古代霊は語る
シルバー・バーチ霊訓より
近藤千雄・訳編 潮文社 
第1章 シルバー・バーチの使命

 動物の霊界での生活について D

 動物実験がますます増えておりますが、どう思われますか。これを中止させようと運動している団体もありますが、霊界からの援助もあるのでしょうか。
シルバー・バーチ
 ためになる仕事をしようと努力している人はかならず霊界の援助を受けます。神の創造物に対して苦痛を与えることは、いかなる動機からにせよ許されません。ただ、動物実験をしている人の中には、人類のためという一途な気持でいっしょうけんめいなあまり、それが動物に苦痛を与えていることに全く無神経な人がいることも忘れてはなりません。しかし罪は罪です。


 でもあなたは動機がいちばん大切であると何度もおっしゃっています。人類のためと思ってやっても罰を受けるのでしょうか。
シルバー・バーチ
 動機はなるほど結構なことかも知れませんが、法の原理を曲げるわけにはいきません。実験で動物が何らかの苦痛を受けていることがわからないはずはありません。
 それでもなお実験を強行するということは、それなりの責務を自覚しているものと看做されます。動機は人のためということで結構ですが、しかしそれが動物に苦痛を与えているわけです。そうした点を総合的に考慮した上で判断が下されます。いずれにせよ私としては苦痛を与えるということは賛成できません。


 動物は人類のために地上に送られてきているのでしょうか。
シルバー・バーチ
 そうです。同時に人類も動物を助けるために来ているのです。


 動物創造の唯一の目的が人類のためということではないと思いますが。
シルバー・バーチ
 それはそうです。人類のためということも含まれているということです。


 動物の生体解剖は動機が正しければ許されますか。
シルバー・バーチ
 許されません。残酷な行為がどうして正当化されますか。苦痛を与え、悶え苦しませて、何が正義ですか。それは私どもの教えとまったく相容れません。無抵抗の動物を実験台にすることは間違いです。


 動物を実験材料とした研究からは、たとえばガンの治療法は発見できないという考えには賛成ですか。
シルバー・バーチ
 神の摂理に反した方法で手に入れた治療法では病気は治せません。人間の病気にはそれぞれにちゃんとした治療法が用意されています。しかしそれは動物実験からは発見できません。


 そうしたむごい実験を見ていながら、なぜ霊界から阻止していただけないのでしょうか。
シルバー・バーチ
 宇宙が自然法則によって支配されているからです。


 私はキツネ狩りをしたことがありますが、間違ったことをしたことになりますか。
シルバー・バーチ
 すべて生命のあるものは神のものです。いかなる形にせよ、生命を奪うことは許されません。


 でも、ウチのにわとりを20羽も食い殺したんですが……。
シルバー・バーチ
 では、かりに私がそのキツネに銃を与えて、20羽もにわとりを食べたあなたを撃ち殺せと命令したらどうなります。すべての地上の生命は神の前には平等なのです。人間が飢えに苦しむのはキツネが悪いのではなく、人間自身が勝手な考えをもつからです。キツネやにわとりをあなたがこしらえたのなら、これをあなたが食べても誰も文句は言いません。人間がにわとりやキツネを殺してもいいというのが道理であるとしたら、あなたの兄弟姉妹を殺してもいいという理屈になります。生命は人間のものではありません。神のものです。生命を奪う者はいつかはその責任を取らなくてはいけません。


 オーストラリアではウサギの異常繁殖が脅威となっておりますが、これについてはどうでしょうか。
シルバー・バーチ
 人間は本来そこにあるべきでないところに勝手に持ってきて、それがもたらす不都合についてブツブツ文句を言います。私の地上のふるさとである北米インディアンについても同じです。インディアンはもともと戦争とか、俗にいう火酒(ウイスキー、ジン等の強い酒)、そのほか不幸をもたらすようなものは知らなかったのです。白人が教えてくれるまでは人を殺すための兵器は何も知らなかったのです。そのうち人間も宇宙のあらゆる生命――動物も小鳥も魚も花も、その一つ一つが神の計画の一部を担っていることを知る日が来るでしょう。神の創造物としてそこに存在していることを知るようになるでしょう。


 イエスの教えの中には動物に関するものが非常に少ないようですが何故でしょうか。
シルバー・バーチ
 その当時はまだ動物の幸不幸を考えるほど人類が進化していなかったからです。


 ほかの国の霊覚者の訓えにはよく説かれているようですが……。
シルバー・バーチ
 それは、全部とは言いませんが大部分は。イエスよりずっと後の時代のことです。それはともかくとして、あなたがたはイエスを人類全休の模範のように考えたがりますが、それは間違いです。イエスはあくまで西欧世界のための使命を担って地上へ降りてきたのであって、人類全体のためではありません。イエスにはイエスの限られた使命があり、イエス個人としては動物を始めとする全ての生命に愛情をもっていても、使命達成のために、その教えをできるだけ制限したのです。その使命というのは、当時の西欧世界を蝕んでいた時代おくれの腐敗した宗教界にくさびを打ち込んで、難解なドグマに代る単純明快な人の道を説くことでした。


 下等動物への愛を説かない教えは完全とは言えないのではないでしょうか。
シルバー・バーチ
 もちろんそうです。ただイエスの場合はその教えをよく読めば動物への愛も含まれています。イエスは例の黄金律を説きました。すなわち「汝の欲するところを人に施せ」ということですが、この真意を理解した人なら、他のいかなる生命にもむごい仕打ちは出来ないはずです。
 
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