ペットが死ぬとき
誰も教えなかった別れの意味
シルビア・バーバネル 著 近藤千雄 訳・編
ハート出版
 

 8章 交霊会での死後存続の証明
    ――主観的(精神的)な場合


 交霊会と呼ばれているものには大きく分けて二種類あります。普通の家庭で応接間などを使って数人から十人程度の少人数で行なう場合を“家庭交霊会(ホームサークル)”と呼び、大きなホールで百人とかそれ以上の出席者を前にして行なうのを“公開交霊会(デモンストレーション)”と呼びます。
 前章で紹介したように、ホームサークルでは何種類、あるいは何十種類もの現象が起きますが、デモンストレーションでは霊視能力で出席者の身内の他界者の容貌を叙述したり、霊聴能力でその霊からメッセージを伝えたりして、間違いなく身内の誰それであることの確証を与える、ということを主眼としています。そうした中に、ひょっこりとペットが出てくることがあるのです。そうした例をいくつか挙げてみましょう。
 ホームサークルでのことですが、ヘスター・ラインズという女性霊媒がパーマーという夫人の家に招かれて交霊会を開きました。ラインズ夫人が無意識状態に入ると、支配霊が出現して話しはじめました。すると間もなく話をやめて
「今、犬の霊がこの部屋に入ってきましたよ。この家で飼っておられるのとよく似ていますが、少し大きくて、しっぽも長くて、足の一本が白い毛をしていますね」
 これを聞いてパーマーさんはピンときました。同じ親から生まれた姉と弟の二匹の犬のうちの姉犬の方で、弟犬は亡くなった姉さん犬をとても慕っていて、今でも姉犬の箱で寝ているということでした。

 ホームサークルとデモンストレーションの両方に出現した例として、ハーバート・グレゴリー氏の二匹のフォックス・テリアがいます。二匹は二年の間隔で相次いで他界しましたが、それから二、三週間後に二匹とも姿を見せています。
 霊媒はその毛の色、背中と頭部の斑点などを適確に指摘しましたが、何よりも特徴的だったのは、しっぽが自然のまま長いことを指摘したことです。フォックス・テリアはしっぽを短く切るのが習慣で、切ったあとの切り株のような尾が特徴とされているのですが、グレゴリー氏はそれが嫌いで、切らせなかったのです。
 グレゴリー氏はもう一匹、ホイペット犬も飼っておりました。グレゴリー氏はその犬に格子柄のコートを着せていたのですが、霊媒はそれを見事に指摘したといいます。

 次は猫の例ですが、フローレンス・トンプソン女史によるデモンストレーションで、ある女性のために、父親が霊界からジミーという名の猫を連れてきているのを霊視して、その特徴を述べました。ジミーの最大の特徴はしっぽに包帯を巻いていることでした。その女性が言うには、ジミーは車にひかれてしっぽを切断されたということでした。その他にも述べられた特徴はみなジミーのものと一致していたそうです。
 ここで注意しなければならないのは、人間の霊と同じく、動物の霊が出現した際に地上時代のままの障害箇所を見せるのは、決して今も同じ障害を引きずっているということではなく、本当に自分であることの確証として、あえて地上時代と同じ障害を再現してみせるということです。
 それは霊界の技術者には難なくできることなのです。霊的身体は肉体のように障害を受けることは絶対にありませんから、地上でどんな障害をもっていた人でも、あるいは動物でも、死後は完全な身体に戻るのです。
 次もトンプソン女史のデモンストレーションでのことですが、ある女性に、霊界の妹が白と緑と赤の羽根をしたオウムを連れてきていることを告げ、さらに、こんな細かいエピソードまで指摘しました。あるとき、そのオウムが、窓のレースのカーテンを自分のカゴの中に引っぱり込んでズタズタに引き裂いてしまいました。それでその女性が鳥カゴを部屋の反対側に移したというものでした。まさにその通りです、とその女性は答えたそうです。

 さて、ステラ・ヒューズといえばスピリチュアリズムの歴史にその名を銘記さるべき女性霊媒の一人ですが、女史の交霊会には動物や小鳥が出現した話がよく聞かれます。
 たとえばデモンストレーションでの話ですが、ヒューズ女史の霊眼にしっぽのない猫が見えました。そして、その原因まで霊視して
「これは誰かがドアを閉めた時に運悪くこの猫が入りかけて、しっぽを挟まれましたね」
と言いました。そう指摘された飼い主は、まさにその通りであることを認めたということです。
 ホームサークルでヒューズ女史が三羽のクジャクを見たことがあります。
「名前はジュイ、ジュニパー、ジャニュアリですね?」
と出席者の一人に言うと、聞かれた女性は「その通りです」と答え
「アイルランドの自宅の庭をいつも優雅に飾ってくれて、私は大そう誇りにして可愛がっておりました」
と述べたそうです。
 ヒューズ女史のサークル常連に法廷弁護士夫妻がいました。その二人は実に奇妙なペットを飼っていました。二匹のカエルでした。ところが、その二匹が、ある年の冬に寒さのために“他界”してしまいました。そしてそれから程なくして弁護士のご主人も他界しました。
 さびしくなった奥さんがヒューズ女史に交霊会を要請しました。さっそく催された交霊会に間違いなくご主人が来ていることを証明したあと、ヒューズ女史は、驚いたことに、二匹のカエルが出たことを告げ、呼び名はアダムとイブでしょうと奥さんに言いました。その通りで、バイブルからこの名を選んだとのことでした。
 あとでヒューズ女史は、なぜその名前が分かったかと問われて、例のアダムとイブのいるエデンの園の絵が目に映ったのでそう直感したとのことでした。
 こんな話もありました。ロンドンでのデモンストレーションで、遠方から来ていた女性に
「ラッグスという名の犬を飼っていらっしやいますね。でも、お気の毒ですけど、肉屋さんの車にひかれて死にましたよ」
と述べました。するとその女性は自信ありげにこう答えました。
「そんな知らせは届いておりません。何かの間違いだと思います」
 その女性はそれから二週間ロンドンに滞在してから自宅に帰ったのですが、ヒューズ女史の言った通り、愛犬のラッグスは肉屋のライトバンにひかれて他界していたそうです。
 
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