|
||||
『みすゞコスモス…わが内なる宇宙』 矢崎 節夫・著 JURA出版局 |
||||
【著者解説】
ネパール王国ルンビニ州ゴナヒヤ村に、「ネパールみすゞ小学校」が建っています。ここの校舎の壁に、日本語とネパール語訳の『みんなを好きに』が銅板で刻まれてかざられています。 ネパールにみすゞ小学校を建ててくださったのは、群馬県在住の写真家で、日本ネパール友好協会(NNA)代表のオギノ芳信先生です。 ネパールは世界でも最も貧しい国のひとつで、水道は人口の十四パーセント、トイレがないのでまわりはどこもトイレ、衛生状態が悪い上に、首都カトマンズのほかは、子どもたちの多くははだしです。栄養もかたよっていて、ビタミンA不足のため、三、四歳で白内障になったり、見えなくなったりする子もいます。子どもたちは五歳までに、五人に三人が死んでしまう地域もあるそうです。教育を受けることで、自分たちの環境をよりよく変えることもできるでしょうが、その学校もありません。いえ、もちろん学校はありますし、大学もありますが、全体量が足りないのです。とくに僻地にはないといっていいでしょう。 二十数年前、ネパールに写真を撮りにいって、オギノ先生はこの子どもたちの現状を知ったのです。同じアジア人として、この子たちにできることはないかと考え、ネパールの子どもたちのために、ネパール人が教える小学校づくりを始めたのです。 オギノ先生のすごいところは、僻地で、本当に小学校が必要なところを、自分でいって選んで建てているのです。中には、軍用ヘリコプターと馬にのって、三日もかかるところもあります。軍用ヘリコプターで、8167メートルのダウラギリを越えたジョムソンにも建っています。 みすゞ小学校の建ったゴナヒヤ村も、小学校ができたおかげで道路ができ、電気も引けました。 小学校を建てるだけでなく、きちんと使われているか、必要なものはないかどうか、毎年見てまわっています。すでに十五校建っているので、これだけでも二、三カ月はかかるでしょう。もう二十年以上も日本でお正月を迎えたことがないそうです。 「ネパール人でも考えないことを、ミスターオギノは、ネパールの子どもたちのためにしてくれている」と、涙を浮かべながら話してくれた、ネパールの人がいるほどです。 オギノ先生と小学校のことを私たちに教えてくれたのは、酒井大岳先生です。大岳先生からオギノ先生のお話をうかがった時、オギノ先生は、私たちの誇りだと思いました。私にはオギノ先生のようなことはできません。みすゞファンに呼びかけて、“うれしさ飛ばし”をさせていただくことはできます。そこで、大岳先生からオギノ先生にお願いしていただいて、募金を集めさせていただくことにしたのです。 大岳先生が、みすゞファンとオギノ先生を出会わせてくれたおかげで、“うれしさ飛ばし”のひとつの形として、ネパールにみすゞ小学校が建ちました。 今、みすゞ小学校には175名の子どもたちが元気に学んでいます。 |
||||
[TOP] | ||||