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第5章 日本国民に告ぐ | ||
日本人を骨抜きにした「洗脳計画」 前章で触れたとおり、ペリー・ショックによって解体された日本人の人格は、大日本帝国の中に再建された。その結果、「結局ペリーはよかった」という複合体が成立した。このペリーがマッカーサーと二重写しになって、マッカーサー・ショックは戦後日本の中に日本人の人格を再構築することになる。これが、マッカーサー複合体によって日本人のマインド・コントロールが曠古(こうこ=空前)の大成功をみた根本的理由である。 世界史上、戦勝国の占領政策がこれほど成功した例は絶無である。当初、占領軍が恐れたように、敗戦国は占領軍を憎み、スキあらば復讐に立ち上がるというのが、世界の歴史である。フランス然り。ドイツ然り。 ところが、日本人は復讐を誓うどころか、戦勝国の軍人を「救世主」と称えた。なぜ、日本人はいとも簡単に洗脳されてしまったのか。その謎を解く鍵がGHQ(連合国軍総可令部)であり、そこで行なわれた「日本人洗脳計画」(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)の存在である。この洗脳計画の目的は、次のとおりであった(前掲『検証・戦後教育』)。 @侵略戦争を計画し、準備し、開始し、遂行もしくは遂行に荷担せる罪の露見した者の処罰は、倫理的に正当であることを示すこと。 A戦争犯罪の容疑者を訴追しつつあることは、全人類のためであることを示すこと。 B戦争犯罪人の処罰は、平和的にして繁栄せる日本の再建と将来の世界の安全に必要であることを示すこと。 C戦争犯罪人には日本国民の現在の苦境をもたらした一番大きな責任があるが、国民自身にも軍国主義時代を許し、あるいは積極的に支持した共同の責任があることを示すこと。 D戦争犯罪を容認した制度の復活を避けるため、日本国民の責任を明確にすること。 E政治家、実業家、指導的煽動家など、日本国内のさまざまなグループに戦争責任があることを示すこと。 F戦争犯罪人は、公正かつ開かれた裁判を受けることを示すこと。 G山下奉文大将の場合のように、死刑宣告に対する予想される批判の機先を制するため、残虐行為の責任者の処罰形態の決定にあたっては、名誉を考慮するにはあたらないことを明確にすること。 H日本国民に戦争犯罪と戦争犯罪人に関して議論させるように仕向けること。 要するに、東京裁判が「倫理的に正当」であり「侵略戦争」を遂行した「日本国民の責任」を明確にし、戦争贖罪(ウォー・ギルト)意識を植え付けることが目的だった。GHQはこの洗脳計画に基づき、マスコミと学校教育を統制し、日本人を骨抜きにしていったのである。 |
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