南海トラフの死者2千万人
という予測がある
2020年05月15日(金) 
     
     
  東日本大震災のときの津波。   
     
 
 本日のタイトルにあるように、もし南海トラフの死者が2000万人ということになれば、被災したほとんどの人は亡くなると考える必要があります。ずばり、被災想定エリアに住んでいる人は誰も助からない――ということです。
 では、このような予測をしたのは誰なのでしょうか?
 どうしてこのような大きな数字になるのでしょうか?
 政府発表の「最大で32万人」という数字と余りにも違うのはなぜでしょうか。
 その答えは、次にご紹介する船瀬俊介氏の『巨大地震だ、津波だ、逃げろ!』(ヒカルランド)をご覧ください。長くなりますので、ポイントとなる部分を私の判断で赤い文字に変えています。時間のない方はその部分を拾って読んでいただいても、意味はつかめると思います。

 死者32万? 政府発表の嘘

 きたるべき巨大地震の悪夢……。
 目前に迫っているのが首都直下型地震だ。
 それだけではない。地震研究者が、それ以上に恐れている地震がある。
 それが、南海トラフ地震だ。東は駿河湾から西は九州南端まで約1000キロ、水深約4000メートルのトラフ(海溝)。日本列島が乗る大陸プレート(岩盤)の下にフィリピン海プレートが沈み込む。それが一瞬で裂ける。
 それを海溝型地震という。すると悪夢ともいうべき超弩級の地震が発生する。
 1960年のチリ地震では沖合の海溝が1300キロにわたって動いた。2011年東日本大震災は約500キロ。だから、いつ起きてもおかしくはない。
 2012年8月29日、政府(内閣府)は衝撃発表を行った。
「南海トラフで、マグニチュード(M)9・1級の超巨大地震が発生する可能性がある」
「その場合、30都府県で被害が発生する」「
震度7で238万棟が全壊・焼失」「死者は最大32万3000人
 これら被害想定は内閣府・中央防災会議の有識者による作業部会が公表した。
「犠牲者の7割は津波による」という。
「津波で堤防や水門が破壊された場合、死者はさらに2万3000人増える可能性がある」
 そんなものですむのか?
 内閣府は、南海トラフ地震について2003年にも被害予測をしている。そのときは死者数2万4700人。それが、今回、いっきょに13倍になった。
 それは3・11の教訓から「考えうる最大級の地震を想定した」ためという。
 死者32万人……。
 この数字にだれもが絶句する。しかし、この数字にすら過小見積もり“操作”があった。
 (中略)

 本当の被害者は350万人!

南海トラフ巨大地震 本当の被害者は350万人!
 衝撃タイトルが躍る。
 さらに「――
大阪・名古屋の巨大都市が消えてなくなる」。ただ驚愕というしかない。
 これは『週刊現代』(2012/9/15)の特集記事。死者350万人といえば、第二次大戦の犠牲者に匹敵する。
 あなたの頭の中は真っ白になるだろう。呆然自失……思考停止。もはや、理解を超えている。しかし、これは研究者の厳密な推計から導かれたものだ。
 この見出しと、政府(内閣府)発表記事をくらべてほしい。
 かたや死者21万人、いっぽうは350万人……。
 同誌は、政府予測を「残念ながら想定が甘すぎる」と切って捨てる。
「本当の被害は政府発表の10倍超」「平野部の大都会は津波で一気に破壊される」「東海道新幹線、東名高速は崩壊、中部国際空港は水没」「浜岡原発は完全アウト」……。
 想像を超える悪夢が連続する。最後に「そのとき、生き残る道は――」と問いかける。

 最低でも47万人死亡する

 政府は南海トラフ地震被害を「最悪の場合、死者32万3000人、建物全壊(焼失を含む)238万6000棟」と公表した。
 同誌は、これを真っ向から否定している。
「……地質学の専門家からは、この数字さえ『想定が甘いと言わざるを得ない』と指摘する声が挙がっている」
 想定が「楽観的」と批判するのは立命館大学・高橋学教授(歴史都市防災研究所)。「この報告書では、いくつかの重要なことが考慮されていない」と厳しく批判する。
 同教授は、南海トラフ地震と巨大津波で、
最低でも47万人が死亡する、と警告している。
 政府は“最大”32万人死亡という。こちらは“最低”47万人だ。
 高橋教授の犠牲者、最低ライン47万人の根拠は実に具体的だ。
「……東日本大震災で三陸沖沿岸にある自治体は、人口の約1%が津波によって亡くなりました。三陸沖周辺は、防災意識も高く、日ごろから津波対策の訓練を行なっていた地域です。にもかかわらず1%の人が亡くなった。さらに、多いところでは人口の7〜8%が津波で亡くなっています。
南海トラフ地震では、4700万人が被害を受けると想定されていますが、1%と考えただけでも、47万人です」
 人口の7〜8%が死んだ自治体もあるのだ。
 だから、南海トラフ地震と津波では、最低でもこれだけ死亡する。

 34・4メートル津波が2分で襲う

 そして「
最悪の場合は350万人が犠牲になる」という。
 その理由として――「避難訓練が十分でない」「人口密度が高い自治体が多い」「家屋倒壊・火事など被害者が少なく見積もられている」ことなどをあげる。
 死者がケタ外れに増える最大の理由は、巨大津波の「高さ」と「速さ」だ。
 高知県黒潮町を襲う津波は34・4メートルという。それが、地震発生からわずか2分で到達する。町民全員が瞬時に津波に呑まれる。生存者はゼロだろう。
 30メートルを超える津波。一言ではピンとこない。
 たとえば東京新宿の伊勢丹本館ビルの高さが30メートル。
 交差点の向かいから見上げる。聳える高さにただ、ゾッとする。これはどの津波が襲ってくる! まさに海の壁だ。想像するとめまいがする。こんな高さの巨大津波が太平洋岸を襲うのだ。それも地震発生から数分で……!

 九州、四国、東海、太平洋岸壊滅

 だれもが息を呑んだ。南海トラフ地震で発生する津波の余りの高さだ。
 最悪30メートル超の巨大津波。それが沿岸都市に次々に襲いかかる。
 イメージしてほしい。これだけの高さの大津波が海岸都市や工業地帯、コンビナート、港湾、漁港、住宅地、観光地を襲う光景を……。
 それも地震発生からわずか数分で津波は到来する。避難のいとまなどない!
 津波の最高が前出、高知県黒潮町だ。34・4メートル……。新宿伊勢丹ビル屋上を4メートルも上回る。もはや、想像することもできない。白日夢である。しかし、我々は、その光景を直視したではないか。東日本大震災で津波を目前に体験した人は一様に語る。「……夢のようだった」。「とても現実とは思えなかった」。
 高知県だけでなく四国全域の太平洋岸一帯は全滅だろう。愛媛県も20メートル超に直撃される。伊方町は21メートル。忘れてはいけない! ここには伊方原発がある。原子炉は完全に水没、破壊で爆発は確実だろう。その放射能汚染は西日本全域を地獄にする。大分、宮崎、鹿児島の沿岸部も13〜17メートル 津波で壊滅する。
瀬戸内海は内海なのに山口、広島、岡山も沿岸は4、5メートルの津波が襲う。紀伊半島の太平洋岸一帯も壊滅。そして、名古屋から東京間は太平洋ベルト地帯と呼ばれ、まさに日本の生命線だ。人口密集も半端ではない。
 その生命線が20〜30メートルもの超巨大津波に直撃される。全壊、全滅必至だ。

 愛知県は、なんと22メートル高の津波が襲来する。
大都市名古屋も20メートル級に襲われる。名古屋市だけで人口221万人。どれだけの人が津波に呑まれるか。むろん、名古屋の人にとって、そのような光景は、まったく想定外だろう。

 米軍、死者2000万人を想定

 南海トラフが一瞬ではじける。九州、四国、紀伊半島、東海地方の沿岸を20〜30メートルの巨大津波が瞬時に襲う。多くの人口は港湾部、沿岸部に集中している。
 地震発生から数分、避難は絶望的だ。人々はなすすべもなく30メートル前後の怒濤に呑まれる。
 最初の一撃で、太平洋岸一帯は全滅する。死者は350万人ですむだろうか?
 アメリカ軍部(ペンタゴン)も南海トラフ巨大地震の極秘シミュレーションを行なっている。その犠牲者予測を知って仰天した。なんと、
米国は2000万人の死者を予想……!
 南海トラフ地震がM9クラスとはいえ、それだけ死ぬものか?

 原発爆発で日本は消滅する

 某外交評論家が、じっさいペンタゴン内で行なわれている南海トラフ“救出シミュレーション”を目撃している。
 彼らは原発事故の犠牲者も想定しているのだ。
 南海トラフが1000キロにわたってはじける。すると浜岡、伊方原発は20〜30メートルもの津波の直撃を受ける。次々に爆発するだろう。
 南海トラフによる惨劇は、地震、津波、原発とトリプル災害で襲ってくる。
 しかし、内閣府の被害想定、報告書には原発のゲの字もない。
 またもや不都合な真実にフタである。ペンタゴンは日本“救出”の「新トモダチ作戦」も立てている。
南海トラフ地震による原発の複数爆発で日本列島が放射能汚染される。第7艦隊は風上となる九州から上陸する。風は大陸から太平洋に向けて吹いている。米軍兵士たちが放射能にさらされる危険も少ない。こうして、大量のアメリカ軍が“救援”のために日本に上陸する。これは言い方を変えれば日本再占領である。津波や放射能汚染で2000万人を失った日本は、こうして米軍の管轄下となる。完全な属国化の完了である。
 51番目の州にもなれずプエルトリコのように自治領(準)として細々と生きることになるかもしれない。300〜400兆円と言われるアメリカに貸付けた金(米国債)も、当然踏み倒されるだろう。
 これは最悪のシナリオである。聞きたくない。知りたくない。耳をふさぐだけだ。
 しかし、
あらゆる情報が集まる米軍部が想定した訓練シナリオなのだ。
 死者想定32万人の政府発表が子供だましに思えてくる。


 以上、『巨大地震だ、津波だ、逃げろ!』(船瀬俊介・著/ヒカルランド)の内容を抜粋して、原文のまま掲載しました。

 米軍も東日本大震災での福島第一原発の爆発は津波が原因だと思わされているのでしょう。ですから、南海トラフ巨大地震による津波で、浜岡と伊方の原発が爆発する可能性を想定しているものと思われます。
 しかし、原発が爆発してもすぐに何万人もの人が死亡するわけではありません。ですから、米軍が想定する死者2000万人のほとんどは、地震による建物の倒壊と、巨大津波による犠牲者をカウントしていると考えるべきでしょう。それでも、地震と津波が原因で亡くなった人の数としては多すぎます。
 私は、津波から逃れて高いビルなどに避難しながら、救助が来ないために水や食料が得られないまま結局は亡くなってしまうという人の数も含まれていると考えています。地震直後に亡くなった人と、いったんは助かったがやがて衰弱して亡くなる人の合計で2000万人ということです。
 九州から上陸した米軍の“救助部隊”が、ガレキで覆われた道路をどうやって移動するでしょうか。太平洋沿岸一帯の被災地に、どうやって水や食料を届けるでしょうか。ヘリコプターで細々と運ぶのではとても間に合いません。被災エリアが広すぎるのです。被災者の数が多すぎるのです。水や食料の調達も難しいと思いますが、それを運ぶことも分配することもできないでしょう。
 ですから、太平洋ベルト地帯に集中したわが国の大都市が巨大津波に襲われれば、九州に船で乗り付けた程度の米兵では救助のしようがないと考えておくべきです。地震や津波の直接の被害を免れて生き残っていた人たちも、水や食料が得られないまま、ガレキに囲まれた避難所で、やがて衰弱し亡くなっていくことなるはずです。
 その人たちの数を含めると、死者2000万人という数字が現実的に思えてきます。
 船瀬氏が述べているように「あらゆる情報が集まる米軍部が想定したシナリオ」なのですから、日本政府や、「専門家」という名の無責任な学者たちの予測よりははるかに的確であると考えるべきでしょう。

 次回は、地震や津波によって亡くなる人の数を「死亡原因」によって分類してみます。そうすることによって、地震や津波の恐怖がよりリアルに実感されると思うからです。
 現実とはいえ、つらい内容です。
 
 
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