ヨーロッパのある秘密会議では何が話されているか
この欧州統一という半世紀以上かかった長期の計画の立案と実行は、大きな目的を持つある秘密グループの力によるところが多いのです。
そのグループは1954年に第1回の会合を持ってから現在に至るまで、毎年1月から6月までに定期的に集まっています。しかしそのメンバーの名前はもちろんのこと、討議される議題や出席者の顔ぶれなど一切のことが、長い間オランダのライデンにある事務局ばかりか、世界中のマスコミによっても1975年まで公表されることはありませんでした。
このグループの秘密ぶりは徹底しています。集まる会場になるホテルが全面的に貨切になるのはもちろんのこと、部外者はマスコミといえども一切立ち入り禁止。宿泊客だけでなくホテルの従業員も入れ替えられて、期間中は自分たちが連れてきた料理人、ウエイター、ハウスキーパー、警備員によって会場になるホテルが切り盛りされます。過去のアメリカの会場は、ほとんどがロックフェラー家所有のホテルが使われています。2009年の会合は5月14〜16日の3日間ギリシアのアテネで開かれましたが、会場になったホテルの周辺は、警察官だけでなく軍のヘリコプターとジェット戦闘機までもが巡回警備に出動していました。
この徹底した秘密グループの存在が明るみにでたのは、ひとえにジム・タッカーというアメリカ人ジャーナリストの努力の賜物です。執念の男ジム・タッカーは、世界中の誰もその存在さえ知らなかった1975年から、ずーっとこの秘密グループを追い続けています。このグループは極度な秘密主義ですがタッカーは内部に内通者を持っているようで、いつも会期終了の前に出席者の全名簿を手に入れて公表しています。
このグループの名前は、ビルダーバーグ・グループ、ビルダーバーグ・クラブなどいくつかの通り名がありますが、本書ではビルダーバーグ・グループで通すことにします。
その名前の由来は、オランダのベルンハルト王子の呼びかけで、1954年にオランダのオーステルベーグという町にあるビルダーバーグ・ホテルで最初の会合をもったことから来ています。
集まりの呼びかけの理由が、第2次大戦後の西欧とアメリカの関係を堅持するという立派なものです。この呼びかけは当時の状況を考えると、非常に的を射たものでした。戦禍にまみれた欧州の復興を手助けしようというアメリカの国務長官ジョージ・マーシャルの発案で、1948年からはじまったアメリカの無償援助を含む総額100億ドルの援助計画マーシャル・プランが、1951年末で終了していました。
提唱者のマーシャルが後にノーペル平和賞を受賞したように、マーシャル・プランは欧州の戦後復興に多大な貢献をしました。したがってその偉大な援助計画の終了を危惧した人が多かったことは、想像に難くありません。
しかしマーシャル・プラン終了から3年後のこの集まりを企画した人たちは、経済協力から統一通貨発行に進み、やがては政治的な統一を成し遂げて欧州での単一国家の設立を夢見ていました。
この第1回の集まりを行なってから、ライデンの事務局が毎年100人ほどの人に招待状を送って、近年は5月か6月に北米か欧州において、高級ホテルを3日間ほど借り切って会合が持たれています。
出席者の肩書きは、中央銀行関係者、国防関係者、マスコミの大物、各国政府の首脳クラス、王族・貴族、国際金融資本家に限られています。出席者は本部からの招待を受けた者に限られ、アメリカにおいてはジミー・カーターとビル・クリントンが、そしてイギリスのトニー・ブレアが全く無名の時に会議に招かれました。2008年には連銀議長ベン・バーナンキが、そして2009年には財務長官ティモシー・ガイトナーとともに国務副長官ジェームズ・スタインバーグが目撃されています。
半世紀以上の年月がかかった欧州統一ですが、その陰には欧米の政治・経済・軍事関係のエリートたちで構成されているビルダーバーグ・グループの全面的なバックアップがあったのです。
鳩山を首相に選んだのは、ビルダーバーグだった!
以前は全くこの集まりに関する情報は、事務局からは出ませんでした。
今でも実際に討議された内容は一切公表されませんが、会合の場所と名目上の議題は前もって発表されるようになりました。
これはタッカーをはじめとする多くのジャーナリストの努力の賜物と言えますが、アジアのことに関しては今まで全く直接的かかわりが報道されませんでした。ところが去年(2009年)10月5日に、アメリカン・フリープレスに掲載されたタッカーの記事に、日本の新首相鳩山由紀夫の名前が出ていました。
ジムのこの記事は、地域政府樹立と世界統一通貨設定に関連した2つの出来事が去年の9月に起きたことが書かれています。この地域政府樹立と世界統一通貨設定というのは、ビルダーバーグ・グループの目指す世界政府樹立に繋がる重要な足がかりです。
まず1つはビルダーバーグのバックアップを受けた人物、Yukio Hatoyama が9月に日本の首相に就任したことです。
もう1つは国連の補助機関の国際連合貿易開発会議が、国連加盟国は国際的な準備銀行が通貨を発行することに同意すべきである、という声明を9月7日に発表したという2つです。
鳩山首相が提唱した東アジア共同体の構想が、東アジアで日・中・韓の集団安全保障体制の構築と通貨の統一を目指しているのは、ビルダーバーグ・グループの意を受けているとタッカーは書いています。ただしどの時点で、またどのような繋がりで鳩山首相とビルダーバーグが接点を持ったのかは書いてありません。
★なわ・ふみひとのコメント★
細川護煕元首相も、首相になる前にビルダーバーグの会議に招かれたという情報があります。細川政権における「小選挙区制の導入」「米の自由化」政策の実現や、自民党から民主党への「政権交代」のように政治的に重要なポイントにおいては、世界支配層がそのコントロール下にある人物を首相に“指名”することがわかります。
それにしても、軍隊までも警護に出動させることのできるビルダーバーグの会議に出席する人間は、誰が、どんな組織が選んでいるのでしょうか? フリーメイソン? イルミナテイ? ロスチャイルド?‥‥これこそが真の世界支配グループと思われますが、それは全くの霧の中なのです。
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