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『みすゞコスモス…わが内なる宇宙』 矢崎 節夫・著 JURA出版局 |
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【著者解説】
仕事部屋の窓から空を見上げると、雲があります。きれいな形をした雲です。目をつぶると、雲は見えなくなります。雲はあるのに見えないのです。 また目を開けると、雲は見えます。おもしろくて、何度も目を閉じたり開けたりしているうちに、ふと気がつきました。私が見ている雲は、私が見ている時にある雲で、私が見なければ、実際には雲は空にあっても、私にとってはない雲だと。 このことに気づいた時、「ああこれが『砂の王国』の世界なんだ」と思いました。 私が見ている世の中も、私が見ているからある世の中で、目を閉じればないのです。ということは、世の中があって私が生まれたのではなく、私が生まれて、目を開けて世の中を見た瞬間から、私の世の中も生まれたのです。つまり、私は私の見ている世の中(王国)の王様なのです。 みすゞさんはこの王国を「砂の王国だよ」といってくれているのです。「あなた自身によって、いくらでも変えられるのですよ」と。 世の中が悪いといって、世の中のせいにするのではなく、自分は自分の王国(世の中)の王様なのですから、王国が楽しく、美しく倖せなところになるように、自分ですればいいのです。 “世界中にいる人は、だけ一人として欠けることなく、自分の王国の王様”です。 このことに気づいて、一人ひとりができることをやっていったら、世界はすばらしくなるでしょう。私の王国には、ゴミや倒れている自転車はあまりありません。王様が拾ってゴミ箱に入れたり、起こしたり、できるだけしているからです。やるのにちょっと勇気がいりますが、やると結構うれしいものです。 こんな本当は当たり前なことを、子どもがするのに勇気がいるようにしたのは、私たち大人がしなくなったからです。子どもたちに、申し訳ない気がします。 ほかの王国と私の王国では、多分大きく違うことがあります。それは、飲み物などの自動販売機がないことです。自動販売機一台のひと月分の電力は、四人家族一カ月分の電力と同じだと知ってから買うことをやめました。電力会社は、電力が足らないからといっては原発をつくっています。何年も前に、東京中の自動販売機を全部なくすと、原発ひとつ分の電力が余るという話を聞いたことがあります。 チェルノブイリ原発事故で一番の被害者は、子どもです。自動販売機で買うということは、原発をふやしはしても、減らすことはないわけですから、いつか事故があった時の仮説的加害者だということに気がついたからです。 どうしても置かなければならないところ以外は、なくなるといいな、町がきれいにもなっていいなと思います。 買わなくなってから気がついたのですが、自動販売機って、買っている人が「売ってくれてありがとう」と自販機に頭下げているのですね。 |
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