古代霊は語る
シルバー・バーチ霊訓より
近藤千雄・訳編 潮文社 
第5章 死後の世界

 死後の世界に関する一問一答 @

 死んでから低い界へ行った人はどんな具合でしょうか。今おっしゃったように、やはり睡眠中に訪れたこと――多分低い世界だろうと思いますが、それを思い出すのでしょうか。そしてそれがその人なりに役に立つのでしょうか。
シルバー・バーチ
 低い世界へ引きつけられて行くような人はやはり睡眠中にその低い界を訪れておりますが、その時の体験は死後の自覚を得る上では役に立ちません。なぜかというと、そういう人の目覚める界は地上ときわめてよく似ているからです。死後の世界は低いところほど地上に似ております。バイブレーションが粗いからです。高くなるほどバイブレーションが細かくなります。

 朝目覚めてから睡眠中の霊界での体験を思い出すことがありますか。
シルバー・バーチ
 睡眠中、あなたは肉体から抜け出ていますから、当然脳から離れています。脳はあなたを物質界にしばりつけるクサリのようなものです。そのクサリから解放されたあなたは、霊格の発達程度に応じたそれぞれの振動の世界で体験を得ます。その時点ではちゃんと意識して行動しているのですが、朝肉体に戻ってくると、もうその体験は思い出せません。なぜかというと脳があまりに狭いからです。小は大をかねることが出来ません。ムリをすると歪みを生じます。それは譬えば小さな袋の中にムリやりに物を詰め込むようなものです。袋にはおのずから容量というものがあります。ムリして詰め込むと、入るには入っても、形が歪んでしまいます。それと同じことが脳の中で生じるのです。ただし、霊格がある段階以上に発達してくると話は別です。霊界の体験を思い出すよう脳を訓練することが可能になります。実を言うと私はここにおられる皆さんとは、よく睡眠中にお会いしているのです。私は「地上に戻ったら、かくかくしかじかのことを思い出すんですヨ」と言っておくのですが、どうも思い出してくださらないようです。皆さんお一人お一人にお会いしているのですヨ。そして、あちらこちらと霊界を案内してさしあげているんですヨ。しかし思い出されなくてもいいのです。決して無駄にはなりませんから……。

 死んでそちらへ行ってから役に立つわけですか。
シルバー・バーチ
 そうです。何一つ無駄にはなりません。神の法則は完璧です。長年霊界で生きてきた私どもは神の法則の完璧さにただただ驚くばかりです。神なんかいるものかといった地上の人間のお粗末なタンカを聞いていると、まったく情なくなります。知らない人間ほど己れの愚かさをさらけ出すのです。

 睡眠中に仕事で霊界へ行くことがありますか。睡眠中に霊界を訪れるのは死後の準備が唯一の目的ですか。
シルバー・バーチ
 仕事をしに来る人も中にはおります。それだけの能力をもった人がいるわけです。しかしたいていは死後の準備のためです。物質界で体験を積んだあと霊界でやらなければならない仕事の準備のために、睡眠中にあちこちへ連れて行かれます。そういう準備なしに、いきなりこちらへ来るとショックが大きくて、回復に長い時間がかかります。地上時代に霊的知識をあらかじめ知っておくと、こちらへ来てからトクをすると言うのはその辺に理由があるわけです。ずいぶん長い期間眠ったままの人が大勢います。あらかじめ知識があればすぐに自覚が得られます。ちょうどドアを開けて日光の照る屋外へ出るようなものです。光のまぶしさにすぐ慣れるかどうかの問題です。闇の中にいて光を見ていない人は慣れるのにずいぶん時間がかかります。地上での体験も、こちらでの体験も、何一つ無駄なものはありません。そのことをよく胸に刻み込んでおいて下さい。

 霊的知識なしに他界した者でも、こちらからの思いや祈りの念が届くでしょうか。
シルバー・バーチ
 死後の目覚めは理解力が芽生えた時です。霊的知識があれば目覚めはずっと早くなります。その意味でもわれわれは無知と誤解と迷信と過った教義と神学を無くすべく闘わねばならないのです。それが霊界での目覚めの妨げになるからです。そうした障害物が取り除かれないかぎり、魂は少しずつ死後の世界に慣れていくほかはありません。長い長い休息が必要となるのです。又、地上に病院があるように、魂に深い傷を負った者をこちらで看護してやらねばなりません。反対に、人のためによく尽した人、他界に際して愛情と祈りを受けるような人は、そうした善意の波長を受けて目覚めが促進されます。

 死後の生命を信じず、死ねばおしまいと思っている人はどうなりますか。
シルバー・バーチ
 死のうにも死ねないのですから、結局は目覚めてからその事実に直面するほかないわけです。目覚めるまでにどの程度の時間がかかるかは霊格の程度によって違います。霊格が高ければ、死後の存続の知識がなくても、死後の世界に早く順応します。

 そういう人、つまり死んだらそれでおしまいと思っている人の死には苦痛が伴いますか。
シルバー・バーチ
 それも霊格の程度次第です。一般的に言って死ぬということに苦痛は伴いません。たいていは無意識だからです。死ぬ時の様子が自分で意識できるのは、よほど霊格の高い人に限られます。

 善人が死後の世界の話を聞いても信じなかった場合、死後そのことで何か咎めを受けますか。
シルバー・バーチ
 私にはその善人とか悪人とかの意味がわかりませんが、要はその人が生きてきた人生の中身、つまりどれだけ人のために尽くしたか、内部の神性をどれだけ発揮したかにかかっています。大切なのはそれだけです。知識はないよりはあった方がましです。がその人の真の価値は毎日をどう生きてきたかに尽きます。
 
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