日本国民に告ぐ
誇りなき国家は、滅亡する
小室直樹・著 ワック出版 
第1章 誇りなき国家は滅亡する

 済州島の慰安婦狩りも作り話だった

 このように、韓国側は、「強制連行」について、何の証拠を持っているわけではない。「証拠」として韓国その他が利用しているものは、日本人が捏造したものである。
 たとえば、吉田清治著『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(三一書房・1983年)。この本は1989年に韓国語に翻訳され、また「済州新聞」に紹介された。秦郁彦氏は、この本の内容の信憑性に疑いをもって調査した。調査の結果、吉田前掲書にある済州島の慰安婦狩りはまったくの虚構であることが明らかになった(藤岡前掲論文)。
 動かぬ証拠を突きつけられて、当人も、それを認めざるをえなかった。『週刊新潮』(1996年5月のゴールデン・ウィーク特集号)で、当人は、次のように言っている。
「秦さんらは私の書いた本をあれこれ言いますがね。まあ、本に事実を書いても何の利益もない。関係者に迷惑をかけてはまずいからカムフラージュした部分もあるんですよ。だから、クマラスワミさんとの面談も断わりました。事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやってることじゃありませんか。チグハグな部分があってもしょうがない」
 このように、「日本官憲による強制連行」の事実はなかった。それにもかかわらず、日本政府は、あたかもそれがあったかのごとくに謝罪してしまった。こんなことは、従来の国際法上、国際慣行上、考えられないことである。独立国の政府高官は、動かぬ証拠を突きつけられても、それを否定する。絶対に謝罪しない。あくまでも、I'm not sorryと言い張るのである。
 なぜか。謝罪すれば、責任をひっかぶるからである。債務が生ずるからである。ところが、日本政府に限って、あっさりと謝罪してしまった。その必要もないのに、みずから責任(債務)を引き受けてしまったのであった。こうなると急転直下。大変なことになる。
 これは、国家賠償ではない。個人への補償である。誰にいくら支払うべきか。容易に決められることではない。何しろ年前の話である。この人が本当に日本軍に売春をやらせられたのかどうか。動かぬ証拠が見つかるともかぎるまい。
 売春をやらせられたか、やらせられなかったか。水掛け論になったらどうする。このとき出てくるのが挙証責任の問題である。政府も役人もマスコミもあまり関心がないようであるが、ここが急所である。
 
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