2020年8月
首都直下・南海トラフ
日本消滅
31
ガレキのなかを火事場泥棒が跋扈する
 
 
東日本大震災のガレキの山。
 
「巨大地震は私たちから何を奪うのか?」について、これまで述べてきたことをおさらいしておきます。
 最初に奪われるものとして「家」を挙げました。もちろん、地震の揺れによる倒壊やその後の火災、あるいは津波によって、住み慣れた家を失うことの悲しさ、不便さは、巨大地震が奪うもののなかでも筆頭格といえるでしょう。
 その「家」のつぎに挙げたのが「電気」でした。地震に停電はつきものですが、巨大地震ともなれば停電の規模や期間も従来の感覚では想像できないものになるでしょう。
 私は、今回の巨大地震を、「日本沈没」を狙った世界支配層の「時限爆弾」だと認識していますので、地震の激しさも津波の規模も想像を超えるもになると考えています。
 当然、大規模長期停電は避けられないでしょう。それこそが彼らの「隠し兵器」だと申し上げました。そのために彼らはまず「外堀(原発)」を埋めさせ、LNG(液化天然ガス)による火力発電への依存度を高めさせることに成功したのです。
 LNGは長期保存が難しいこと、またその貯蔵施設も火力発電所も東京近郊ならびに太平洋岸に密集していることから、2つの巨大地震で完全に再起不能になることが確実であることを見てきました。
 電気は長期間にわたって復旧することはなく、従って被災地は通信機器もテレビやラジオの情報メディアも機能しません。何もわからないなかで、被災後のサバイバルのための戦いが始まるのです。
「戦い」と申しましたのは、言葉のあやではなく、文字通り生存を賭けた戦いが待っているからです。
「巨大地震が私たちから奪うものは何か?」の3つめは「(3)安全」です。もっと正確に言うならば「治安」ということになるでしょう。

(3)「安全」が奪われる。

「日本人は水と安全はただだと思っている」と言ったのは『日本人とユダヤ人』の著者・山本七平氏でした。平和ボケした(させられた)日本人を揶揄する言葉として使われています。
 確かに、いざ災害に遭ってみると、お金をいくら出してでも手に入れたいものが「水」であり「安全」ということがわかります。
 南海トラフ巨大地震のように、太平洋ベルト地帯にあるほとんどの街や村が被災地となるような大規模な災害ともなると、水や食料などの救助用の物資が支給される可能性は低くなります。そのとき、人は豹変するのです。自分と大切な家族の命を守るために、それまでの道徳の範囲を超えて動くようになります。それができない人(私もおそらくその一人ですが)は命を失うのです。私の言う「第二死亡原因」によって。
 太平洋戦争末期に、食べ物を手に入れることができずに死亡(餓死、衰弱死)した人がいたと聞いています。広範囲が被災地となる南海トラフ巨大地震に襲われたら、「豹変」しない人は命を失う可能性が高いでしょう。倒壊したスーパーから食べ物を盗むことから始まり、他人の畑の作物、他人の家にある食べ物など、命をつなぐものは何でも盗みの対象になるでしょう。
 ただし、本日のタイトルにある「ガレキのなかを跋扈する」のは、そのような被災者ではありません。盗みを目的として被災地に忍び込んだ「盗賊一味」のことを指しています。
 私の体験した阪神・淡路大震災でも、一部の地域では夜になると空き家となった家を物色する連中が出没し、人が家に残っていた場合襲われる危険があるので、自警団をつくり、男性数人が交代で夜回りをしたと聞いたことがあります。警察が機能しているなかでもそのようなことが起こるのです。
 東日本大震災でも、やはり同じような事態が起こったようです。
 次にご紹介する『震度8の真実!』(和田隆昌・監修/徳間書店)に、その時の状況が描写されています。ご一読ください。なお、文中の特に注目していただきたいポイントを、私の判断で赤い文字に変えています。

震災後、あなたの街に盗掘集団がやってくる!
 マスコミがなぜか報じなかった「火事場泥棒」の恐怖!

 財産や家族を根こそぎ失いながらも、救援物資の配布場所では争うことなく整然と列を作る。小学校の体育館など、応急避難施設ではスペースを分け合って生活する。東日本大震災で被災した日本人の姿を、全世界のマスコミは驚嘆しつつ紹介した。
 どんな先進国であろうと、大災害の後には瓦礫と化した街に、火事場泥棒的な強盗や窃盗集団が跋扈する。
 救援物資が届きにくい途上国ではなおさらだ。
「神の国」日本ではそういった蛮行はありえない……と思っているあなた、それは間違いだ。
 
3・11後の東北各地でも強盗や泥棒の被害は多発したのである。ただ諸外国と比べると、「比較的少なかった」だけなのだ。
 震災後2日目に岩手県陸前高田市入りした週刊誌のカメラマンは声をひそめて話す。
「当時は大きな余震が連続して発生していて、もうビクビクの状態でした。いつまた大きな津波が襲ってくるかもしれない。だから、海岸近くで救助作業をしている自衛隊員でさえ、余震が起こるたびに高台に向かって逃げるんです。
 でも、妙なことに、我々と逆方向に走る集団がいるんです。余震が起こって海岸線から人がいなくなると、そこに行って金目のものを強奪する。そんな集団だったんですね……」
 このような
犯罪集団が、地震発生直後から東北入りし、昼夜を問わず暗躍したという。
 現地が少し落ち着きを取り戻し、一般のボランティアなども受け入れるようになってからは、いい人のフリをした犯罪集団が荒らし回った。
 つまり、
ボランティアを装って現地入りし、瓦礫整理のフリをして金品を強奪するのだ。
 ボランティア団体として正式に登録して事に及ぶという、さらにタチの悪い連中もいたという。

 各地で上がる不審火

 被災各地では火事が多発したことは報道でも明らかだ。ただ、なかには不審火も多かった。
 つまり、放火の疑いのある火事も多発したということ。これは何を意味しているのだろう。
 一説には、強盗集団の「陽動作戦」ともいわれている。
 A地点で火事を起こすことによって警察や自衛隊の耳目を集め、その隙に強盗集団は別の場所で己の目的を達成する。
 卑劣極まりない行為だ。
 また、
津波の被害をまぬがれた地域でも、コンビニエンスストアなどは真っ先に窃盗集団のターゲットとなった。壁にちょうど人の体が入るほどの穴が開いた店舗が、そこかしこで見られたという。
 場所の特定は避けるが、
小学生の盗掘集団さえ発生した
 被災地のとある商店のレジから数百万円の札束を盗掘した小学生が後日、補導されたという情報もある。

 薄れる犯罪意識

 大きな災害が起こった場所では、往々にして「借りる」と「盗る」が曖昧になりがちだ。
 岩手県、宮城県、福島県の沿岸では、鉄道などの公共交通機関が根こそぎ津波に破壊された。移動の手段は自分の足と自動車。しかし、自動車はガソリンがなければ走らない。
 震災直後から被災3県ではガソリンの不足が極めて深刻化した。
人々は急場をしのぐため、大破した車からガソリンを抜く。そんな姿が被災地ではごく普通に見られた。生きるためには仕方ない行為だ。
 ところが、この「仕方ない」は少しずつ境界線を広げ、やがて
被災地に転がっているものはすべて、みんなの共有物である、といった極端なものへと変質する場合があるのだ。

 首都圏直下の場合はさらに…

 首都圏を直下型地震が襲った場合、事態はさらに深刻だ。
 治安維持を担う
警察や自衛隊などの数には限界がある。そもそも、それらの人員はまず人命救助から手をつけ始める。
 犯罪集団などの取り締まりは、後手に回りがちだ。
 田園調布(大田区)、松涛、広尾(ともに渋谷区)……などなど、高級といわれる住宅街が数多く存在する首都圏。これらすべてがターゲットになると思って間違いない。
 
地震によって停電必至の首都圏。停電下では、現代のセキュリティーシステムも、いくら進化したとはいえ、力を発揮できない。
 平時でさえプロの泥棒がその気になって入れない家屋はないという。ましてや直下型地震が襲った直後は、セキュリティなどあってないようなもの。
現金や換金しやすい貴金属などは自宅ではなく銀行などに預けることをおすすめする。一般の家屋よりセキュリティ管理がしっかりしているし、万が一の場合も保険さえかけておけば、その分の保証はされるだろう。
 
犯罪集団の目的は金品の強奪だ。これがなければ襲う理由はない
 将来かならず来る首都直下型地震に備え、震災グッズの完備は必須だが、
現金や貴金属といった「犯罪ターゲット」の管理も本気で考えなければいけない時期に入っているのだ。
 ――『震度8の真実!』(和田隆昌・監修/徳間書店)


 私の率直な感想は「少し認識が甘すぎる!」です。
 昼間の人口が軽く1千万人を超える世界有数の過密都市・東京が直下型地震に襲われれば、そのことが日本経済に及ぼす影響は東日本大震災とは比較にならないでしょう。
 ですから、「犯罪集団の目的は金品の強奪だ。これがなければ襲う理由はない」というのは認識が甘いと思うのです。
 世界第3位の経済大国・日本の首都・東京が直下型地震に襲われれば、間違いなくその日から世界大恐慌がスタートします。世界中のお金の価値が暴落するのです。なかでも、地震で被災した日本の「円」は紙くずに、そして単なる単位を表す数字になってしまうでしょう。数字の大きさは違っても、1億円も1円も価値は同じになるのです。ですから、そんな価値のなくなった現金を奪いにくる盗賊はいないということです。
 国内ではスーパーやコンビニから食料品があっという間に消えてしまいます。同時にハイパーインフレとなり、いくらお金を積んでも卵1個も買えなくなるでしょう。そもそも首都圏は停電でキャッシュカードも使えず、デジタル通貨も用をなさなくなるのです。
「現金が犯罪のターゲットになる」ということはあり得ないという点で、認識が甘いと言わざるを得ません。

「認識が甘すぎる!」と感じる2つ目は、首都直下地震の衝撃を東日本大震災と似たような被災状況ととらえている点です。東日本大震災は、津波の被害でたくさんの犠牲者が出ましたが、地震によって建物が次々と倒壊したわけではありません。
 そもそも地震の揺れがそれほどでもなかったため、「(この程度の地震では)大きな津波は来ない」と判断して逃げなかった人がいたのです。
 一方、首都直下地震は文字通り震源が首都・東京の直下または近郊なのです。はるか海の彼方に震源を持つ地震とは比べものにならない揺れに襲われるとみられています。超過密状態の住宅街には老朽化した木造家屋が密集しています。
 さらに、首都高速や高架鉄道も老朽化しており、必ず崩壊するとみられているのです。すぐに火災が発生し、そのとき東京都内にいれば、火事場泥棒といえども逃げ惑うでしょう。火は何日も燃え続け、くすぶり、鎮火したころは焼け野原です。それからようやく火事場泥棒が跋扈することになりますが、道路という道路はガレキと車で埋まっているため通行不能です。盗賊一味が金庫を見つけても持ち出すことは不可能でしょう。
 まして、現金を目的に金庫を探す盗賊はいないはずです。
 すぐに「円」は使えないお金となってしまうのです。金庫に保管していても、銀行の頑丈な貸金庫の中に預けていても、そのままの状態で紙くずとなっています。
 そういうわけで、火事場泥棒が跋扈するのは東京ではなく、南海トラフ巨大地震で津波がつくり出した膨大なガレキの山でのことです。火災の心配がなくなり、被災エリアが広すぎて日本の警察や自衛隊も手をつけられない状態の場所が、火事場泥棒の仕事場と化すのです。
 ただし、この場合の火事場泥棒は日本国籍の人間とは限りません。早くから日本に潜入し、「この日」を待ちわびていた武装集団が、大恐慌の中でも価値を持つ「金(gold)」やダイヤモンドなどの貴金属を探し回ると思われます。
 停電のため通信機器は使えませんが、彼らはおそらく衛星通信機器で連絡を取り合い、周到に「泥棒」を働くことでしょう。
 問題なのは、彼らは鍛え上げられた肉体を持ち、おそらく武装している可能性が高いことです。しかもチームを編成しています。日本の火事場泥棒とは「凶暴性」の上で格が違うのです。私が心配しているのは、地震や津波の被害を受けなかった建物が、彼らの格好の餌食にされるのではないかという点です。
 人が住んでいれば盗賊に襲われる可能性があります。もちろん電話は使えませんから110番はできません。もしできたとしても、誰も来てくれないのです。来られないのですから。
 仕方なく、金や貴金属など彼らが求める品を差し出しても、危害を加えないという保証はありません。ですから、南海トラフ巨大地震の被災地に住む人は、たとえ地震や津波の被害を受けなかったとしても、決して安全ではないということを記憶にとどめておいてください。
 
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