古代霊は語る
シルバー・バーチ霊訓より
近藤千雄・訳編 潮文社 
第6章 動物の進化と死後の生命

 動物の霊界での生活について A

 動物の類魂は同じ種類の動物に何回も生まれ代わるのですか、それとも1回きりですか。
シルバー・バーチ
 一回きりです。無数の類魂が次々と生まれ代わっては類魂全休のために体験を持ち帰ります。動物の場合はそれぞれ一度ずつです。そうしないと進化になりません。


 われわれ人間としては、犬や猫などのペットと同じように、生物のすべてに対して愛情を向けることが望ましいのでしょうか。
シルバー・バーチ
 それはそうです。しかし同じ反応を期待してはいけません。愛情は愛情を呼び、憎しみは憎しみを呼ぶというのが原則ですが、進化の程度が低いほど反応も少なくなります。あなたの心に怒りの念があるということは、それはあなたの人間的程度の一つの指標であり、進歩が足りないこと、まだまだ未熟だということを意味しているわけです。あなたの心から怒りや悪意、憎しみ、激怒、ねたみ、そねみ等の念が消えた時、あなたは霊的進化の大道を歩んでいることになります。


 動物がようやく人間として誕生しても、その人生がみじめな失敗に終った場合は、再び動物界へ戻るのでしょうか。
シルバー・バーチ
 そういうことはありません。いったん人間として自我意識を具えたら、二度と消えることはありません。それが絶対に切れることのない神との絆なのですから……。


 屠殺とか動物実験等の犠牲になった場合の代償――いわゆる埋め合わせの法則はどうなっていますか。
シルバー・バーチ
 もちろんそれにもそれなりの埋め合わせがありますが、一匹とか一頭とかについてではなく、その動物の属する類魂を単位として法則が働きます。進化の程度が異なる動物と人間とでは因果律の働き方が違うのです。特に動物の場合は原則として死後は類魂の中に個性を埋没してしまうので、個的存在とは条件が異ります。類魂全休としての因果律があるのですが、残念ながら人間の言語では説明のしようがありません。譬えるものが見当りません。


 シラミとかダニなどの寄生虫は人間の邪心の産物だという人がいますが、本当でしょうか。あれはホコリとか病気などの自然の産物ではないかと思うのですが……。
シルバー・バーチ
 仮りにホコリや病気のせいだとした場合、そのホコリや病気は一体だれがこしらえたのですか。原因を辿れば人間の利己心に行きつくのではありませんか。その利己心はすなわち邪心と言えます。たしかに直接の原因は衛生の悪さ、不潔な育児環境、ホコリとか病気、直射日光や新鮮な空気の不足とかにありますが、さらにその原因を辿れば、そういう環境を改めようとしない、恵まれた環境にある人たちの利己心、非人間性に行きつきます。これは一種の邪心であり、私に言わせれば人間の未熟性を示しています。そういう利己心を棄て、弱者を食いものにするようなマネをやめ、我欲や野心を生む制度を改めれば、害虫や寄生虫は発生しなくなります。


 それは、たとえばハエのようなものには当てはまらないでしょう。
シルバー・バーチ
 いいですか。大自然全体は今なお進化の過程にあるのです。自然界のバランスは人類の行為如何によって左右されており、人類が進化すればするほど、地上の暗黒地帯が減っていくのです。人間の霊性の発達と自然界の現象との間には密接な関係があるのです。人間の存在を抜きにした自然界は考えられないし、自然界を抜きにして人間の進化はあり得ません。双方の進化は大体において平行線を辿っています。人間は神によって創造されたものでありながら、同時に又、神の一部として、宇宙の進化の推進者でもあり、自分自身のみならず、自分の属する国家をも司配する自然法則に影響を及ぼします。
 私は今、人間と自然界の進化は大体において平行線を辿ると言いました。両者にはどうしても少しずつズレが出てくるのです。なぜなら、過去の世代が残した業はかならず処理していかねばならないからです。


 今おっしゃったことは恐ろしい野獣についても当てはまるのでしょうか。
シルバー・バーチ
 全面的ではありませんが一応当てはまります。ただ忘れないでいただきたいのは、進化というのは一定の型にはまったものではないのです。いろいろと変化をしながら永遠に続くのです。原始的なものからスタートして低い段階から高い段階へと進むのですが、かつては低いところにいたものが次第に追い抜いて今では高い所にいたり、いま高いところに位置しているものが、将来は低い方になることもあります。


 では進化にも後戻りということがあるわけですか。
シルバー・バーチ
 それを後戻りと呼ぶのであればイエスという答えになりましょう。というのは、進化というのは一種のサイクル、現代の思想家の言葉を借りればスパイラル(らせん状)を画きながら進むものだからです。どちらの言い方でもかまいません。要は進化というものが常に一直線に進むものでないことを理解していただけばよろしい。一歩進んでは後退し、二歩進んでは後退し、ということを繰り返しながら延々と続くのです。


 動物同士は殺し合っているのに、なぜ人間は動物実験をやってはいけないのでしょう。
シルバー・バーチ
 それが人間の進化の指標だからです。人間が進化すればするほど地上から残忍性と野蛮性が消えていきます。愛と慈しみと寛容の精神が地上にみなぎった時、動物の残忍性も消えて、それこそライオンと羊が仲良く寄りそうようになります。


 しかし動物の残忍性も動物としての発達の表われではないでしょうか。
シルバー・バーチ
 あなたもかつては動物だったのですよ。それがここまで進化してきた。だからこそ太古に比べれば動物界でもずいぶん残忍性が減ってきているのです。トカゲ類で絶滅したのもいます。なぜ絶滅したと思いますか。人間が進化したからです。


 おとなしい動物の中にも絶滅したものがいますが……。
シルバー・バーチ
 進化のいちばんの指標が残忍性に出るといっているのです。太古でも進化上の枝分かれがいくつもありました。それらは進化の先進者とでも言うべきものです。進化というのはどの段階においても一定の型にはまったものではありません。優等生もおれば劣等生もおり、模範生もおれば反逆児もおります。おとなしい動物はさしずめ優等生だったわけです。


 寄生虫の類も動物と同じ類魂の中に入っていくのですか。
シルバー・バーチ
 違います。


 動物の類魂は一つだけではないということですか。
シルバー・バーチ
 各種属にそれぞれの類魂がいます。


 それが更に細分化しているわけですか。
シルバー・バーチ
 そうです。細分化したものにもそれぞれの類魂がおります。新しい霊――はじめて人間の身体に宿る霊は、動物の類魂の中の最も進化した類魂です。


 動物でいちばん進化しているのは何ですか。
シルバー・バーチ
 犬です。
 
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