古代霊は語る
シルバー・バーチ霊訓より
近藤千雄・訳編 潮文社 
第8章 交霊会の舞台裏

 交霊会についてのシルバー・バーチの説明

 ……(中略)……

 さてシルバー・バーチが入神したバーバネルの口を借りてしゃべる時は直接シルバー・バーチがバーバネルの身体に宿ります。身体と言っても実質的にはオーラのことです。最初の「まえがき」でも紹介したように、シルバー・バーチというのはそのバーバネルに宿るインディアンその人かというとイエスでもありノーでもあります。
 つまりインディアンは自分のことをシルバー・バーチと名のり幽界よりはるかに高い界の存在で「波長を下げて地上に降りてくるのは息がつまるほど苦痛です」と述べているほどですが、観方を変えれば、そうやって何とか波長を下げて直接人間を支配できる、いわば“霊媒的素質”をもったスピリットであるということが出来るわけです。が、実質的な通信を送っているのは、そうした中間的存在による中継を必要とするほど高級な界のスピリット、日本流に言えば八百万の神々の一柱とみてよいと私は考えております。が、その神も決して遠く離れた高い空のどこかから見下ろしているのではない。その交霊会の開かれている同じ部屋の中にいると考えてもいいわけです。
 シルバー・バーチは語ります。

 すべてはバイブレーションの問題です。バイブレーションを通じてどれだけ伝わるかの問題です。あなたがたには霊媒の口をついて出たことしか分らない。出なかったものについては何もご存知ない。
 たとえてみれば電話でしゃべる時と同じです。あなたはただ受話器に話しかけるだけでいい。そして相手の言ったことを受話器で聞くだけです。が、あなたの声が相手に届くには大変複雑なメカニズムが働いております。それを発明した人や電話局で働いている人々がいるわけですが、電話でしゃべっている時はそんな人のことは考えもしないし目にも見えません。交霊現象もいっしょです。あなたがたは霊媒を通じて聞き、私たちも霊媒を通じて話しかけるのですが、その途中のメカニズムは大変複雑なのです。
 この交霊会のために大勢のスピリットが働いております。発達程度もいろいろです。一方には地上に近い、多分に物質性を具えたスピリットがいます。そういうスピリットでないと出来ない仕事があるのです。
 他方、光り輝く天使の一団もおります。本来属している高い世界での生活を犠牲にして、地上のために働いております。少しでも多く霊的真理を地上にもたらそうと心を砕いているのですが、今までのところ、それはまだ闇夜に輝くほのかな明り程度しかありません。
 しかし、それでもなおそうした神の使者が足繁くこの小さな一室に通うのは、ここがすばらしい場所だからです。すばらしいという意味は建物が大きいとか、高くそびえているとか、広いとかの意味ではありません。地上に真理という名の光をそそぐ通路としてここがいちばんすぐれているという意味です。こうしたサークルからこそ、地上世界は新らしいエネルギーを摂取するのです。
 それ以外の、もろもろのスピリットを含めて、今夜だけで五千人もの霊がここに集まっております。あなたがたのよく知っている人で交霊会というものに関心のある霊もおれば、こういう場所があることを今まで知らなくて、今日はじめて見学に来たという霊もおります。
 また、霊媒を通じて仕事をするために、私たちがここでどのようにやっているかを勉強しに来ている一団もおります。世界各地から来ております。こちらの世界でも、地上に働きかける方法についての研究が盛んに行なわれているのです。霊的エネルギーをいかに活用するかが最大の研究課題です。それを無駄にしてはならないからです。そのために、こちらからいろんな形で人間に働きかけております。自分では意識してなくても、霊界からのインスピレーションを受けている人が大勢います。
 偉大な科学者も発明家も教育者も、元をただせば霊界のスピリットの実験道具にすぎない場合があります。法則なり発明なり思想なりが地上に伝わればそれでよいのであって、どこそこの誰が、といったことは私どもにはまるで関心がないのです。
 宇宙はすべて協調によって成り立っています。一人だけの仕事というのはありません。だからこそスピリットは“霊団”を組織するのです。目的に必要とするスピリットを集め、そのうちの一人が代弁者となって地上に働きかけます。私も私の所属する霊団のマウスピースです。
(編者注――mouthe pieceはパイプの吸い口、楽器の吹き口が本来の意味です)霊団の一人として働く方が自分一人で仕事をするよりはるかにラクに、そして効果的にはかどります。仕事の成果はそうした霊団全部の力を結集した結果であるわけです。
 成果がすばらしいということは霊団の調和がすばらしいということでもあります。それは、霊媒の出来がいいということが霊媒と支配霊との調和がいいということであるのと同じです。そうでないと必ずどこかにきしみが生じます。オーケストラと同じです。演奏する楽器は一人ひとり違っていても、ハーモニーさえとれれば一つの立派なシンフォニーとなります。が、そのうちの一人でも音程を間違えば全休が台なしになってしまいます。調和が大切なゆえんです。


 シルバー・バーチの交霊会が開かれた場所は最初はハンネン・スワッハー氏の自宅でしたが、のちにバーバネル氏の平屋のアパートの一室(バーバネル氏の書斎)となりました。いつも使っている椅子に腰かけて入神するだけのことです。が、その何の変哲もない部屋に、天使の一団をはじめとして科学者、化学者、技術者、研究生、見物人、はては野次馬まで入れて五千人ものスピリットが詰めかけているというのです。シルバー・バーチが「あなたがたは何もご存知ない」と言うのがわかるような気がします。
 シルバー・バーチの交霊会は私的なもので、出席者も十数人のレギュラーに制限され、これに特別に招待された人が2、3人加わるという、至ってささやかなものですが、英米では、大きな会場で何百人、時には何千人もの聴衆を前にした公開交霊会というのがよく開かれます。
 霊能者が壇上に上がってスピリットからのメッセージを次々と列席者に伝えていくのですが、そういう会には無数の霊が群がってきますから、背後霊団は霊能者のまわりを囲んで邪魔が入らないようにし、一方、メッセージを送りたいと詰めかけるスピリットの中からどれを選ぶかに苦心するそうです。それだけの配慮をしてもなお野次馬や聞き分けのない嘆願者がしつこく付きまとって、ひと言でいいからしゃべらせてくれとせがむのだそうです。
 高級な霊団に守られた霊媒にしてこの通りですから、霊能者だ、超能力者だというだけで無節操に担ぎ上げることがいかに危険であるかがおわかりと思います。
 
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