行くだけの技術もないし、そんな遠くの国へ行こうという気持ちもなかった。しかし、ジョン万次郎や大黒屋光太夫などの漂流者によって、欧米の様子が日本に伝えられ、やっと少しずつ海外に意識が向くようになったのだ。そして、ついには黒船がやってきて開国へと踏み切った。このとき、ジョン万次郎は、通訳として、あるいはアメリカの事情を知る者として大活躍したことだろう。
木村さんもFさんも、漂流者として地球外の文明に触れてきた人たちである。特に、奇跡のリンゴによって注目を集めた木村さんが宇宙人を語ることで、多くの人の意識が宇宙に門戸を開き始めるはずだ。それまで、宇宙人やUFOのことを話すと笑われると思っていた人も、自分の体験を語り出すだろう。私は、「ムー」という雑誌に木村さんのUFO体験を書いた。そこには、木村さんが描いたUFOのイラストも掲載した。それを見たひとりの知り合いが、自分もあれとよく似たUFOを見たことがあるんだといい出した。これまでは、そんな話はだれも信じてくれないし、変な人だと思われるのが嫌だから黙っていたけど、ということだった。テレビでUFO番組が放送されるとか、インターネットにUFOが飛んでいる映像が出るよりも、UFOや宇宙人については門外漢である木村さんが語る方が、人の心に飛び込んでいくものがあるというのも、不思議な話である。非常識とされていたリンゴの無農薬栽培をやってのけた木村さんだからこそ、まともには取り上げられないUFOや宇宙人の体験も、そこに何か可能性を感じさせられるものがあるのではないだろうか。
さきほど、宇宙人の存在が重要な意味をもってくるという予感がするといった。日本が外国に門戸を開いたときの社会の変化を見るとわかりやすい。それまで藩の単位で動いていた社会システムが、国家として機能するようになったわけだ。それと同じように、宇宙人の存在を意識することになれば、日本人だアメリカ人だという国家単位のセクショナリズムから、地球人というスケールの大きな価値観の中で生き方を選んでいくことになるだろう。
ただ、木村さんが、Fさんのように宇宙人からのメッセージを伝える役割かというと、ちょっと違う気がする。あのとき以降、木村さんは宇宙人やUFOと接触することはなかったようだし、Fさんのように頻繁にメッセージが聞こえてくることもない。本村さんにとっては、あそこまでの体験で良かったのだろうと思う。
★なわ・ふみひとのコメント★
私は地デジ放送は一切見ませんが、CATVの「ヒストリーch」、「ナショナル・ジオグラフィックch」、「アニマルプラネットch」には好きな番組がありますのでよく見ています。そのヒストリーchに「古代の宇宙人」という番組があって、雑誌『ムー』が取り上げているような内容をシリーズで放映しています。毎回1時間の番組ですが既に130回目を超えているほどの人気番組です。内容を一口に言いますと、「地球には古代から地球外知的生命体が訪れていて、その痕跡が世界各地に残っている」というものです。「聖書のGODs(ゴッド。複数です)は実は地球外知的生命体だった。古代の人がそれを神と思ったのだ」という内容も大変説得力があります。CATVが見られる環境にある方はごらんになってください。UFOに関する考え方が一変するでしょう。そしてUFOの話をする人を笑いものにしているのは日本だけだということがわかります。お隣の中国でも、政府をあげてUFOの情報収集につとめているのです。
ちなみに、UFOを「ユー・フォー」と呼んでいるのは日本だけのようで、各国では「ユー・エフ・オー」と発音しています。
さて、UFOのことについて書かれた内容をご紹介しましたが、この本は「奇跡のリンゴ」と呼ばれる無農薬リンゴの栽培で一躍有名になった木村秋則さんについて書かれた書籍です。その第2章のタイトルが「宇宙人」となっていて、「…すべてのものに魂は宿っているんだ」という副題がついています。動物や植物だけでなく、自動車や時計、あるいは全く動くこともない机や椅子にも魂は宿っている――。これは私自身も日常的に実感していることですが、同じことを“リンゴ栽培達人”の木村さんが言っている(「道具には命がある」)と知って嬉しくなりました。そういう木村さんは宇宙人にアブダクション(誘拐)された体験を持っているとか。そのあたりのことについても大変興味深い内容が書かれています。本の置き場に困っているため、最近では厳選しつつ購入している私ですが、この本は「買って損をしない本」としてお勧めしたい1冊です。
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