|
||||||
『みすゞコスモス…わが内なる宇宙』 矢崎 節夫・著 JURA出版局 |
||||||
【著者解説】
『私と小鳥と鈴と』の中で、みすゞさんは〔みんなちがって、みんないい。〕と歌ってくれています。 みんなちがって、みんないい。あなたはあなたでいいのです、といわれているようで、倖せな気持ちになります。 みすゞさんは、なんとすてきなことばを、私たちに残してくれたんでしょうか。 先日、教育出版の小学国語五年下にのっている『みすゞさがしの旅』の授業を見せていただいた時に、五年生くんから「〔みんなちがって、みんないい。〕って、人殺しでもいいの」とたずねられて、びっくりしました。 そこで、次のように答えさせてもらいました。 「〔みんなちがって、みんないい。〕というのは、一人ひとりがみんな光り輝いている、大切な存在だということです。ですから、人を殺したり、傷つけたり、いじめたりする人は、みすゞさんの〔みんなちがって、みんないい。〕の中には入りません。人を殺したり、傷つけたり、いじめたりする人は、きっと、このことばをまだ知らないから、そんな悲しいことができたのでしょう。〔みんなちがって、みんないい。〕を、ちがうことばでいうと、“まるごと認めて、傷つけない”ということです。小学生のみなさんが、本気でこのことばを大切にして、自分のものにしてくれたら、みなさんが大人になるころには、日本中から一人も、人を殺したり、傷つけたり、いじめたりする人がいなくなるでしょう。そうなったら、どんなにすてきでしょう」 “まるごと認めて、傷つけない”とは、愛するということです。 それも、それぞれに佇んで、“不平等に愛する”ということです。 この世の中には、だれ一人として平等に生まれている人はいないからです。 一人ひとりに佇み、不平等に愛して、初めてだれもが平等に倖せになれるのです。 学校の中で、職場の中で、自分の心と一番遠い人に、一番心を飛ばす。大変なことですが、それなしには〔みんなちがって、みんないい。〕は成り立ちません。 〔みんなちがって、みんないい。〕とは、 大きいもの 小さいもの 力の強いもの 力の弱いもの 有名なもの 無名なもの 有用なもの 無用なもの 見えるもの 見えないもの すべてが 尊い ということです。 今まで私たちは上(左)の部分、目立つ部分だけを見てきました。 しかし、みすゞさんが甦ってくれたおかげで、これまで見えなかったことが見えてきました。 みすゞさんに感謝したい、そんな気持ちでいっぱいです。 |
||||||
[TOP] | ||||||