古代霊は語る
シルバー・バーチ霊訓より
近藤千雄・訳編 潮文社 
第3章 再生 ――生まれ変わり――

 再生についてのシルバー・バーチの回答 @

 以上のマイヤースの説明で、類魂というものが概略だけでもおわかりいただけたと思います・そして又、再生というものがその類魂の進化という大目的のために行われるものであることも理解いただけたと思います。
 再生の哲理をこの類魂の原理で説いたのは、私の知るかぎりではマイヤースが始めてですが、哲理の内容そのものは、シルバー・バーチの説くところやアラン・カルデックの『霊の書』に見られる複数の霊からの自動書記通信と完全に符節を合しております。
 特にシルバー・バーチの場合は、「それはマイヤースのいう類魂と同じものですか」という問いに対して「まったく同じです」と断言しており、非常に興味を覚えます。
 これからそのシルバー・バーチの説くところを紹介していくわけですが、この再生問題に関するかぎりシルバー・バーチは一方的にしゃべるということをせず、質疑応答の形に終始しております。
 これはカルデックの『霊の書』でも同じで、察するところ、霊的なことには地上的用語で説明できないことがあり、中でも再生の原理はその最たるものであり、人間側からの質問の範囲に留めるということになったのでしょう。その証拠に、シルバー・バーチはこんなことを言っているのです。

 宗教家が豁然大悟したといい、芸術家が最高のインスピレーションに触れたといい、詩人が恍惚たる喜悦に浸ったといっても、われわれ霊界の者から見れば、それは実在のかすかなるカゲを見たにすぎません。鈍重なる物質によってその表現が制限されているあなたがたに、その真実の相、生命の実相が理解できない以上、意識とは何か、なぜ自分を意識できるのか、といった問いにどうして答えられましょう。
 私の苦労を察して下さい。たとえるものがちゃんとあれば、どんなにか楽でしょうが、地上にはそれがない。あなたがたにはせいぜい光と闇、日なたと日かげの比較ぐらいしか出来ません。虹の色は確かに美しい。ですが、地上の言語で説明の出来ないほどの美しい色を虹にたとえてみても、美しいものだという観念は伝えられても、その本当の美しさは理解してもらえないのです。


 そういう次第でシルバー・バーチには再生に関する長文の叙述はなく、細かい質疑応答から成っております。それはそれなりに非常にわかりやすく、いわゆる痒いところに手の届く利点があります。
 が私の察するところでは、いい意味で人間には秘密にされている部分もあるようです。つまり宇宙の内奥に関するものには人間には絶対に理解できないものがあるらしいのです。それは右の引用文からも察せられますが、再生の大体の概念、基本的原理に関する限りでは、シルバー・バーチとカルデックとマイヤースは完全に同じことを説いております。
 私はこれが再生に関する真相――少なくとも人間に理解できる範囲での真相であるとみて差支えないと信じます。マイヤースの類魂説を冒頭にもってきたのも、それがシルバー・バーチの説くところと完全に符節を合し、再生の基本概念を伝える論説として適切であるとみたからです。
 これを細かく敷衍する目的で、これからシルバー・バーチと列席者との一問一答を紹介して
まいりましょう。
 
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