[超極秘]第四の選択
ジム・キース・著 林 陽・訳 徳間書店
1994年刊 

 第1章 『第三の選択』の謎

 この本は、事実に基づくフィクションです。しかし、わたしは偶然にも極秘の事実に迫ってしまったのである、と感じているのです。

●イギリスのアングリア・テレビが製作するノンフィクション科学番組のエープリール・フール版として企画され、デビッド・アンプローズとクリストファー・マイルズによって書かれた『第三の選択』は、月と火星への超極秘移民計画のために、科学者やバッチ・コンサインメント(一括託送貨物)と呼ばれる一般人が誘拐されている、あるいは機密漏洩を防ぐために殺されているという話を伝えている。
 より正確には、信じ込ませようとしているといった方がよかろう。このテレビ番組と本によると、大金持ちの支配者たちは、汚染と人口過剰で危機を迎えた地球から大脱出する唯一の策として、地球外基地を選び、火星と月の上にあるドーム都市へと、続々疎開を行なっているというのだ。
 「三」とは、われらが宇宙陰謀家たちの星間評議会で提起された地球脱出選択案のうち一番新しいものを意味する。「第一の選択」は成層圏で核爆弾を炸裂させ、汚染物質と熱を宇宙空間に逃すというもの。「第二の選択」は、いよいよ危なくなってきたときに超エリートたちが避難できる巨大地下トンネル網を建造することだった。

 第2章 終末からの脱出

●『第三の選択』はある意味では正しいことをいっている。それは、世の終わりに関する予測だ。著者らは、人口過剰で地球がやがて住めなくなることを知った陰謀家たちが、ジュネーブで地球脱出を最終的に選択したことを、われわれに信じさせようとしている。
 温室効果と人口過剰が、『第三の選択』では特別な危機として扱われている。人類存続を脅かす危機には事欠かない昨今だが、その多くは、1970年代の著者たちには考えられなかったものだ。過去200年以上にわたり産業化の波と消費がこの惑星をおおい、その結果、推定2000億トンの炭素廃棄物、二酸化炭素、フロンガス、メタンガスが地球の大気中に流れ出して、温室によく似た方法で太陽熱を集め続けている。これによって世界全体にわたり気温が上昇し、汚染の度合いが加速するにつれ、気温の上昇にさらに拍車がかけられている。

●今のところ温室効果の問題を解決する有力な手だてはない。問題そのものが起こす異変を待つか、さもなければ、『第三の選択』ということになるだろう。

●1987年にトップクラスの気象学者グループが編纂した『ベリアゴ・レポート』によれば、地球温暖化によって作り出される温帯の移動に森林の方がついてゆけないために、2010年までには世界中で広範囲にわたり森林が死滅するとの報告が出されている。森林についていえることは、昆虫、バクテリア、動物、人間にもいえることである。加うるに、世界中の耕地のかなりの部分が近い将来に荒れ地と化し、これまでにない規模の飢饉を起こす可能性がある。

●化石燃料の使用を切りつめ、温室効果を誘発する二酸化炭素やフロンガスの放出を減らさなければならないほど、事態は深刻化している。今後予想される第三世界の産業化によって、これら汚染物質がいっそう増大し、惑星全域の気温を上昇させることはほぼ避けられない状況だ。
 伐採と焼畑農業は、今後50年以内にアマゾンの熱帯雨林を広大な牧草地に変えてしまいかねない。また、全世界規模で広がりつつある森林破壊は、大気中の二酸化炭素の濃度を高めるだけである。木は伐採されたら最後、二酸化炭素を吸収することも、酸素を放出することもできなくなってしまうのだ。

●このような話をきいても、読者は『第三の選択』と運命を共にして火星航空券を予約する気にはなれないと思うが、地球の保護膜であるオゾン層は、フロンガスのお陰で毎年薄くなっているといわれている。
 1985年、イギリスの南極観測隊はハレー湾において、南極上空のオゾン層に巨大なホール(50%の消失)ができていると報告したが、1987年にはこの消失が60%までに拡大した、と報じている。今や、オゾンホールはヨーロッパ、北アメリカ上空において観測されるに至った。1992年には、北米上空のオゾンホールは北極からモンタナ州にまで拡がり、紫外線の当たりすぎによって部分的に起こされる皮膚癌は、今やアメリカではもっとも一般的な癌となっていることが、最近のアメリカ癌学会から報告されている。

●ともかく、地球外移民に駆り立てるものが存在することは確実なように思われる。これを前提として考えるならば、はたして世界の超エリート階級が宇宙の箱舟を着々と準備しているか、それともすでに箱舟の打ち上げに成功しているのかということが問題になる。
 筆者は、沈没寸前の宇宙船地球号から財宝をあらかた奪取した泥棒たちが、今や地球を放棄する段階に移ったという点で、『第三の選択』に同意せざるをえない。だが、彼らの正体は?

 第3章 陰謀の戦後史

●陰謀が存在すること、地球食物連鎖の高所から事を支配しようとの謀略網すら存在することは明らかだ。今や「あるのかどうか」ではなく、「首謀者は何者か」ということの方が問題になっていて、陰謀暴露の軍団を編成するに十分な数の候補者が現れている。
 調査を進めていくと、『第三の選択』とほぼ同一の計画を遂行する国々の連絡関係が明らかになってくる。研究家のホーソン・アベンソンが指摘するように、これら支配者階級にとっては「国々はただの便利品にすぎない」のだ。

●銀行家のバーナード・バルフは、軍需産業委員会議長として第一次大戦中にアメリカの産業を支配し、銀行家ユージン・メーヤーは軍需金融会社を組織、銀行家ポール・ウォーバーグは連邦準備制度の仕事に着手した。この3人はいずれも、ロスチャイルド銀行集団の代理人である。

●円卓会議は、イルミナティの思想を明確に反映させて、諸国家の王室の廃絶とエリート集団への屈服を主張した。これが、今の「新世界秩序」の原型なのである。

●多年にわたり、円卓会議やロスチャイルド、その関係者たちは、毛沢東の中国からカストロのキューバに至る各種各様の共産主義者らと堂々と付き合い、何百万ドル、何千万ドルという金を出しては、東西の財閥を競い合わせることを楽しんできたのである。

●ルーズベルトが真珠湾攻撃を事前に知っていたことに関して、最近多くのことが書かれているが、ルーズベルトは、少なくとも8つの別々な情報源を通して、真珠湾攻撃の切迫を予め知っていた。ジョン・トーランドが同名の本の中でいっているように、あの「汚名の日」にルーズベルトは自らが望む事件を起こすことに成功したのである。

●第二次大戦は、3500万人の愛国者が犠牲になる中で、国際主義銀行家とその支持集団、政治家、死の商人の懐に数十億ドルの金が流れ込んだ物語だったのである。

 第19章 第四の選択と極秘地下軍事基地

●『第三の選択』によれば、第一と第二の選択は、地球の悪化症状を解決するためのものでもあった。汚染物質を宇宙空間に排出するため成層圏に穴を作る計画、そして地表の状態があまりに悪化した際にエリートだけが逃れるための地底住居の建設計画の二つだ。

●『第二の選択』に唯一対応すると思われるものが、1950年9月、ロス・アラモス研究所から出された核兵器の効果という報告にみられる。それによると、国防省は地下基地建造に注目し、このような建造は“望ましい”ばかりか、“地下に各種重要施設を建造し営むことに基本的には何ら困難はない”との声明を出している。

●1970年代末、「マウント・ウェザー」のあだ名で知られるバージニア州ブルーモントにある地下都市が、政府組織FEMAによって運営され、民間人を中心とする1000人の労働者を擁していることが発覚した。マウント・ウェザーは核戦争や革命といった緊急事態が勃発した際に、大統領と4000人の政府要人を地下に避難させるためのものだ。
 10億ドルもかけて建造され、毎年4200万ドルの運営費を必要とするこの地下都市は、大食堂、休憩所、電子地図を備えた作戦室を含む地下のオフィス街になっている。
 もう一つ、「ラベンロック」または「R地点」の名でも知られる国家軍事副司令部が、キャンプデービッドの北9キロ、地下200メートルの地点にある。「地下のペンタゴン」の名で知られる7500坪の地下壕は、1949年にハリー・トルーマンの命令によって建造されたもので、350人の職員が勤務している。
 その他、50以上の地下軍事施設がアメリカ国内にあり、これらは莫大な裏予算で運営されている。

●地下建造基地を論じるときにあまりふれられずにいることがある。それは、これらがアメリカ国民の反乱や暴動から身を守るためのものであるということだ。アメリカの独裁者は、安全な地下施設に軍もろとも身を隠し、地上からの脅威を未然に防ぐことができるのだ。

●1991年にサンディエゴで開かれた講演会で、研究家のマイケル・リンデマンは地下基地についての考えを次のように語った。

 もう一つの政府が動いていることは事実である。背後で動いている政府である。それを“秘密政府”と呼ぶ研究者もいる。“上の秘密結社”と呼ぶ研究家もいる。それは、人から選ばれたのではない。エリートを自認する者たちの集団であり、背後から政府の動きを探っている者たちの集まりなのだ。
 彼らは政党政治を超えた存在である。司法を超越し、合衆国憲法をまったく考慮に入れていない。彼らは、地政学の真の番人であり立役者であることを自認し、われわれも、われわれの選んだ政治家さえもただの生き物としかみてはいないのだ。この人々は“オリンポスの神々”を自認している。この人々は議題の名の下に、おぞましい、非難するに足る多くの事柄を行動に移してきた。これらのことが犯罪であることは明らかだが、犯罪以上のものでもある。彼らは、われわれの未来に対する権利と可能性を吸い取り、奪っているからだ。
 彼らはいま、一種の終末ゲームを楽しんでいる。どうすれば終末を生き残れるかを模索しているのだ。終末が聖書の黙示録のような形でやってくるにせよ、人口爆発その他、われわれを苦しめるあらゆることを伴う大がかりな環境破壊としてやってくるにせよ、あるいは、明日にも起こりかねない銀行システムの破たん、世界経済の崩壊という形で起こるにせよ、彼らは自分たち自身の“ノアの箱舟”を建造しているのだ。
 いま建造中のノアの箱舟は地下にある。世界各地、特にアメリカ国内にある地下基地だ。われわれの大陸の地底を紡いでいる広大な地下基地の存在を知れば、あなた方は青ざめることだろう。これらは、定常的に数万人を収容することのできる場所である。したがって、国内全体では、終末を生きのび、次の文明の柱になるべき数十万人のエリートたちを避難させることが可能なのだ。われわれ庶民は、自分で自分の面倒をみなくてはならないのである。


 国の秘密機関は、憲法の部分的ならぬ全面的廃止と、“新世界秩序(ニューワールド・オーダー)”の形をとって着手されるはずのアメリカ独裁制への準備が着々と進められていることを知るよりも、むしろ外宇宙から円盤に乗ってやってきた悪賢い宇宙人が地球を侵略しているという話の方を、われわれに信じ込ませたがっているように思える。

 終章 支配エリートの目指すもの

●わたしは、究極的な世界陰謀家集団の正体を掴むための糸口を精密に調べた結果、よくみえる高台に到達することができたと信じている。わたしは、秘密結社や目にみえる民族国家を監督する単一の支配構造が存在しない、背後から糸を引いている者たちからなる「ピラミッド」の冠石が存在しない、というつもりはないが、陰謀がどう働いているかを見極め、主たる行為者の多くを知るのに、支配者の究極的正体を知ることは必ずしも必要ではないと考えている。
 ピラミッドの頂上は、ヨーロッパとアメリカにおける強力な力の中心、ロスチャイルドとロックフェラーに代表される貴族的支配家族の比較的小さな集団からなっている。さらに多くの最強の“貴族”ならびに“王室”が、これら支配者の周辺に群がっているが、その構成員と影響力についてはさらに徹底した調査が必要だ。これらの一族は、マルタ騎士団、フリーメーソン、円卓会議、米外交問題評議会、日米欧三極委員会、ビルダーバーガー、スカル&ボーンズ、といった秘密結社、また今の政治の流れにニュー・ワールド・オーダー(世界新秩序)のテーマが普及していることからみて、イルミナティとも結束しているはずだ。すべては舞台裏で進められ、これら秘密結社の中には他よりも多くの知識と権力を握っているものもある。その他の支配機関の中には、CIA、KGB、イギリス諜報部といった諜報機関、それにマフィアや極端な影響力をもつ国際ナチ――今はカギ十字の腕章を避ける若い世代が指導者になっている――のような国際的麻薬・テロリスト集団が含まれる。狡猾な知恵を持つ支配者たちは、自分たちの目的を推し進めピラミッドの構造を保持するためなら、殺し屋を雇い入れ大量殺戮をすることさえも厭わない。

●これら幾多の陰謀家やその集団、政府が共通に目指しているのは支配である。この意味で彼らは力を結束させ、人類の首を締めつける残忍な、技術による首かせを開発しているという。こうした目標を中心におき、それにカネと進歩した技術という道具立てを使って、計画の全貌が具体化する。DNAプログラミング、マインド・コントロール、ロボット工学、コンピューターとバイオの結合といった技術革新の到来とともに、“働き蜂”の大集団は危機にさらされるばかりか、廃棄物にさせられる可能性すらある。

●この世界を操る者たち(そして彼らからカネをたっぷり支給されて満足している看板人間たち)にとっては、われわれは「柵の中の家畜」の一部にすぎない。それ以上のものではないのである。そして、今の社会が非人間的な統制国家から変貌しない限り、世界支配の歴史が告発され、それを排除する戦略がとられない限り、人類は正真正銘の『第三の選択』を生きるべく宿命づけられてしまうことになるだろう。

 ★ 著者紹介 ★

ジム・キース  Jim Keith
1949年生まれ。アメリカ、ジョージア州在住。世界陰謀史研究のエキスパート。政治、経済、軍事、金融、環境、医療、宇宙開発など、広い分野のインサイダー情報の収集と分析を行なうIネットグループを発足、世界の背後で進められている闇の組織による極秘計画を追跡中。

★なわ・ふみひとのコメント★
 私がコメントしたいことはただ一点です。「この内容をまじめに受け止めてください。間違いなくあと数年でこのことが証明され始めると思います」。もちろん、信じても信じなくても、「柵の中の家畜」である私たちに選択肢はありませんが。(2018年7月記)
 
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