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第1章 誇りなき国家は滅亡する | ||
誇りを失った国家・民族は必ず滅亡する このことがいかに恐ろしいことか、本気になって論じようとする者は、まだいないようである。 日本滅亡の兆しは、今や確然たるものがある。人類は1999年に滅亡するとノストラダムスが言ったとか。中国は香港返還後半年で滅亡する、と長谷川慶太郎氏は言った(『中国危機と日本』光文社)。しかし、より確実に予言できることは近い将来における日本滅亡である。 滅亡の確実な予兆とは、まず第一に、財政破綻を目前にして拱手傍観して惰眠を貪っている政治家、役人、マスコミ、そして有権者。 財政危機は先進国共有の宿痾(持病)である。欧米では、人びとは財政危機と対決し、七転八倒している。政治家も有権者も、早く何とかしなければならないというところまでは完全に一致し、そこから先をどうするかを模索して必死になって争っているのである。 それに対し、はるかに重病で病すでに膏肓に入っている日本では、人びとは案外平気。財政破綻とはどこの国のことか、なんて顔をしている始末。 日本滅亡のさらに確実な第二の予兆は、教育破綻である。 その一つは、数学・物理教育の衰退枯死。このことがいかに致命的か。 日本経済は技術革新なしには生き残ることはできない。しかし長期的には、日本の技術立国の基礎は確実に崩壊しつつある。工学部はじめ「理科系」へ進学する(あるいは進学を希望する)学生が急激に減少している。まことに由々しきことである。 技術立国のためだけではない。数学・物理は、社会科学を含めたすべての科学あるいは学問の基礎であるとまで断言しても、中(あた)らずと雖(いえど)も遠からず。このことをトゴトン腑に落とし込んでおくべきである。 だが、さらにより確実な滅亡の予兆は、自国への誇りを失わせる歴史教育、これである。 誇りを失った国家・民族は必ず滅亡する――これ、世界史の鉄則である。この鉄則を知るや知らずや。戦後日本の教育は、日本の歴史を汚辱の歴史であるとし、これに対する誇りを鏖殺(おうさつ)することに狂奔してきた。 その狂乱が極限に達したのが、「従軍慰安婦」問題である。このことが存外の途方もない結果を生むことを論ずるに先立って、先刻ご存じとは思うが、まず、以下にこれまでの経緯を簡単に紹介する。なお、この問題については、上杉千年著『検証「従軍慰安婦」増補版』(全貌社)、西尾幹二・藤岡信勝著『国民の油断――歴史教科書が危ない!』(PHP研究所)、藤岡信勝著『汚辱の近現代史』(徳間書店)などに詳しい。 |
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