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第2章「従軍慰安婦」問題の核心は挙証責任 | ||
中韓の暴挙に屈する日本の愚挙 日本が犯罪国家になった。それも、自国の政治家とマスコミによって、犯罪国家にされてしまったのである。「自国への誇りを失った国家・民族は必ず滅亡する」とは世界史の鉄則であると強調した。では、みずから犯罪国家の烙印を押した国家はどうなる。世界史に類例を見ないことである。こんな国の行く末がどうなるか。 それにしても、ことの発端は、全教科書における「従軍慰安婦」登場である。 唐突で摩訶不思議すぎる事件であるので、その本質を分析しておきたい。 いや、分析などしなくても、ものの本質を看取しうる真の識者ならば、従軍慰安婦問題のエッセンスは、おのずから明白であろう。いや、ことさらに真の識者などでなくても、苟(いやしく)も常識を備えた者ならば、ことの真相を語るに縷陳(るちん=こまかく述べること)は要しまい。しかし、識者も常識人も払底しきっているのが現在の日本である。 「一犬虚に吠ゆれば万犬実を伝う」(一人が嘘を言うと、多くの人がそれを真実として伝えること)がごとく、条件反射的な付和雷同こそ、現代日本の政治家・マスコミの行状である。 教科書に憑依した(取り憑いた)土下座外交は、昭和57年夏、第一次教科書事件における「宮澤喜一官房長官談話」から始まった。日本文部省の教科書検定が、教科書における記述を「侵略」から「進出」に改めさせた(そんな事実は何一つなかったことは、渡部昇一氏によってはっきりと論証された)と言って、中国・韓国などが外交ルートを通じて日本政府に抗議してきたのであった。これ、本来、信じられない暴挙である。 日本は、中国や韓国などの属国でも付庸国(ふようこく=従属国)でもない。植民地でもない。ゆえに、内政干渉される謂れは少しもない。文部省による教科書検定は、明白に、日本の国内問題である。その国内問題に対して外国の権力者たる政府が、外交ルートを通じて抗議してくることは内政干渉にほかならない。 こんな国際法・国際慣行の初歩は、政治家・外交官たる者、とっくに百も承知でなければならないはずであった。そのはずであったのに、日本の外交官は外交を少しも知らなかった。あたかも、日本の経済官僚が経済を少しも知らないがごとく(前掲拙著参照)。 こんな内政干渉は聴く耳持たぬと、断乎として撥ね返せばそれで済むことを――。日本政府はそれをしなかった。中国など、天安門事件における権力の恣意による虐殺という人道問題すら、内政問題として列国の抗議を歯牙にも掛けなかったではないか。人道問題にかぎって「内政干渉」も許されるというのが現代国際法における確立された慣習であるのに――。 これに較べれば、教科書検定など、純然たる内政問題である。疑点は少しもない。その問題に対して、中国・韓国などは内政干渉をしかけてきた。その露骨な内政干渉に、日本政府は、唯々諾々として応じたのであった。日本政府の、かくまでも不思議な政策に、理非を説き、決然と、職を賭して猛反対した外交官は1人もいなかった。これぞ奇妙奇天烈である。 |
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