国が確認した
「最悪の事態」とは
2020年05月10日(日) 
 
↑ クリックで本のダイジェストへ
 
 上の写真はこれから首都直下地震と南海トラフ巨大地震の対策を考えるうえでもっとも参考にしていきたい書籍です。
 2013年12月20日初版第1刷となっています。
 著者の藤井聡氏は、当時は内閣官房参与で地震問題の専門家として政府機関で活躍されていた人でもあります。この本の内容も、自分がかかわった政府の会議体での決定事項をもとにわかりやすく解説したものです。それでもフィクションと違って現実の問題を扱った書籍ですので、一般の人が読むには内容が固いという印象があるでしょう。
 上の写真が本のダイジェストにリンクしていますので、ぜひ私のコメントにも目を通していただきたいと思います。当時は、マスコミも野党も安倍政権の「モリカケ問題」の追求に明け暮れていて、この国が直面している深刻な事態から国民の関心を巧妙にそらしていました。
「首都直下地震の対策は十分なのか!」といった追求の声を、マスコミからも野党からも聞いた記憶がありません。操られた反日組織の人種たちの狂躁は、その後は「首相の桜を見る会」問題に置き換わって、長い間国会とマスコミを賑わせていました。
 いまはそれが世界規模の「新型コロナ騒動」となっています。国民の目を巧妙にそらしているので、世界支配層がセットしている時限爆弾の時を刻む音に耳を傾ける国民はほとんどいないといってよい状態です。
 はたして、大事なのは自分の命だけでしょうか? 国は消滅しても、自分と自分の家族だけで生きていけるでしょうか? ――そんな言葉が口から出そうになりますが、ぐっと飲み込んで、引き続き当欄で細々ながら警鐘を鳴らしていきます。

 では、まず藤井聡氏の著書『巨大地震Xデー』(光文社)のさわりの部分からご紹介します。
 ここは軽く目を通していただくだけでよいと思います。要するに、「政府も一応地震に備えてどんな対策が必要なのかわかっているんだ」ということを知ってもらえればよいのです。

45 の起こしてはならない最悪の事態

国土強靭化には、「イマジネーション」が何よりも大切である。

 国家の危機管理、安全保障のために、国家レベルの巨大リスクを想定する――それが国土強靭化(ナシJナル・レジリエンスの確保)の取り組みであるが、この取り組みは関係各位が、

「Xデーに何が起こるのか?」
「×デー以後、私たちの日本は長期間、どんな最悪な状態に陥るのか?」

 を深く想像する=イメージすることが、すべての出発点となる。
 いわば、国土強靭化という危機管理には、関係者全員の「イマジネーション」が何よりも大切なのである。
 イマジネーションの力が強い国は、ありとあらゆる可能性を予め想像する。そして、まさかのときに、最悪の事態となることを避けるために、様々な取り組みをしておく。ところが、イマジネーションの力が弱い国は、どれだけ財力があろうと技術力があろうと、何の備えもしない。結局、その国は脆弱なまま放置される。
 3・11「以前」、我が国は巨大地震Xデーに対して十分なイマジネーションを行なっていなかった。だから今、我が国の政府は、Xデーをしっかりと想像しようとするところから、国土強靭化の取り組みをスタートさせたのである。
 現政府では、そういう取り組みを、一体我が国のどんなところにウィークポイントがあるのかを明らかにする取り組みという趣旨で、「脆弱性評価」と呼称している。

国土強靭化は、「リスク・マネジメントの王道」に基づいて進められる

 ところで、こうしたXデーについての危機を深くイメージし、そのうえで、その対策を考えていく、というプロセスは、危機管理(英語で言うところの「リスク・マネジメント」)の「王道」である。
 一般に、このリスク・マネジメントは、まずリスク(危機)を想定し、そのリスクが生じたときどうなるかをイメージし、対策プランをたて、それを実行する。さらに、再びリスクを想定し、改めて何か起こるかをイメージしていく……という取り組みを延々と繰り返すのである。
 (中略)
 なお、国土強靭化基本法では、この国家スケールのマネジメントを“半永久的に”繰り返しつつ、我が国を強靭化していく責務を、「政府が負う」ことが明記されている。そして、その中で作られた基本計画の実行にあたっては、「総理大臣指示」という国内最強の行政権限を行使できることが保証されている次第である。
 こうした、国家を挙げての取り組みを通して、如何なる危機が起こってもしなやかに堪え忍ぶことができる強靭性=レジリエンスを、国家的に確保していくのである。

あらゆる分野/専門領域の総合チームで進める強靭化

「Xデー」の到来は待ったなしである。いつ何時訪れるのかは、誰にも分からない。
 そんな切迫した危機感の下、安倍内閣発足後、政府はこのマネジメント・サイクルを、急ピッチで進めようとしている。
 可能な限り適切に「脆弱性評価」を行い、可能な限り適切な対策プランを作りあげるためには、エネルギー、食料、通信、経済、産業、金融、インフラ、農業、といった様々な分野におけるエキスパートの知見が大いに求められる。
 そのため、政府はリスク・マネジメントに基づく国家危機管理=国土強靭化か迅速かつ効果的に進められることを企図して、次のページの表2に紹介する、様々な分野の第一人者を集めた有識者懇談会「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(以下、レジリエンス懇談会と略称)を、政権発足後2ヵ月余りで設置した。
 発足以降、このレジリエンス懇談会では、2013年3月5日の第1回を皮切りに、月に1〜2回のペースで議論を重ねてきている。
(中略)
 一方で、脆弱性評価の具体的な作業を行ったのは、その事務局を務めた内閣官房と(一部を除く)全省庁であった。
 すなわち、中央政府にある各省庁を「12の分野」に分割し、それぞれの分野ごとに「Xデーにはどんな最悪な事態が起こり得るのか?」をじっくりと検討してもらい、ありとあらゆる分野における「深刻な事態」の情報を徹底的に集約していった。

 なお「12の分野」というのは、次のように分けられている。
(1)行政機能/警察・消防 等(警察・消防等分)
   全省庁、および警察庁、消防庁 等
(2)住宅・都市施設 国土交通省 等
(3)保健医療・福祉 厚生労働省 等
(4)エネルギー 経済産業省 等
(5)金融 金融庁 等
(6)情報通信 総務省 等
(7)産業構造 経済産業省 等
(8)交通・物流 国土交通省 等
(9)農林水産 農林水産省 等
(10)国土保全 農林水産省、国土交通省 等
(11)環境 環境省 等
(12)土地利用(国土利用) 国土交通省 等

 例えば、Xデーに発電所や石油タンクがどうなって、エネルギー供給がどうなるのか、という点について最も的確にイメージできるのは、やはり経済産業省である。同じく、Xデーに食料供給がどうなるのかを最も明確にイメージできるのは、農林水産省である。
 こうした背景から、政府は巨大地震xデーについてのイメージを、この12の分野それぞれにおいて深く検討することを要請し、あらゆる国家行政において想定される「最悪の事態」を、レジリエンス懇談会の場でとりまとめていったのである。

政府として確認した「45の起こしてはならない最悪の事態」

 こうした議論を経て、「45の起こしてはならない最悪の事態」が政府によって正式に定められた。
 その行政文書は文言が専門的に過ぎるため、その内容を筆者なりに最大限にかみ砕いて、概要を説明することとしたい。
 まず、この45の最悪の事態は、次の8つに分類されている。

1.国民の生命が失われる
2.救助、救急ができない
3.行政が停止する
4.情報通信ができなくなる
5.経済活動が停止する
6.エネルギー供給、交通等が途絶える
7.深刻な2次災害が起こる
8.地域が再建できなくなる

 これらの8つはいずれも、最悪の事態である。
 以下、これらについて、特に巨大地震に関わる事項を中心に、その概要を説明していくこととしよう。


 ――と、この本の内容のご紹介はここまでで止めておきます。
 次回からは、政府が確認した「45の起こしてはならない最悪の事態」をご紹介しながら、そのために個人的にはどのような対策をとる必要があるかということを考えていきます。
 なお、以前にご紹介しましたように、この本の著者の藤井聡・京都大学大学院教授は、「東京オリンピックの年までに首都直下地震は100%起きる!」(週刊文春2013年2月7日号)と断言した人です。
 この本の内容から判断しても、奇をてらって大風呂敷を広げるような方でないことがわかります。そのような人が、なぜ「地震が100%起きる!」と断言したのでしょうか。
 それは謎ですが、私なりには読めている部分がありますので、いずれその点も当「つぶや記」の中で述べてみたいと思います。
 なお、「起こしてはならない最悪の事態」という意味は、「起こしたら大量の死者がでる」「場合によってはこの国が壊滅する」という意味だと理解しておいてください。
 それを起こさないために、政府はこの間さまざまな取り組みをしてきたはずですが、それが十分だったかどうかを検証していかなくてはなりません。
 私の結論は、「国の対策は全く不十分で、国会議員をはじめ高級官僚と言われる人たちに、この国と国民を守る意志はない」と断言しておきます。
 次回からは、皆さんがご家族の理解と協力を得て真剣に対策を考えていただく上で参考になる情報を提供していけると思います。ご期待ください。
 
 
ご意見・ご質問はこちらへどうぞ
個別に回答はいたしませんが、
「つぶや記」に反映させていただきます。 
 
 
[TOP]