古代霊は語る
シルバー・バーチ霊訓より
近藤千雄・訳編 潮文社 
第1章 シルバー・バーチの使命

 因果律の目的は霊性の進化

問 死後の世界でも罪を犯すことがありますか。
シルバー・バーチ
 ありますとも! 死後の世界でもとくに幽界というところは非常に地上と似ています。住民は地上の平凡人とほぼ同じ発達程度の人たちで、決して天使でもなければ 悪魔でもありません。高級すぎもせず、かといって低級すぎもせず、まあ、普通の人間と思えばいいでしょう。判断の誤りや知恵不足で失敗もすれば、拭い切れない恨みや憎しみ、欲望等にとらわれて罪悪を重ねることもあります。要するに未熟であることから過ちを犯すのです。

 人間一人ひとりに守護霊がついているそうですが…。
シルバー・バーチ
 母体における受胎の瞬間から、あるいはそれ以前から、その人間の守護の任に当る霊がつきます。そしてその人間の死の瞬間まで、与えられた責任と義務の遂行に最善をつくします。守護霊の存在を人間が自覚すると否とでは大いに違ってきます。自覚してくれれば守護霊の方も仕事がやりやすくなります。守護霊はきまって一人ですが、その援助に当る霊は何人かおります。守護霊にはその人間の辿るべき道があらかじめわかっております。が、その道に関して好き嫌いの選択は許されません。つまり自分はこの男性にしようとか、あの女性の方がよさそうだ、といった勝手な注文は許されないのです。こちらの世界は実にうまく組織された機構の中で運営されているのです。

 日本語流に言えば「産土神の許可を得て…」ということになるのでしょうが、この問題は次の質問にある因果律、日本流に言えば因縁の問題もからみ、さらには再生問題にも係わる重大な問題を含んでおります。最後の「こちらの世界は実にうまく組織された機構の中で運営されております」というのはその辺も含めた言葉として解釈すべきです。

 地上で犯す罪は必ず地上生活で報いを受けるのでしょうか。
シルバー・バーチ
 そういう場合もあるし、そうでない場合もあります。いわゆる因果律というのは必ずしも地上生活期間内に成就されるとは限りません。しかし、いつかは成就されます。必ず成就されます。原因があれば結果があり、両者を切り離すことは出来ないのです。
 しかし、いつ成就されるかという時間の問題になると、それはその原因の性質如何にかかわってきます。すぐに結果の出るものもあれば地上生活中に出ないものもあります。その作用には情状酌量といったお情けはなく、機械的に作動します。罪を犯すと、その罪がその人の霊に記録され、それなりの結果を生み、それだけ苦しみます。それが地上生活中に出るか否かは私にもわかりません。それはいろんな事情が絡んだ複雑な機構の中で行なわれるのです。
 が、因果律の根本の目的が永遠の生命である霊性の進化にあることだけは確かです。


霊界のどこに誰がいるということがすぐにわかるものでしょうか。
シルバー・バーチ
 霊界にはそういうことの得意な者がいるものでして、そういう人には簡単にわかります。大ざっぱに分類すると死後の世界の霊は地上に帰りたがっている者と帰りたがらない者とに分けられます。帰りたがっている霊の場合は、有能な霊媒さえ用意すれば容易に連絡がとれます。が帰りたがらない霊ですと、どこにいるかは簡単につきとめることが出来ても、地上と連絡をとることは容易ではありません。イヤだというのを無理につれてくるわけにもいかないのです。

 俗に拝み屋という、霊魂との取り次ぎのような商売をしている人がいます。頼めばどんな先祖霊でも呼び出してくれるようですが、右のシルバー・バーチの答えを読めば、それが必ずしも信のおけるものでないことがわかります。シルバー・バーチは霊界にはスピリットの所在をつきとめるのが得意な霊がいると言っておりますが、実はそれとは別に、地上の拝み屋のような低級な霊能者のところをドサ回りのようなことをしながら、声色を使ったりクセをまねたりして、信心深い人間を騙しては面白がっているタチの悪い霊団がいることも忘れてはなりません。そんな霊にからかわれないためにも、正しい心霊知識を少しでも多く身につけたいものです。
 
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