白い人が仕掛けた黒い罠
高山正之・著 WAC
 
第8章 奴隷のいた国、いない国 

 ルーズべルトの陰謀

 日本の韓国併合には、アメリカ、ルーズベルトの陰謀の存在も否定できない。
 日露戦争が終わった後に米国がとった行動は、朝鮮にある在外公館の引き揚げだった。
 ルーズベルトは、「もはや、朝鮮は国家の態をなしていない」と発言をしているが、そのときにこうも言っている。上智大学教授・長田彰文氏の『セオドア・ルーズベルトと韓国』(未来社)に「私は日本が韓国を手に入れるところを見たい。日本はロシアに対する歯止めの役割を果たすことになる」というルーズベルトの言葉がある。
 ルーズベルトは、日本にとって「いい事」は、ただの一つもやっていない男だ。日露戦争の講和でロシアの対日賠償金をゼロにしたのがいい例だ。彼自身日本は「仮想敵国」だと公言してもいた。だから、日本にそもそも「いい事」をするはずがない。そう考えれば、彼のこの言葉は「このいちばん処理の難しく、いちばんタチの悪い朝鮮という国を日本に委ねてしまえば、日本は混乱に陥るだろう」という悪意があったとみるべきだろう。ルーズベルトとはそういう男だ。だから対日戦略の一環として、公館を引き揚げた。
 キューバ統治において、「隣国への対応の仕方」を百も承知なはずのアメリカが、朝鮮を日本にわたして、公館を引き揚げてしまう。これには必ず裏があるはずだ。「行かないでくれ」と泣いて頼む朝鮮に対し、「お前の国は留まるにふさわしくない、日本を頼れ」とアメリカは出て行く。それが結局、日本による韓国併合の布石となった。日本が韓国を併合せざるを得ないように画策したとすれば、これはアメリカの“最大の陰謀”と言っていいだろう。
 
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