●浮かれている場合ではない

 国民の命と財産を守る。
 これが、国家の第一の務めだ。だから、最優先でやる。
 直近の危機は首都直下型地震だ。
 「首都直下型地震は7年以内に100%起きる」
 安倍政権の内閣官房参与の藤井聡京大教授ですら、断言している。(『週刊文春』2013/2/7)
 首都の次は南海トラフ巨大地震だ。
 連動して富士山噴火も切迫している。
 いくら、対策をつくしても被害をゼロにはできない。犠牲をゼロにもできない。しかし、減らすことは確実にできる。建物の耐震化、不燃化、住民疎開、堤防強化、“液状化”対策、避難訓練、消防飛行艇……さらには、津波救命艇の普及などなど……やるべきことは山ほどある。防災対策こそ、国家のまっさきの実行課題だ。
 ところがオリンピックに血道をあげている。
 直下地震で首都が壊滅する!?
 そんなときにオリンピックのお祭り騒ぎ。かんちがいもはなはだしい。行政の方向が狂っている。だから地震・津波への防災対策は遅々として、進まない。
 ちなみに首都圏とは、法的には東京以外に埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬、山梨の7県を含む。よって、全体で人口は約3,700万人。つまり日本の人口の3分の1強が首都圏に集中している。都心23区だけで約900万人。オフィス街が多く昼間人口はさらに多い。通勤者は約500万人。よって昼間人口は約1,400万人にもたっする。つまり、東京都市圏は世界のどの都市圏より人口が多い。それだけ超過密都市だ。「震度7」級の首都直下地震が襲えば、空前の被害、犠牲が出るのも当然だ。
 23区だけでも1割が命を落とす……と想定しただけで140万人が犠牲となる。
 最大犠牲者数が1万人弱という数字が、いかに現実離れしているかがわかる。

●「20年までに100%確率」(内閣参与学者)

 「2020年までに首都直下地震が起きる確率は100%……」
 藤井博士(前出)の警告は皮肉だ。
 安倍首相は自らの内閣官房参与の警告を真摯に受け止めるべきだ。同博士は地震予知の権威。その重鎮が20年までに首都直下地震は確実に起きると警告している。なんと皮肉なことか! この年は、新東京オリンピックの開催年だ。東京直下地震は、それだけ切迫しているのだ。この予知が正しければ、東京オリンピック開催前に、首都圏は巨大地震で甚大被害に見舞われる。オリンピック関連施設も壊滅的に破壊されるだろう。とうぜん五輪開催もまったく不能となる。国際的な信用失墜もはなはだしい。
 しかし、オリンピック招致が決まるや、メディアでの地震警告はピタリ沙汰やみになった。3・11以降、「次は首都圏地震だ!」と、あれほど警鐘乱打していたのが嘘のようだ。
 明らかにマスコミは共同歩調で、地震報道を“自粛”している。
 だから、オリンピックの高揚感に水を差すような真似はしない。五輪を景気回復のひきがねに。それが安倍内閣の悲願だ。だから、「オリンピック開催年までに、首都直下地震の確率100%」などという衝撃ニュースなど、流せるはずはない。
 国民の心は凍り付く。せっかくの五輪ムードがふっ飛んでしまう。
 だから、首都圏地震のことなど、このさい忘れて、行け行けドンドン……。これが政府やマスコミの本音だ。しかし、これは「想定しなければ起こらない」というあの3・11でも繰り返した愚行だ。
 
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