日本国民に告ぐ
誇りなき国家は、滅亡する
小室直樹・著 ワック出版 
第1章 誇りなき国家は滅亡する

 中学校教科書、全社で「慰安婦」登場

 平成9年度から使用される中学校の社会科(歴史)の全教科書に、いわゆる「従軍慰安婦」問題が登場することになった。日本書籍、東京書籍、大阪書籍、教育出版、清水書院、帝国書院、日本文教出版の七冊ともに「従軍慰安婦」が登場する。
 たとえば、東京書籍の「歴史」教科書は「従軍慰安婦として強制的に戦場に送り出された若い女性も多数いた」と、最大の争点である「強制連行」を史実として記述している。
「歴史」教科書だけではない。「地理」や「公民」の教科書も、「戦後補償」問題と絡めながら「従軍慰安婦」問題を採りあげている。
 問題なのは「従軍慰安婦」問題だけではない。いわゆる「南京大虐殺」の被害者数についても、ほとんどの教科書に「10数万」「20万」「20数万」「30万」といった捏造された厖大な数字が掲載されている。報道によれば、日中戦争の発端となった盧溝橋事件についても、「日本軍が起こした」とする誤った史実が文部省検定をパスしていた。
 また、日ソ中立条約を一方的に破棄し、千島列島や満州を侵略したうえ、57万5000人の日本人をシベリアに連れ去って酷使(うち5万5000人が抑留中に死亡)したソ連軍の対日参戦を、「進撃」といった肯定的な表現で記述している。
 わが国の教科書が、いわゆる東京裁判史観の影響を色濃く受けた自虐的な暗黒史観によって書かれていることは、かねてから指摘されてきた。ところが、平成九年度から使用される教科書の記述は、このように、従来よりもはるかに自虐的な記述となっている。まったくの嘘の記述、間違った表現も激増している。そのうえ、事実の歪曲、嘘の捏造も、格段に大規模かつ悪質になってきた。
 藤岡信勝東京大学教授(現在、拓殖大学日本文化研究所教授)らの努力によって、教科書の自虐的な記述を改正すべきとの声も上がっていたが、平成九年度の教科書の記述は改正されなかった。
 
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